Episode72「残酷」
数時間後、ついにノアたちを乗せた馬車が戦場近くの前哨基地へ到着した。だが、そこに広がっていたのは無惨な光景だった。基地の中には、矢や剣、魔法攻撃を受けた兵士たちが何十人も横たわっていた。包帯を巻かれた兵士がうめき、治療魔法を施されるも回復が追いつかない者もいる。
血の匂いが漂い、兵士たちの悲鳴が響く。戦場の実態を知らなかった4人は、思わず息をのんだ。
「こんな……」
「……ひどい。」
「……これが、戦場……。」
「…………。」
ノアは無言だった。だが、その拳は強く握りしめられていた。レックスも、さっきまでの陽気な表情はどこかへ消え、険しい顔をしていた。
そんな彼らに気づいたのか、近くで治療を受けていた兵士の一人が、弱々しく口を開いた。
「お前ら……新兵か……?」
「……はい。」
「……死にたくなければ、油断するなよ……」
そう言い残すと、その兵士は意識を失った。魔法使いの治療班がすぐに駆け寄る。
「まだ助かる!すぐに運べ!」
兵士たちの必死な声が響く中、ノアたちはただ立ち尽くしていた。戦場は、覚悟していた以上に地獄だった。
治療テントの中で、彼らを迎えたのは魔法使いの衛生兵たちだった。
「君たちが新兵?」
声をかけたのは、女性の衛生兵。優秀な治療魔法の使い手であり、前哨基地の医療班を指揮している。
「今は戦闘よりも、ここでの作業が重要よ。負傷兵の処置を手伝って。」
「俺たちに、そんなことが……?」
「高度な治療をしてとは言わないから、包帯を巻く、止血をする、患者を運ぶ。それだけでも助かるのよ。」
「……やります!」
To be continued…
ローラの逆鱗
ローラは普段とても穏やかで優しいが、唯一の弱点がある。それは、読書の邪魔をされること。
ある日、ローラが本に没頭していると、カイルがしつこく話しかけてきた。
カイル「なあ、ローラ、今の話どう思う?」
ローラ「……今は読書してるんだから後にして」
カイル「え〜、だって気になるじゃん!!なんか言えよ!!」
ローラ「カイル…本当に…お願いだから静かにして…」
カイル「でもさ、この間言ってたアレの続きをさ…」
ついにローラの顔がピクっと動く。目が一瞬、怒りを含んだものに変わった。
ローラ「カイル、いい加減にしないと――」
カイル「え、ちょっと待って、そこまで怒る?」
ローラ「それ以上話すなら、覚悟しなさい!」
その後、カイルは即座に黙り込んだ。
カイル「悪かったよ…」
しかし、数時間後…
ローラ「ねえ、カイル、さっきの話題、どう思った?」
カイル「え?ええええーー!?」
ローラは天然すぎて、自分がカイルを怒ったことすらすぐに忘れてしまうのだった。




