ただ優しく、
また同じ夢に悩まされる、いつになれば終わるのか、夢に出てくる女性には会えるか?
なぜ俺はこの夢を見るんだ?
疑問ばかり残る
その真っ白な世界に俺はいつまでもそこにいたい…
夢を醒めないでくれ
目を開けると、そこは真っ白な世界だった、その真っ白な世界を見て一瞬鼓動が脈打つ
後ろを振り向くと並木道があり、木にはピンク色の花びらが無数に舞っていた。
その並木道にぽつんと1人の女性が立っているヒラヒラと純白の長い服を着ていて、麦わら帽子を被っている。髪はロングヘアーで青空のような髪色をしている、微かに甘い匂いが漂ってくる、
顔は麦わら帽子のせいかよく見えない。
急に風が吹くと彼女は帽子を押さえ、純白で長い服はより一層ヒラヒラと舞う
風が止むとこちらに気づいたようで何かを話そうとしていた。
「 … … … …」
うまく聞き取れないが、彼女はこちらに笑顔を向けているそんな気がした。
そして自然と目を閉じ、ゆっくりと目を開けると見慣れた木造の天井が目に入る
「またあの夢……」
男はゆっくりと上半身を起こす、髪をかき上げ、すぐ横の窓を開けると日差しが差し込む、あまりの眩しさに目を細める、
外は同じような木造の建物が形は違えど並んでいる。
真ん中には舗装された通路があり、テントを貼り食材、装備、薬など様々な物が売られた市場になっている荷馬車、兵隊、市民、そして、冒険者、傭兵が市場で買い物をしている。
だがそれは表の顔、深夜帯になると男客相手に体を売る者女性が雅やかに踊る踊場、賑わい喧騒が絶えない酒場
殺し、密売、詐欺、犯罪組織、そんな表と裏の顔がある街テルマルテ
男はベッドから起き上がり壁にかかっている時計を見る10時12分
男は顔を洗い自分を見つめる髪は黒髪ショートに目は虚な目をしている20代くらいの青年
部屋は木造で出来ている、男は服を着てベッドの柱に掛かってるナイフの入ったホルスターを腕に通し両脇に固定し上着を羽織る
外につながるドアを開けると薄暗い路地に出る。
市場とは反対の方向にいくと噴水がある広場に出る、そこでは子供たちが無邪気に駆け回り楽しそうな声が聞こえる、それを見守る母親又は父親たちは大人らしく世間話を楽しむ、それを横目に男は小さな酒場に入る。看板にはルクレールと書いてある。
男はルクレールと呼ばれる酒場の扉を開く
「いらっしゃい!あら、おはよ」
茶髪のショートヘアの20代後半の女性店主が明るく対応する
酒場には数人朝食を取るものがいた。
食欲をそそる匂いが充満し腹を満たしていても、腹が空くようなそんな感覚になるようだった。
「いつもの?ウィスキーはいる?」
男は頷きカウンターに座る
後ろのテーブル席の2人組の男が立ち上がり勘定を置いて外に出ようとすると1人の男が店主に向かい
「フランちゃん、今日も美味しかったよ!また頼むよ!」
フランと呼ばれた女性はまたねと明るく答えてた。
「はい、牛の煮込みとパンと、いつものウィスキーね、そうえばツヴァイ、昨日は顔出さなかったね?仕事?」
ツヴァイと呼ばれた男はウィスキーを一口飲みグラスを置いた
「朝まで仕事だったんだよ…ネズミの逃げ足が早くて」
「揉め事が絶えないね」
フランはテーブルを片しながら言う
ツヴァイは煮込みにパンを浸して食べる。
「今夜、ボスのところいくよね?」
フランはカウンターから身を乗り出し言った
「まぁ仕事だから行くけど、どうした?」
ツヴァイは食べながら言う
「夜食作っておくからさ!店のみんなと分けて食べてよ!」
にこにこしながら楽しそうな様子で話す
