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Chronosphere 〜貴方を殺めた世界に、花束を〜  作者: サム
第六章「王都編」
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Episode54「開戦」

遠くの鐘の音と、兵士たちの叫び声が響く。

「開戦したぞ!ついに戦争が始まった!」

「帝国軍が国境を突破!王国軍が迎撃に向かう!」


その言葉が、夜の空気を震わせる。

「……戦争が、本当に始まったのか……」

拳を強く握りしめる。震える声で呟くが、怒りも悲しみも混じっている。


「クソッ…!俺たちは何をしていたんだ…?結局、何も変えられなかったじゃねえか…!」

カイルは壁を殴りつけた。


「こんな…こんなのって……。たくさんの人が死ぬ……そんなの、絶対に嫌!」

ローラは目に涙を浮かべながら、震える声で叫ぶ。


「戦争なんて…何の意味があるの…?」

頭を抱え、膝を抱える。4人に追い打ちをかけるかのように絶望感が込み上げてくる。


4人はただ、王都の闇の中で座り込む。焦げた瓦礫、遠くの火の手、そして耳をつんざく開戦の報。しかし、何もできない。


「俺たちは…このまま見ていることしかできないのか…?」


内戦により、変わり果てた王都。空気は重く、心も沈んでいく。戦争を止める方法を見つけられないまま、時間だけが過ぎていく。しかし、突然、白い伝書鳩が飛んできてノアの元に小さな手紙を届けた。


「俺宛に手紙か?」

手紙を開くと、まずはクラウディオの名前が目に入った。

「ノア、そしてみんな。クラウディオだ。カルロスから緊急でノアに伝えたいことがあるらしい。俺が仲介役となってこの手紙を出している。心して読んでくれ。そして、みんなの無事を切に願う。」


「な、なんだって?!」

To be continued…

魔獣出没報告書No.3

発生場所:クラーバス山脈

現象:年配の公務員がクラーバスドラゴンの巣に迷い込む


概要:

王都から約50kmほど離れた「クラーバス山脈」で、出張中の年配の公務員が魔導箒で移動中に誤ってクラーバスドラゴンの巣に迷い込む事件が発生。クラーバスドラゴンはその種としてはかなり濃厚な存在で、特に巣に近づかれると非常に凶暴化する習性がある。

幸い、男性は数百メートルにわたって必死に逃げた末、逃走に成功。しかし、このドラゴンは目が退化しており、もし追われる立場になった場合、左右に旋回することで視界を狂わせ、逃げるチャンスが増すことが分かっている。


注意点:

クラーバスドラゴンの巣を探しに行くことはお勧めできない。近づきすぎると、その好奇心を引き起こす可能性があり、非常に危険。もし遭遇した場合、冷静に左右に旋回しつつ、可能な限り静かに撤退することが最善策となる。


ノア「まさか、年配の人がドラゴンの巣に迷い込むなんて…一体どんな道を選んだんだ?」

ローラ「魔導箒に乗ってるのに、どれだけ注意散漫だったんでしょうね…まあ、幸いにして無事だったようで何よりだけど。」

ノア「でも、クラーバスドラゴンが目が退化してるから旋回すればいいっての、妙に現実的だな。」

ローラ「でも、あんな大きなドラゴンが追いかけてきたら、旋回する気力もなくなりそうだわ。」

ノア「そりゃそうだな…。逃げる時は本気で命がけだよ。」

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