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魂い夜狂習画

作者: 森川めだか

魂い夜狂習画

      森川 めだか


時圧


 若いころ友達が苦手だった。

これは僕がパレンター戦争に従事していた頃のことだ。

「この辺は非武装地域だ」

僕と友人はメットを脱いだ。ノートンは士官に志願したての頃を思った。

幻想だった。何もかも。ガムを噛みながら煙草を吸うとその苦さが分かる。

銃を見ると鉄から錆びている。ジープの荷台に乗っているのはノートンと友人の二人だけ。

運転手は便所に行った。便所といってもこの戦地が糞まみれだ。

「おい、あれ見ろよ」

友人が差した方向を見ると、痩せた男の子がTシャツ一枚でこっちを見ていた。

友人はその子に銃を向け、あっちに行けと銃身を振ってみせた。

言葉が通じないものの、その男の子はTシャツを噛むようにまくり下はブリーフ一枚だった。

「親も兄弟も殺されたんだろう」ノートンは見ないようにした。

「あいつ、便所長いな」

荷台に寝っ転がって夏の空を見た。今が夏だか知らないがこの国には夏しかない。

「分からねえぜ、あの子の親も俺たちの敵かも知れん」

ノートンは横に体を向けた。

虫の音がうるさい。木をかき分ける音がしたので銃を構えて腹ばいになった。

鳥か。あの子はまだその場にしゃがみ込み何をしているのか顔に蠅がたかっている。

「おい」

ノートンはジープから降りた。男の子は動きもせずじっと地面を見ていた。

蟻だ。それがこの戦争のことのようでノートンはしばらく見つめていた。

ポケットから旨くもない何の味もしないシリアルバーを出して子供の前で振ってみせた。

その子はこれが食料だとも分からないみたいだった。

男の子が目を上げた。その目は黒い肌と同じ様に真っ黒でノートンを疑う力も残っていないのか。

「ゆっくり噛むんだ、美味しいだろう」

男の子は口をアグアグさせた。

「何してんだ、軍規違反だぞ」

「助かるかも知れないだろ!」

男の子は空の包装紙を握り締め、ジープの荷台に帰って行くノートンを見ていた。

「もう戦争は終わった」

ノートンはその子の頭を撫で、そう言った。

便所から帰って来た奴は子供を見もしないで前を閉じた。このことは私と友人、その二人しか知らないはずだった。

パレンター戦争が終わる前にノートンは士官には不適合だとされて剥奪された。

あの夏の空はどこかに行ってしまった。

「元グリーンベレー、申し分ないな」

「ッサー!」

教官はノートンのプロフィールを置いて指でトントンと叩いた。

「しかし、不適合だ」

「子供を助けたからです」

「宇宙飛行士には必要だ」

夜習い教習所。宇宙飛行士になるための機関。

ノートンはイオラの横に並んだ。

「よろしく」

「こちらこそ」イオラは一瞬、微笑したが、すぐに真顔に戻って前を向いた。宇宙飛行士になるためには厳しい関門を抜けなければならない。ふるい落とされる。

この中の誰が。ノートンは整列している男女を見た。

ロング・デロという教官は今はもう年を取っているが元宇宙飛行士として輝かしい功績を上げた。遺伝子レベルでの競合が始まる。

「この中で残るのは三人だ」ロング・デロが参加者のプロフィールを落とした。

「今、落とした中で引いた者は落ちる」

ロング・デロは適当に引いたかに見えた。

「イオラ」横の女が呼ばれた。

「はい」イオラは一歩、進み出て、その顔は真っ白だった。

「嘘だよ」ロング・デロはまたプロフィールを戻して笑った。

全員の気が抜ける。イオラはまだ固まったままだった。

「君たちも分かっていると思うが、この教習所が開いてるのは夜だけだ。昼間寝て夜の夢を見ろ。宇宙はもっと厳しいぞ」

