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372話 勉強会的なもの2

372話 勉強会的なもの2



「ううぅ……終わらないよお。ね、ちょっとだけ休憩しない? ほら、適度に休憩挟んだ方が捗るって言うし!」


「そんな事言って休憩してばっかじゃねえか。ほら、こっちはどんどん消し終わってるんだからさっさと書いてけよー」


「うひゃあ!? もうこんなに!?」


 由那は基本的に集中力が無い。前のテスト期間のときは赤点を取るとかなりまずいという緊張感からかかなり頑張れてはいたものの、さして追い詰められていない時はこんなものだ。


 とにかく話は脱線するし、休憩という名のイチャイチャを求める気持ちが強すぎてそわそわし出し、ペンが進まないこともしばしば。


 けど、そんなことは何度も経験済みなわけで。対策法もよく分かっている。


「頑張れば頑張るほど帰れる時間が早くなって、その分二人でイチャイチャし放題なんだけどーーーー」


「がんばりゅっ!!」


 ああチョロい。我が彼女さんながらチョロすぎる。


「ちょっ、そこのバカップル二号! 早く帰れるとか聞こえたぞ今!! ちゃんと手伝ってくれる気はあるんだろうなあ!?」


「ば、バカップル二号て……そのダサすぎる異名はやめてほしいんだが。まあちゃんと手伝いはするって。少なくとも奢ってもらった分は」


 俺と由那で合わせて、ピザとドリア、ハンバーグまで食べてしまったからな。遠慮するなと言われたから夜ご飯を済ませる勢いで食べてしまった。ここまでしっかり報酬を前払いされておいて逃げるわけにもいかないだろう。


「てか薫、私たちに奢れるようなお金あるわけ? アンタいつもゲームやらなんやら買って金欠なイメージあるんだけど」


「おおん? それなら心配には及ばねえよ。最近バイト始めたからな」


「え……? 薫って労働できたの?」


「どういう意味じゃコラ」


 なんでも、話を聞いているとどうやら夏休み終盤から近所のゲームセンターで働き始めたんだそうな。在原さんには悪いが、俺も中田さんと同じ気持ちだ。この人は絶対労働を意地でもしたがらないタイプだと思っていた。


 しかしゲーセンで働いているというのはイメージ通りだ。今度働いてる時にみんなで押しかけてみようか。


「ってそんな話はどうでもいいんじゃ! バカップル一号! お前ら英作文は順調なんだろうな!?」


「あー、うん。勿論だよ? 今有美と作ってるところ。まだもう少しかかりそうかな」


「本当かぁ? まあそれならいいんだけどよ……」


 嘘である。


 在原さんの座っている位置からじゃ角度的に見えないかもしれないが、俺と由那からはよく見える。


(コイツら、スマホで英作文作るフリして動画見てやがる……)


 やけに二人の距離が近いしずっとスマホの画面ばかり見ているなとは思っていたんだ。寛司はワイヤレスイヤホンを付けているのであろう右耳を頬杖をついた右手で上手く隠し、髪の長い中田さんは完全に耳ごとすっぽりだ。


 しかしまさかここまで大胆にサボりを決め込んでいたとは。さっき一瞬翻訳サイトで打ち込んだ日本語を全部英語にしているのを見たから、多分もう英作文自体は終わっているのだろう。ただそのことを伝えるとすぐに次の宿題が出てくるもんだから、こうしてやっているフリを続けているわけだな。


「くぬおぉぉぉぉおっ!! 終わんのかこれ!? マジで明日までに終わんのかぁぁ!?」




 さて。まあ俺も由那の解答は全部消し終えたし。することも特に無くなったから適当に本のあらすじだけ見て、のんびりと感想文を作るとするかな。

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