「了解、仕事行く前に寄って行くよ」
「お願いね!16時には出来てると思う!」
ツヴァイは頷く、正午近くになると酒場にはどんどん客が入ってくる、ツヴァイは気を遣い、食事を掻き込み、お金をテーブルに置く
フランと目が合いツヴァイは片手を軽く上げ、フランは笑顔で手を振る
酒場を後にしたツヴァイはテルマルテの職人街のモーガン武具店に足を運ぶ
扉を開くと鈴が鳴り髭を生やした老人が顔を出す
「なんだお前さんか」
「黒檀はまだ手に入らないか?」
ツヴァイはカウンターに片腕を乗せ店主と話す
「やはり正規の販売ルートでは見つからない。裏の販売ルートでは高値で取引されとる」
「相場は?」
「インゴット1つ5000万ウィルが妥当じゃろう」
「流石に諦めるか、とりあえず頼んでおいたナイフはできたか?」
店主は奥に行き箱を持ってくる箱を開くと、
白銀に光る2本のナイフが入っている
ツヴァイは手に取りナイフを逆手に持ち構え振る、
「軽い…いい出来栄えだ。ありがとうモーガンいくらだ?」
「金はいらないよ。また強盗が入ったら助けてくれればいいさ、しかしあんた、刀はどうしたんじゃ?前は刀だったじゃろ?」
「刀は質に入れた。長い武器は狭い場所では不利だしな」
「あの名刀を売ったのか!?名刀大蛇を!?」
ツヴァイは新しいナイフとモーガンから借りていたナイフを取り替える
「名刀なんて俺には恐れ多い」
なんて馬鹿奴と一言モーガンは言い、ツヴァイは店を後にする
職人街から市場に出ると食品を売っている店主から林檎を投げられる、ツヴァイはそれをキャッチし、店主を見る
「ツヴァイ!一個持っていきな!次も頼むよ」
ツヴァイは林檎を齧り頷く
次にツヴァイはコンクリートでできた大きな建物に足を運ぶ冒険者ギルド、冒険者または傭兵が仕事を斡旋しにくる場所、中には大勢の冒険者、傭兵が掲示板を見ている。
奥には酒場もあるツヴァイは奥の酒場に向かい窓際の1番端のテーブルを目指す、すでに座っている人がいるがツヴァイを見つけると手を挙げる
「よぉ、ツヴァイ先月ぶりだな」
フードを被った男はウェイターを呼び、ウィスキーとエールをとウェイターに注文するとお待ち下さいと一言返ってくる
「それで?今日はどしたの?」
「いや、近況を聞こうと思ってな、最近の情勢と、裏の情報をくれ」
「ちょうどホットな情報があるよ」
フードの男がそう言うとウェイターがウィスキーとエールの入ったグラスをテーブルの上に置いた、ウェイターが離れると話を再開する
「まずは勇者様御一行の近況だが魔王討伐あと3歩ってとこかな、」
「勇者様御一行が進まないと黒檀、オリハルコン、の鉱石が手に入らないから期待したいな」
フードの男はエールを勢いよく飲みぷはぁ〜と息を吐く
「それで裏の情報だが、近々暗殺ギルド死風がテルマルテにくるらしい」
「死風?聞いたことないな」
「ツヴァイお前はほんとに世間のこと知らないな〜死風って言うのはなメンバーは3人、影、隠、月、って奴ら、もちろん姿を見たものもはいない」
「かなり強いのか?」
「さぁな俺も名前だけしか知らない」
「何故だ?そんな噂が流れるなら知ってそうな奴もいると思うが?」
「まぁ実際に見たやつは殺されてるからな」
「じゃあ誰が噂を流したんだ?」
とツヴァイは一言、そしてウィスキーを飲む、フードの男はおかしく首を傾げた
「狙いは?うちの組織か?」
「それは分からん」
フードの男はエールを飲み干し、1人分のお金を置いていく、ツヴァイが情報料は?と言うがフードの男は死風の連中の正体教えてくれればいいさと言って酒場から消えていく