Episode43「バルザ」
「くぅっ…っつぅ…!」
「じっとしててくれ。傷自体はそこまで深くないが、負傷魔法がついている矢だったからなぁ。」
エリスはクラウディオのもとで治療を受けていた。
「…助かったな。これで済んでよかったよ。」
「運がよかったわね…!」
「あいつのせいで…!もう少しで墜落して大怪我するとこだったのに!」
「…ま、結果オーライじゃねえか?エリスが死んでたら俺のせいにされそうだったしな。」
「そういうこと言うな!!!」
エリスが激昂した。
「まあまあ、喧嘩するな。治療は終わったぜ。数日は肩の動きに気をつけてくれ。少しでも痛んだらまた言うんだぞ。」
「てか、なんでクラウディオはここに…?!」
「ノアの手紙の情報から今の居場所を特定したんだ。久しぶりに少し覗いてみようと思ったらこんな騒ぎが起こってたんだ。」
「手紙を書いてたの…?」
ノアはクラウディオの元を離れてから、定期的に手紙で連絡を取っていたのだ。
「みんなには黙ってたけど、実はクラウディオと文通してたんだよな…。」
「…そのままだとまたハンターに狙われるし、何か変装しないとダメだな。」
「髪を短くするとかはどうかしら?」
「は? 俺のトレードマークの銀髪を簡単に切るわけねえだろ。」
「その髪って、トレードマークだったんだ…」
「ならば、こういうのはどうだ?」
クラウディオは眼帯を差し出した。
「…眼帯? 俺、片目潰したキャラになるのかよ?」
「いや、ただの変装さ。バルザは色んな人種や文化が混ざる都市だから、少しでも特徴を隠せば意外とバレにくいんだ。」
「なるほどな…適当に名前も変えておくか。」
「うーん…じゃあ、「エルヴィン」とか?」
「は?ちょっと待て、なんでそんな偉そうな名前なんだよ!」
「じゃあ「レオ」は?」
「適当すぎだろ…まあいい、適当に名乗るよ…。」
To be continued…
豆知識:ハニーローフ
王国中で愛される甘いパン、それが「ハニーローフ」。外はふわっと、中はしっとり蜂蜜の香り。特製クローバー蜜を練り込んだ生地は、焼き上がると黄金色に輝くとか。
王宮の朝はこのパンなしに始まらず、国王陛下は「ハニーローフのない朝など、まるで王冠のない王」とまで言ったという。ちなみに召使いによると、陛下は毎朝こっそり2個目を食べているらしい。
エリス「ハニーローフ、やっぱり美味しい〜!口の中でとろける〜!!♡」
ノア「毎日食えるわ、これ」




