Episode57「瞳」
ノアは、クラウディオの手紙を握りしめながら静かに目を閉じた。
父が生きているかもしれない。
その希望は、まるで暗闇に差し込むわずかな光のようだった。
だが、現実は厳しい。戦争は止めることができず、始まってしまった。
たとえ父が生きていたとしても、戦争の渦に飲まれれば、二度と会えないかもしれない。
「……戦争は待ってくれない。」
ノアはそう呟くと、ゆっくりと立ち上がった。
「だから俺たちで動くしかない。戦争の真実を知り、止める方法を探し出す。…そして、俺の父さんを探す。」
「おいおい、帝国へ行くって正気か?」
カイルが腕を組みながら、呆れて言った。
「正気も何も、やるしかないだろ?」
「まぁ、そうなるよね。」
エリスは肩をすくめる。
「でも、帝国に行くってことは敵地に飛び込むようなものよ?」
ローラが心配そうに眉をひそめた。
「だからこそ、慎重に動く必要がある。」
ノアは真剣な表情で答えた。
「戦争が起きた本当の理由を知るため、そして戦争を止める方法を探るために、俺たちは帝国へ行く。父さんが囚われている可能性もあるならなおさらだ。」
カイルはため息をつくと、苦笑しながら肩をすくめた。
「ったく…結局はお前の無茶に付き合うことになるんだな。」
「ふふっ、まぁ今さらよね。」
エリスも少し笑った。
「わかったわ。私も行く。」
ローラも覚悟を決めたように頷く。
ノアはそんな仲間たちを見渡し、少しだけ笑みを浮かべた。
「ありがとう……みんな。」
「4人は一緒だ!!」
4人は手のひらを重ね合わせ、再び意思と絆を固めた。
To be continued…
豆知識:街道の有料化について
王国交通省は、ここ数年続く深刻な赤字と、悲しすぎる現実に頭を抱え――ついに一部街道および空中街道の有料化を決定。
特に空中街道は、安全のために強力な魔法結界を維持しており、納得の出費対象。
しかし問題は地上の街道。
・箒で上から通過
・跳躍魔法でピョンと飛び越える
・透明化してしれっと無賃通行
……など、自由すぎる違反者が続出。徴収係はすでに心をズタズタに折られており、徴収率は目も当てられない状況。
対策として、通行結界に反応する「妖精センサー」の導入が検討されているが、その妖精たちが働かないことで有名なため、改善にはほど遠い見込み。
カイル「へへっ、箒で飛んで通るやつ、俺も昔やったことあるわ!」
ノア「おい、お前、それ普通に違反だぞ!?……てか、妖精センサーってあれか、昼寝ばっかしてるあいつら?」
カイル「そうそう、あいつらに監視任せるとか、もう諦めてるだろ交通省…」
ノア「交通省って想像以上に泣ける職場かもしれんな…」




