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371話 勉強会的なもの

371話 勉強会的なもの



「……で? なんで私たちは集められたわけ」


「た、頼む。助けてくれぇ……このままだと全身折られちまうんだよぉ!」


「折られ……えと、本当にどういうこと?」


 放課後のファミレス。俺たちいつメンは全員グループLIMEで在原さんから招集をかけられ、渋々店に集まっていた。


 渋々、と言ったが正確にはそういう態度を取っていたのは中田さんと寛司だけである。俺は由那から用件を聞かされており、助けることに同意した。蘭原さんは言うまでもなく在原さんの召集であれば当たり前のようにやって来る。


 まあ俺は完全に由那の手助けをするついでだ。半分くらい返って来た課題の文字を消し、由那に再び書かせる。その繰り返しをした後、余力が残っていたら手伝ってあげようかなと。何やら報酬も出るみたいだしな。


「私、今日は寛司の家で借りて来た映画見るつもりだったんだけど。しょうもない話なら帰るからね?」


「う゛っ。しょ、しょうもなくなんかねぇよ? 少なくとも私にとっては命の危機だからな。もし酔っ払った後の奈美ねぇなら……実行しかねねぇ」


「まあなんとなく用件は分かってるけどね。夏休みの宿題、やってなかったんでしょ? それで俺たちに助けを求めた、と」


「ザッツオール! まさにその通りだ渡辺君! 実は明日までに全教科を提出しろって無理難題言われててな……そこで仲良しグループであるチミたちに助けを要請したってわけさ!」


「無理難題? 普通にやってれば終わる量だったでしょ」


「せ、正論パンチはヤメロッ」


 中田さん、寛司、蘭原さんは当然のように宿題を全教科提出したらしい。しかも話を聞けばこの間の旅行より前にもう終わっていたんだそうな。流石成績優秀な三人なだけある。俺も一応出せはしたけど、終わったのは結局最終日の晩だったしな。見習わないと。


「もちろん報酬は出す! 今日は私が全員分のドリンクバー代を出そう! なんなら軽いご飯も食べてってくれてかまわねぇ! だからマジで頼むッッ!!」


「えぇ……寛司、どうする?」


「うわぁ露骨に嫌そうな顔。俺は別に助けてあげてもいいんじゃないかって思ってるよ? 正直一晩でこの量は現実的じゃないし」


「じゃあ映画は? ごはんだって、今日は寛司の大好きなシチューにするつもりだったんだけど……」


「……どうしよう、だいぶ話が変わってきたかもしれない」


「待って! 本当に待ってくれって! わ、わわ分かった。じゃあ晩ご飯の時間まででいい! 二時間! 二時間だけ手伝ってくれねぇか!?」


 え、ちょ……え? なんか今しれっと中田さんがさも当たり前かのように寛司の晩ご飯を作ってる的な発言してなかったか?


 いやまああの二人が色々と進んでることは知ってたし、よく寛司の家に通ってるのも分かってはいたことだけども。なんかもう熟年夫婦感出てきてるな、このバカップル……。


「えへへ、私ドリア頼んでいい? あ、ハンバーグもいいなぁ……。戦の前には腹ごしらえをしとかないとね!」


「お前はお前でノリノリだな?」


「ふっ。人のお金で食べるご飯ほど美味しいものはないのだよゆーし君!」


「ま、まあそれもそうか。じゃあ俺は……おっ、このピザ美味そう。みんなで分けれるし」


「よぉしそっちのバカップルは食欲旺盛でいいこったな! どんどん食え!」


「わ、私も……コーンスープ、飲みたいです……」


「それはドリンクバーについとるから何杯でも飲みなぁ!!」


 結局、ドリンクバーとポテトを担保に中田さんと寛司はその場に残り、英作文大臣へと就任。在原さんは単純作業の繰り返しとなる書き取りに集中し、蘭原さんはその頭脳を生かして数理関係のテキストを。俺と由那はこっちのやる事が終わった後にまたもや読書感想文を書くこととなった。




 ……こういう勉強会的なものって普通、夏休み中に開催するものなんだけどな。

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