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366話 それを人は芸術と呼ぶ2

366話 それを人は芸術と呼ぶ2



 俺は、由那の赤ちゃんのように白くもちもちな肌をこの世界の誰よりも愛している。その自信がある。


 だからこれに興奮に近い感情を覚えてしまうのは、ある種歪なのかもしれない。


 しかし、だ。もちもちつやつやでくすみのひとつも無い肌がほんの少し日焼けし、白を維持したままである部分とそうではない部分が生まれた時。その跡は……ほんの少しの色の違いでしかないそれは、芸術と呼ばれるものへと昇華する。


「へへ〜んっ。ゆーしの日焼け跡を堪能できるのは私だけで、私のを堪能できるのはゆーしだけ。ラブラブカップルさんだからできることなんだよ?」


「お、俺だけ……の」


「そ♡ あ、そうだ! もっといいこと思いついちゃったぁ。ゆーし、ちょっとだけ後ろ向いてて? すぐ終わるから!」


「んぉ? おぉう……」


 なんだろう、この異質な破壊力は。


 水着姿や下着姿を見た時とは違う。明らかにその時の方が露出度は高かったはずで、なんなら今見せられたのなんて首筋のほんの僅かな部分だけだ。


 それだというのになぜ俺は今、固まってしまったのか。由那の彼氏として大変喜ばしい言葉と共に見せつけられたその芸術に、俺は一瞬にして心を奪われてしまったという事だろうか。


 そんな事を考え、脳内では数分。現実世界では三十秒ほどが経った頃。何やらゴソゴソと背後から音がすると思ったら、後ろを向いている俺の横に、見覚えのあるシャツが一枚放られた。


 そして俺は瞬時に状況を理解する。今、俺の後ろで世界一可愛い彼女さんが更に究極な姿として完成されてしまったことを。


「もうい〜よ。ゆーしゆーし! これ見てっ!」


「……っ。っっつ! っつっつっ!!」


 ダメだろ、これは。


 振り向くと、由那は俺のシャツに身体をすっぽりと覆われていた。

 

 身長差も体格差もあるから、やはりサイズ感は合っていない。たわわな胸元は締め付けられる事なく、その存在をしっかりと主張しながらも布に余裕があって。下に履いているはずのショートパンツは脱いでしまったのかと思うほどに完璧に隠れている。


 そして極め付けに────


「これなら日焼け跡、よく見えるでしょ?」


 両肩の内側にくっきりと残った跡。そしてその横にそれぞれあのたわわさんを支えるために現在勤務中のピンク色な紐さん。


 全てのバランスが黄金比と化し、彼シャツ×日焼け跡×下着の紐チラ見せ×サイズが合っていないが故に胸元から色々見えそう×全く見えないせいで下に何も履いていないように見せる巧妙テクという、もう要素を詰め込みすぎな究極生命体彼女さんはイタズラな笑みで微笑むと、ベッドの上で布団に半分身体を潜り込ませながら。隣をぽんぽんっ、と優しく叩く。その様は天使のよう。


「彼女さんは彼氏さんに対し、お互いに堪能し合いながらの強いごろごろイチャイチャを要求します。さあ、一緒にこのお布団の中でぬくぬくに……わわっ、速っ!? ゆーしが今まで見たことない俊敏さで食いついた!!」



 期間限定彼女さん、強すぎる。

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