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384話 友情の連携2

384話 友情の連携2



「多分だけど、相手クラスはどこも篠崎さんと私を警戒してくると思う。私達二人だけマークが厚くなるかも」


 時は一週間前に遡る。


 それは、私達八人で構成された前半組のチームが放課後に残って練習していた時のことだった。


「特にバスケ部の篠崎さんは、ほぼ確実だと思っていいはず。私は……本当は無警戒なところを突くつもりだったんだけど。何度か他のクラスの人が私達の練習を覗いてて、私のことを云々言ってるのも聞こえた。だから二人」


 私ただのチームは完全にこの二人が主体となって動いている。


 私、ひなちゃん、薫ちゃん、そして他の子達は全員、バスケ未経験者だ。そのうえこのクラスの運動能力ドベ三人が一つのチームに固まっている。


 本当は私たち三人は誰か一人が後半チームに行ってバラけさせられるはずだったんだけど、それを有美ちゃんが止めた。篠崎さんもいるし大丈夫。なにより私が三人と一緒に試合に出たい、と。


「まあ、そうだよね。なんなら中田さんは私よりも上手いから絶対警戒されてると思う。しかも試合時間はたったの五分でしょ? もたついてたらあっという間だよね……」


「じゃあ私たちは守りに専念したらいいんでね〜の? ゼロ対ゼロで後半になればワンチャンあるだろ〜」


「それじゃダメなの。向こうはバスケ部が三人もいる。流石に三人全員を一チームに固めてくるとは思えないし……こっちは後半に経験者の子は一人もいないから。むしろ防御に専念してもらうのは後半の子達。私達は前半のうちに差を広めとかなきゃいけないの」


 こっちもバスケ経験者が二人いるから、二人をバラけさせて前後半でバランスのいいチームを作るという案もあった。


 ただ、それでも経験者の人数の差は覆らない。だから有美ちゃんと篠崎さんは二人で固まり、前半のうちに一気に差をつけて勝ち逃げするためのエースに選ばれたのだ。


「でも実際問題、五分って短い時間で差をつけるのは大変だよね。せめて私も中田さんくらい上手かったらよかったんだけどな……」


「いや、できる。だって私はそのためにこのメンバーで戦いたいって言ったんだもん」


「え……?」


「聞いて、私の作戦。これならもしかしたら勝てるかもしれない」


 有美ちゃんから私たちに告げられた作戦は、簡潔に言うと「囮作戦」だった。


 まず初めは有美ちゃんと篠崎さんのどちらか一人がボールを持ち、一人で切り込む。そして自分にマークがついてつまづいた瞬間、私たち六人ができる限りの人数でフリーになり、選択肢を増やす。そして私たちに意識が向いた一瞬をつき、不意打ちでシュート。


 とてもシンプルな作戦だし、多分二度は通じない。


 けど、逆に言えば五分という短い時間でこの作戦が一度でも刺されば、有美ちゃんと篠崎さんのシュート精度次第で二点か三点のリードをつけることができる。言わば一度きりの作戦だ。


「じっくり攻めてる時間は無い。だから速攻性のある組み合わせを何個か用意して、対応仕切られる前に……一気に突き放す」




 そしてその作戦は芽吹き、今────わずか一分ちょっとで、三点のリードを生む結果となった。

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