Episode6「追われる剣士」
ノアとローラは遂に王国の旅を始める。
たが、賞金首でハンターたちから追われる剣士「カイル」が現れ…
「た、頼むから俺には近づかないで…!早く逃げろ!」
その少年は必死にここから立ち去るように呼びかけていた。
「ボロボロじゃないか、誰にやられたんだ?!」
「いいから逃げろと言っているんだ!」
少年は聞く耳を持たなかった。
「きっと恐怖で気が動転してるのよ。大丈夫よ、今助けるわ!」
そうローラが優しく語りかけて腕を伸ばしたとき、矢が少年の足元に落ち、怒号が響いた。
「いたぞ、あいつだ!!」
「よし、今すぐ殺すんだ!」
屋根の上には巨大な弓を持った男たちが立っていた。ハンターだろうか。それにしても、なぜ賞金首にされているんだろうか。
「さあ。早く逃げるぞ!」
ノアは少年を担ぎ、ローラとその場から逃げ出した。
「あ、あの男女はなんだ?仲間か?もういい、ついでに仕留めてやる!」
ハンターたちが一斉に弓を構えて矢を発射した。矢は全て足元に刺さり、なんとか走りながら避けた。三人は路地の裏に隠れた。
ノアは少年をおろし、尋ねた。
「な、なんだあのハンターたちは。なぜ追われているんだ?」
「俺はカイル・セレーノ。王国の脱走兵だから賞金首にかけられている。さっきは助けてくれてありがとう。」
ノアとローラは驚嘆した。脱走兵だって。一体なにがあったというのだろうか。だが、今はそれどころではない。ハンターたちが血眼になって探している。
「どこにいった。出てこい!」
このままでは見つかって殺されてしまう。そこで、ノアはある作戦を考えた。
「俺が囮になる!それでお前たちは…」
そう語っていた途中、ノアは上から目線を感じた。見上げると、ハンターたちに囲まれていた。
「カイル・セレーノ。貴様は脱走兵として、捕縛もしくは殺害の対象になっているぞ。」
そう言うや否や、彼らは一斉に剣を抜いた。周りには剣と鞘がこすれ合う金属音が鳴り響いた。
「くっ、ここまでか…もう終わりだ…」
カイルはそう嘆いた。
「ノア、ど、どうしよう…」
ローラも既に体力・精神共に限界の状況だ。ノアも必死に頭を回転させた。すると、ノアは一瞬、自分自身と同じものを見た。何かを抱え、逃げ続ける姿は自分とそっくりだったのだ。
「ローラ、カイルを守っていてくれ。俺がやる。」
そう言い放ち、ノアは二人の前に立ち剣を抜いた。
「なんだ貴様は!!」
ハンターの一人が声を荒げた。
「戦いたくないのに戦わされるのはごめんだよ。」
ノアは凛々しく返事し、構えた。
「よし、こいつら諸共殺せ!」
ハンターたちは一斉にノアに飛びかかった。ノアはなんの動揺もせずに呪文を唱えた。
「ウェントゥス・テンペスタス!!」
ノアの前には旋風が発生し、ハンターたちを吹き飛ばした。
「うわあああああ!」
だが、ハンターたちはすぐに立ち上がり剣を持って突進してきた。その場には剣同士が擦れ合う甲高い音が鳴り響いた。
「ローラ、早く行け!!」
ローラはカイルと一緒に全力で走り出した。それにはハンターたちも気付いていた。
「カイルが逃げ出したぞ!追え!」
ハンターたちはノアとの戦闘をやめ、ローラとカイルに向かって走り始めた。
「ま、まずい!イグニス・チェンノイド!!!」
ノアの手からは緑の炎でできたチェーンが放たれ、ハンターたちを縛り付けた。
「ぐぬぅ、もう少しだったのに… 覚えてろよ!!!!」
ノアはローラとカイルを連れ、その場から一目散に立ち去った。
To be continued...