ノートンはイオラの肩にそっと手を出した。イオラは駄目かも知れない。

「ありがとう」イオラは眉を指でもんで、細い息を吐いた。

ノートンは昼間からぶっ続けで夕方まで寝た。

夢ではいつもあの戦争のことが出てくる。宇宙には争いがない。

不適合になるものは煙草ぐらいなものだ。後は幻想か。

子供を助けたのも自分の幻想からくる迷いだろう。

イオラとはすぐ友人になれた。

「夕べ、寝られた?」

「たっぷりと」

「あなた、何やってた人?」

「蟻だよ」

男女は一緒に着替えをする。それも宇宙の一環なのか。

イオラはまだ胸を隠して、服を着る時は後ろを向く。

皆、水色と灰色が混ざったような服に着替えるが三人の内、二人は男、もう一人が女だというのが定石だ。

「君は?」

「医師団で働いてたわ」

「どうして宇宙に?」

「助けられなかったから」イオラの後ろのチャックを閉めてやった。

「宇宙飛行士だからって完璧な人間じゃないの」イオラは頬に手を当てた。

「私は興味が移りやすいの。あれもやってみたいし、これもやってみたいって。だから、宇宙に行ったら他にする事もなくなるでしょ?」

「自己分析も大切だよ」

「宇宙に行ったら夢もなくなるかも知れないわ」

夜習い教習所は少し寒い。

「教官、宇宙人はいましたか」ひょうきんなメイトが手を上げた。

「いなかったよ。君たちが見つけてくれ」

もう一人、脱落している。酒を飲んで来れなかった。そいつの名前も知らないが多分、男だろう。本当に来れなかったのか、来たが脱落したのかも分からなかった。

夜でこの服はない色に等しい。

人は宇宙にいてはだめなのだ。

争いを持ち込むから。

全体練習が終わって個人メニューに切り替わるとほぼ半数が外に出た。

全員、元、何々が付くがここでは意味をなさない。

懸垂をしていた男が手を離して後ろ向きに倒れた。

「おい、みんな!」助けを求めるようにその男が叫ぶと、屋内からも人が出て来て男が目の当たりにしている光景を見た。

子供たちが空から降りて来る。

月の表面に現れる暈のようで、みんな水色の服で黄色いスニーカーを履いている。男の子も女の子も。

小さな雲のようなものに乗って下降してくる様は正に宇宙人との接遇だった。

「おい、ありゃ一体何だ」

「私に聞いてるの?」

誰もその事については分からなかった。

教官だけは出て来なかった。呼びに行った間に、一人、二人と降りて来た。

イオラは心臓を押さえて座り込んだ。

女の子はイオラの額に手をかざした。

「大丈夫だよ」

少女の名前はシャレードといった。一人一人名前があるらしい。

ようやく出て来たロング・デロに男の子が話している。

「ママはどこ?」

「君たちはどこから来たんだい?」

「山から帰れなくなったの」

「山から?」

子供たちは一人、二人と姿を消した。

全てを見ていなかったロング・デロにどこまで報告ができるのか疑問だったがこの事は伏せられた。

「イオラ、君に重大な欠陥が見つかった」

「はい」

「隠してたね」

「はい」

「君はここにいなかったことになる」

「はい」

ロング・デロは目の前でプロフィールを焼いた。

「これからどうするの?」

「分からない。近い所で場所を探す」

「医師団に戻ったら?」

「興味が移りやすいって言ったでしょ。それに、いつでもこのロケットを見ておきたいからここにいるつもり」

「そうなんだ」

「森なんてどうかしら。ほら、ここは森に囲まれてるから」

「帰れなくなるよ」

イオラは軽く笑った。

「隠してて、ごめんなさいね」

ノートンはどこが悪いのかを聞いてなかった。

それにしても、あの子たちは一体どこに行ったのだろう。

着替えを済ましたイオラはもう胸を隠していなかった。

その谷間には血管の所に深い縫合の跡があった。

