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385話 友情の連携3

385話 友情の連携3



「よしっ……!」


「やったやったーっ!! 有美ちゃん凄いっ!!」


 あまりに美しいシュートに一瞬、時が止まって。数秒の差を生むと共に、体育館中が大歓声に包まれた。


「すっげ。中田さんってほんとにもうバスケ引退してるんだよな……?」


「うん。だけどこの体育祭に向けて相当練習してた。もう今の有美はバスケ部と遜色無い……いや、もしかしたらそれ以上になってるかもね」


 由那から話は聞いていたが、まさかここまでだったとは。


 あのフォームは完全に経験者のそれだ。由那か蘭原さんにパスを出すと思わせておいての身体の反転からのシュートという一連の流れも、あまりに自然すぎてマークの女子が全く対応できていなかったしな。


「っ……スリーポイントなんて、もう絶対打たせないから」


「安心して。こんなのもう決まらないって分かってる。私が無理して打たなくても、まだまだこっちには戦力がいっぱいいるんだから」


 点を決められた相手チームボールから試合は再開する。


 前半の残り時間はあとたったの三分半。せめてスリーポイント一本での同点かツーポイント二本での一点差を、と。一丸となって気合いを入れ直す声が響くと、一人の女子のドリブルによるカウンターが仕掛けられる。


 が────


「ぐふふふふ。行かせないよぉ〜?」


「中田さん、早く戻って!」


「通さないからっ!!」


 由那を始めとした三人による撤退ディフェンスで、おそらくバスケ部であろう女子の動きをピタりと止めた。


 そしてその僅か数秒の間に全力疾走した篠崎さんと中田さんは後方へと戻り、カウンターを打ち消す。


「ちっ……」


「ナイス! とにかくゼロ失点に抑えるよ!」


 凄い連携だ。とてもじゃないが、経験者が二人しかいないとは思えない。


 事前にこういった策を組み立てていたのだろうか。向こうが中田さんに徹底マークを仕掛けたように、こちらもまたバスケ部がボールを持った瞬間、二人どころか三人で止めて無理やりカウンターを潰して見せた。


「っし、取れた! 蘭原さん!」


「はいっ! 篠崎さん、お願いします!!」


「よぉし……私だって、一発くらい決めないとね!」


 そして、カウンター返しへ。


 一人、二人……フェイントと股抜きで圧巻のドリブルを見せつけた篠崎さんと、フォローに行った中田さんのワンツーが見事に炸裂。最後には篠崎さんのレイアップによって、更に二点のリードが追加された。


「勝てる……強いぞ、うちのチーム!」


 中田さんと篠崎さん主体で見事にまとめ上げられたこのチームに、もはや負けは見えない。


 五点リードをつけ、試合時間は残り二分。少なくとともこの前半での負けを疑う奴は一人もいなかった。


「後半のたった五分間で六点も取るのはかなりキツい。このまま終わってくれれば、かなり有利だよ」


「だな。がんばれよ、由那……」


 本当は由那がシュートを決めるところも見たかったというのが本音だが、敵にバスケ部がいるせいでスリーポイントのラインより内側にドリブルで切り込んでいくというのは流石に厳しそうだ。


 しかしそれでも、由那は汗をかきながら必死に動いている。仲間と力を合わせ、パスを回して。好機を作って勝ちに貢献していた。それだけで……胸の内からどんどん高揚感が溢れてくる。




 あと、一分半。由那達の勝利は目前だ。

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