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第11話 雨の終わりに

チャッピー(ChatGPT)にて執筆し手直ししたものを掲載しています



その日、仕事が終わるころには、さっきまで降っていた雨がようやくやんでいた。


雪のような光に塗れた空を見上げながら、俺は覚えていた。


『けいちゃん、雨、きらいですか?』


この間、Moonでそっと問いかけたら、つまらなそうにする顔のわりに、「すき」と答えたけいちゃんがおかしくて、ただただ少し笑ってしまった。


何がすきなんですか?と聞き返すと、「いいこと」って答えたのに、その後すぐ「あるわけないでしょ」って微笑いながら頭を振るけいちゃん。


けっきょく、何も言ってくれなかったけど、あの小さな喜びみたいなものが、僕にはちょっとした貴重な認定のように思えた。


それから、けいちゃんは雨の話をするときは、すこしだけ真面目な顔になる。 しゃれで無郁悪なおちゃらけの中に、ひっそりと見せる本当のひとときのような眼子。


ハイボールを背負いながら帰る途中、そんなことを思い出していた。


『また行ってもいいかな。』


何の答えもいらない、ちょっとした理由を仕上げて、こころの中でそっと自分に聞いながら歩いていた。


雨あがりの道は、ちょっとだけ黒みが残ったアスファルトに、うすく蓮を散らして。


こんなとき、けいちゃんはどんな顔をしてるんだろうな。 そんな想像の中で、この心はあの人のことをまた思っているんだと気づく。


ただそれだけなのに、やけに上流な理由をつけて、けいちゃんを見に行きたいと思ってしまう自分がいる。


そんな今日は、もうすぐ終わろうとする。 「また来ます」って言ってくれたけいちゃんの声を、そのおどけさと笑顔を、もう一度見たい。


帰り道、コンビニの木陰の下で、そっと雨を思った。



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