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379話 スーパースター

379話 スーパースター



 時は遡り、数十分前。


「由那ちゃん、パスッ!」


「へえあっ!!」


「ナイス! ーーーーっし!!」


 キュキュッ、と体育館の床とシューズの摩擦で高い音が鳴ったその瞬間。有美ちゃんの細い身体が敵ディフェンスの間を駆ける。


 二人、三人と僅かな体の体重移動でフェイントをかけて華麗に全員躱した後は、あまりに綺麗なフォームのレイアップシュートでゴール。これで十二点目だ。


「有美ちゃん凄い! また決めちゃったあ!!」


「あ、ありがと。由那ちゃんのパスのおかげだよ」


 有美ちゃんが運動神経抜群なことは普段の体育を見ていて一目瞭然だったので知っていたけれど、バスケになると更に磨きがかかっている。


 というのも、どうやら小学生の時に一時期バスケクラブに所属していたらしい。中学校でも受験で忙しくなる夏手前まではバスケ部にいたんだとか。どおりで上手いわけだ。


「ねえ有美ちゃん、今からでもバスケ部入ってよ! 有美ちゃんいれば私たち百人力だもん!!」


「えっ……と。ごめん。部活は今のところ入る気ないかな……」


「「え〜〜っ!! もったいない!!」」


 有美ちゃんめがけてクラスのバスケ部の子達が駆け寄ったところでホイッスル。いつも一緒に体育をしている四組との練習試合は十八対十四で、有美ちゃんの圧倒的活躍により勝利に終わった。


「凄いなあ。まるで風みたいにピュ〜ってドリブルしていっちゃうんだもん」


「だなあ。まあ実際アイツは普段からバスケ部に陸上部、あとたしかソフトボール部からも引っ張りだこだし。あそこまでなんでもできる奴が彼氏との時間減らさないためにって誘い全部断ってるのには笑っちまうよな」


「……薫ちゃん。なんで汗一滴もかいてないの」


「コートの端で存在感消してた。いやあ、由那ちゃんは汗だくでも絵になる。しっかりこの目にスクリーンショットさせてもらったぜ」


「……」


 それにしても、有美ちゃんは本当に凄い。これならこのクラスで優勝も目指していけるかもしれない、なんて。四組以外のクラスがどれだけ強いのかわからない今に言ってもあまり説得力は無いかもしれないけれど。


 とにかく、有美ちゃんには彼女一人いてくれればもしかしたらと思わせてくれるスター性がある。本番の試合でも活躍を期待されるのは間違いなしだ。


「私達も頑張らないとっっ!!」


「へ? ″達″……?」


「よおし! シュートの練習しよ薫ちゃん! 本番はゆーしも見に来てくれるかもしれないし、有美ちゃんに任せっきりにならないようにしないと!!」


「ええ……任しとけばいいと思うけどなあ。いいか? 人には得意不得意というものがあっーーーー」


「関係ない! ほら、薫ちゃんまだまだ元気でしょ!」


「うええ。マジでやるのかあ?」


「大マジ! 有美ちゃんにコツ教えてもらお!」


 今頃は、ゆーしも渡辺君とサッカーを頑張っているのだろうか。


 本番、応援しに行けるといいな。当日のタイムテーブルがまだ出てないから見に行けるかはわからないけれど、もし行くことができたならいっぱい応援しよう。



 きっとーーーー私の彼氏さんはかっこいい姿を見せてくれるはずだから。

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