「じゃあ」

イオラは後ろを向いて手だけ振ってロッカー室を出て行った。

イオラは森林管理局に払い下げになった。

ロッジから出て、毎日山の中を見て回る。

ここは人が入って来る森ではないので整備ではなく保全が主になる。

生きたままの森。そこは人が立ち入れない宇宙のようなものでただ空気があるだけだ。

絡みついた枝々を見れば日の光を奪い合う自然も競合しているのだ。

イオラはトレーニングを欠かさなかった。昼寝て夜走る。夜習い教習所はここからでも見える投光器で照らされておりあの夜は何だったのか。

あの頃はまだ知らなかった。自分とこんなに似てる人がいるなんて。

シャレードはノートンの心臓を掴んで離さなかった。

どこかに行ってしまったがノートンはなぜあの子が好きなのかも分からなかった。

ただ心臓の中に入って来るのだ。動かそうとしても動かない。

「ノートン、この頃気が入ってないな」

「いや、気になる事があってな」

「イオラのことか?」

「そうだ」ノートンは座って柔軟に入った。

「あれで全部かな」

「あ?」

「子供たちさ。あれで全部かな」

「ちょっと後ろから押してくれないか」

「なあ、君が悪いな。俺は何だか宇宙に行くのが嫌になってきたよ。だって、あの子たち死んだから星になって宇宙から降りて来たんだろ? 何かの警告なんじゃないか」

「死んだからって何なんだ」

「気にしてるのはイオラのことだけじゃないのか」背中から手が離された。

「お前は元何だ」

「元天才さ」

あの元天才の男が言ったように星から降って来た子供たちなのかも知れない。

ノートンは夜車を走らせた。高速に乗った。

何か思い出そうとしてる。それはあのパレンター戦争のコソボではない。もっと違う何か。

子供たちが降りて来た時、地面より不相応に数が多いと思った。何か思い出そうとしてる。

何か巻き込んだ音がした。野犬でもひいたか。車を寄せて、ノートンは下りた。

後輪を見ても何も見えない。引き返して歩いていると、高速の横をシャレードが歩いている。

「君!」車の音に消されないように手を上げた。

シャレードは車の中で黄色いスニーカーを脱いだ。

「今までどこにいたの?」

シャレードは何も答えなかった。

ただ前を向いて、ノートンはバックミラーでシャレードを何度も見た。

「どこに行きたい?」

シャレードは前方を指差した。

「よし」

ノートンはハンドルを握って、アクセルを踏んだ。

この夜がどこに続くか分からないでもない。浮游して、僕の体が魂から離れ形が内部から壊される。


異邦人


 二人の脱走軍人。僕と友人。

なぜ逃げ出したのか分からない。記憶の中だから意味なんかないのかも知れない。

行き着いた先は名も知らない村だった。

「今、どの辺だ?」

「もう戦地を抜けたらしい。地図にも載ってない」

僕と友人はジープから下りた。

「この村は変だ」

行き交う人たちは全く二人を意に介さないで歩いている。

「平和なんだろう」

「いや、違う。もっと違う・・」ノートンは周りを見渡した。

住宅の割に人が多過ぎる。

「住民が多いと思わないか」

「言われると、どこに住んでいるのだろう」

「土の中に家があるのか?」

住宅は数えるほどしかないが、人々は入り切れないだろう。

「近くにも他の村があるんじゃないのか」

「あったか?」

「いや、ない」

二人は銃を構えた。

敵が潜伏してるのかも知れない。

銃を構えてるのにも関わらず人たちは一向に興味を持たないままだ。まるで自己がないように。

「行くか?」二人は家の前に立った。

友人は肯いた。

「ドンムーブ!」銃身を家の中に向けたが誰もいない。

「どうしたことだ」

二人は家の中を見て回ったが生活の跡はあるが長く人が住んでいないようだ。

