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365話 それを人は芸術と呼ぶ1

365話 それを人は芸術と呼ぶ1



「……あの、由那さん?」


「なんでしょうかゆーしさん」


「俺、今から着替えるんだけど。向こう向いててくれる気ある?」


「えへへ、お気になさらず〜」


「……」


 同じ部屋で寝泊まりするという関係柄、俺たちはここで同時に着替えることが多い。


 他の部屋にいちいち片方が移動するというのも面倒なので、お互い別方向を向いて配慮し合う形での着替え。男女間でそんなこと、特に男側が痺れを切らして覗いてしまいそうなものだが、意外と上手くやれていた。


 しかし、何故か今日は由那が全く向こうを向いてくれは気配がない。じっと俺の背中を見つめてくる。いくらなんでも凝視されながら全身着替えるというのは恥ずかしいな。


 まあ由那のことだ。実際に俺が何も気にせずここで裸になったら顔を真っ赤にして目を逸らしてしまうような気もするけれど。俺にはそこまでの勇気が無いため、とりあえずシャツだけ着替えて後はお風呂上がりに替えることにした。


「あ、ゆーし日焼けしてる。シャツの袖のとこでくっきり跡ついてるよ? というか全体的にもちょっと黒くなったような……?」


「マジ? うわ、ほんとだ。まあ俺は日焼け止め塗ってなかったしなぁ。当然っちゃ当然か」


 別に塗ってもよかったのだが、正直面倒だった。塗らなきゃいけない範囲は広いし時間もかかる。あと、なんか男は別に塗らなくてもいいかという考えが俺の中にあったのだ。寛司とかならそういうところはちゃっかり対策してそうだが。


「肌焼けしてるゆーしもしゅき……♡ ね、早くぎゅっぎゅしよ? いちゃいちゃごろごろで期間限定日焼けゆーしさん堪能させて?」


「落ち着け落ち着け。というか、そういえば由那の方は大丈夫だったのか? 一応ちゃんと塗ってはいたけど」


「ほぇ? う〜んと……」


「ちょっ!? めくるなバカ!!」


 ぺろんっ。どういう確認の仕方なのか、由那はシャツの袖を上げて確認するのではなく、お腹のあたりをいきなり捲し上げてぺたぺたと自分のおへそ周りを触って見せる。


 可愛らしい縦向きのおへそがチラ見せされ男として刺激を受けつつも、咄嗟に反射で目を逸らすと。やがて由那は自分の身体のいろんなところを確認したのち、言った。


「……これ、ちょっとえっちかも」


「へっ……?」


「ふふ、ふふふふふっ。ゆーしさんゆーしさん。私の身体が大好きな彼氏さんに朗報です。どうやら期間限定で仕上げられたのは彼氏さんだけではありませんでした!」


「し、仕上げられ? 一体何を見つけ────てぇっ!?」


「こういうの……男の子は大好きなんだよね? 私、知ってるんだよっ」


 すすすっ。由那が首元に手をかけてゆっくりとシャツをずらしながら見せたのは、くっきりとした一本の線上の跡。


 それを見せられるまで気づかなかった。どうやらコイツも日焼け止めを塗るまでの間に肌が軽く焼けていたらしい。


「ひ・や・け・あ・と♡」



 そしてそれ故の────水着跡という芸術作品が、そこには浮かび上がっていた。

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