Episode36「海賊団」
日誌のことを忘れようとしていると、遠くに黒い帆の船が現れた。
「おいおい、あれ…まさか海賊じゃねぇか?」
「どう見ても、こっちに向かって
くるわね…。」
やがてその海賊船はこちらに近づいてきた。
「ま、まずい!戦う準備を…」
だが、船長らしき人物が甲板から大声で叫んだ。
「おいそこの船! 貴族様の密輸船とお見受けするが、少し話をさせてもらおう!!」
船に乗り込んできたのは、なんと以前マルカスで見た盗賊団の幹部たちだった。
「お前たちどこかで見たことが…?」
「いや…気のせいじゃあ?」
「(…ここは、貴族の使いになりすまして話を聞いてみるしかない。)」
「お前ら、王国派か? 反王国派か? まあ、今はそれはどうでもいい。俺たちはどっちにもつくぜ!金さえもらえりゃな。」
「…あぁ、密輸の件で頼まれてるんだ。」
「ほう、なるほどな。」
盗賊団たちは4人を貴族の使いだと思い込み、かなり友好的な態度を見せていた。
4人が乗る船は、もともとは密輸船。乗り込んできた盗賊たちは、とあるものに目をつける。
「さっきからずっと気になってたんだが、なんだこれ。」
取り出してみると、それは血晶石と呼ばれるものだった。呪われた血を吸収した魔石で、王国では使用が禁止されているが、黒魔術師たちには重宝されているものだ。
「な、なんでこんなものが…!」
「これ持ってるってことは…!」
「お前ら、その船の持ち主じゃねぇよな?」
「それが分かったところでどうする。」
「禁じられてる密輸品を持ってる時点で、言い訳はできねぇよな?」
「このまま見逃すって手もあるが…その代わり、お前らの首を差し出せばな!」
盗賊たちは武器を構えた。
「へぇ…結局、そうなるわけか。」
「やるしかないってことね…!」
「全力でやるわよ!」
海を舞台にした戦闘が、ここに幕を開ける!
To be continued…