他の家でもそうだった。

「こいつらはどこから来たんだ」

「そしてどこへ」

森に囲まれたこの村にはまるで欲望がないみたいだ。

二人は欲望の戦争からやって来た。

欲望の世界からやって来た二人だ。

「腹ペコだ」

「シリアルバーなんかやるからだ」友人は自分のシリアルバーを半分に折って二人で分けた。

もう戦う気力もない二人は寝そべるように地面に座って銃も足に下ろした。

シリアルバーを折る唇が乾いている。

「いつくってもマズいな」

「あるだけありがたいと思え」

「そうだな。あの子は生きられただろうか」

「さあな」友人は日を前に伸びをした。

その時、歩いている人々が影のように揺らいだ。

日を遮っているからだ。

「おい」ノートンは友人の背中を引っ張った。

歩いている人々は一瞬、友人を見てそれから何事もなく前を向いて歩き出した。

「ここは世界の終わりのために用意された国なんだ」

「何でそんな事が言える?」

「あいつら影だ。影なんだ」

「どうしたノートン。気分が悪いのか」

「誰かのために用意された影なんだ」

「シリアルバーに何か変な物でも」

ノートンは自分の影を消そうと砂を掻いた。

土の中に家があった。

「蟻だ」

上を見ると、小さくなったノートンをあの子が覗いていた。

「ただのサラダバーだぞ」

「出て行ってくれ! 出て行ってくれ!」ノートンは友人をジープの荷台に押し上げ、自分は誰も入っていない家に籠った。

「お前を一人にさせないぞ!」友人を乗せたジープは運転手もいないのに走り出した。

滔々と流る川を見ていると、イオラを誰かが呼びに来た。

「ノートンが不適合になった」

「どうして?」

「子供を連れ回したそうだ」

川は沼に入り込む。

「私でもいいの?」

ロング・デロは肯いた。

「プロフィールは?」

「新しく作り直してくれ」

「コピーじゃだめなの?」

「嘘をついてはいけないよ」

いい匂いがする。

「スイートピー?」

森の中にスイートピーがあったのね。

汗だくのトレーニングウェアを脱いだ。灰色に水色が混ざってそれはない色だった。

スイートピーだけが紫で、夢の形をしていた。

夜習い教習所に戻ったイオラは大歓迎された。

回転する戦争。

コソボ。

「良かった。助かったんだ」

大きくなったあの子はまだパレンター戦争の余波が残る野戦病院で医者になっていた。

ノートンはその子に脚の傷を手当してもらった。

その子は気づくまでもないがノートンはジープの荷台で足を伸ばしながら片足のない男の子と入り口の所で立っている白衣の男をしげしげと見ていた。

ジープが走り去る。もう戦争は終わった。

白衣の男は落ちていた泥だらけの銃を拾い上げた。

片足のない男の子とそれを見ている。白衣の男は私を見た。

ノートンは元気よく手を振ろうとした。

何の表情もない目でその白衣になった子は銃を持ち連射した。

ノートンの中で弾頭が炸裂した。あの子の中で戦争は終わってなかったんだ。

ノートンは友人のロング・デロの銃を構える腕を引っ張った。

「逃げよう。戦争から逃げよう」

「誰にやられた」

「さあな。名前も知らない・・」

「もう喋らない方がいい」

「シリアルバー残ってるか?」

「まだ一本あるはずだ」ロング・デロはポケットに手を入れた。

「それを持ってこの戦争から逃げよう。馬鹿げてる。ここは非武装地域だ」

「脱走軍人は軍規違反だ」

「このジープならどこへでも行けるさ」

「もう喋らない方がいい。もう・・」

ノートンは深く目を閉じた。ジープに揺られながら。

俺は元軍人で生還者だ。ノートンはスイートピーの匂いを嗅いでいた。

イオラから届けられたものだ。

あの時、降りて来た子供たちの中に難民キャンプで一緒になった男の子もいた。

宇宙人なんかじゃなくて地球人だったのじゃないだろうか。

ノートンは森に来た。山で帰れなくなったと言っていた。

沈んだ車が沼の底に見える。藻だの草だのが巻き込まれていてよく見えないが、ノートンの車によく似ている。

あの夜のことを思い返していた。シャレードの口からは機械音がしていた。ジージーと。

自分が不適合になる理由が分からない。子供を助けるクセか。

ノートンは煙草を吸った。汚れていく水。

「沼に車が沈んでいますよ」

ロッジには誰もいなかった。ノートンはスイートピーを挿して、そこに住むことにした。

ここからはロケットが見える。

恐らく、イオラも選ばれるだろう。残った中で女はイオラ一人だからだ。

スポブラ一枚でイオラは腹筋をしていた。胸を押して確かめる。

「森林管理局からだ」ロング・デロが電話をつないだ。

「沼に車が沈んでいるそうだ」

「私はもう辞めたはずですよ。もう、夜習いに・・」

「何もしてこなかっただろう」

引き揚げにはなぜかロング・デロも付いて来た。そこにはなせかノートンもいた。

重機で引き揚げる。

黒くなった車に何か巻き込まれている。滴を垂らして地面に置かれる。

イオラは覗き込んだ。スクリューに何か・・。

イオラは口を押さえた。骨と女。

「この骨は?」

「私です」

「士官」ロング・デロがノートンに敬礼をしている。

「ッサー!」

ノートンだけ歳を取っていない。あの戦争から。

女はシャレードだった。水色の服に灰色の靴下。

「黄色いスニーカーはどこに行ったの?」

「男だから世界が変わるんだ」ノートンはイオラの肩を抱いた。

「やめてよ」ノートンの口からはジージーと変な音がした。

この事は伏せられた。誰も死んでいない。

「私、宇宙に行くことになったのよ」イオラはノートンの目を見ずに言った。

「宇宙で気が変わったらどうするつもりだ」

「緊急着陸するわ」

「いいか、緊急着陸は離陸する時だけだぞ」

「もう、耳にタコ・・」振り返ったら誰もいないような気がしてイオラはビニルの心臓の早い音を聞いていた。

あの口ぶりからいうと、ノートンもロング・デロも山から帰れなくなったんだ。

イオラは凍結した宇宙を見た。ここはいつでも夜だ。

さらけ出す星達と小夜曲のような月。

「宇宙に行ったら分かる事があるかしら」

「イオラ、準備はいいか」メットを付ける。

「いつでも。緊張するわ」

「いつでもって訳にはいかないな。時間は決められているからな」ひょうきんなクルーがイオラの肩を押した。

真ん中に挟まれて打ち上げの時間を待っている。

スポブラの中でイオラの心臓は悲鳴を上げていた。

指を伸ばして緊急着陸の所に置いた。

「おい、このロケットの名前は何だっけ?」

「Rhマイナス型ロケットだ!」

男二人は元気だ。

「酸素、足りるか」

「今から吸っとくか」

イオラは目を閉じて、細い息を吐いた。

ああ、何でこのまま夜に行くのに朝なんだろう。

ノートンはロッジの窓からロケットの打ち上げを見ていた。

もう枯れてしまったスイートピーの横でほぼ同じ大きさのロケットが堂々と立っている。

飛んだ。

ロング・デロとノートンに挟まれてちんまりとシャレードが座っている。シャレードはロケットの中で黄色いスニーカーを脱いでいる。黄色いスニーカーだけが色だったんだ。

子供たちの残した夢。宇宙飛行士になりたい。

魂いぬ夜。

海と風の横で蕩々と黄色と青の帯が広がっている。

安心しきった顔。

「おい、もう離していいんだぞ」

「イオラ?」

子供たちの見た空はどこに帰るの。

イオラの指はずっと緊急着陸に置かれていた。


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