361話 みんなで一緒に
361話 みんなで一緒に
「ひょひょひょ! 見ろひなちゃん!! 酒カス教師の生き埋めじゃぁ〜!!」
「うびぃ……お゛えっ」
「ちょ、なんか先生顔青くないですか!? 吐きませんよね!?」
寛司達と四人で荷物を置いていた場所へ戻ると、そこにはツッコミどころ満載の光景が広がっていた。
まず先生が埋められている。顔だけを出し砂風呂に入るかのようにして、在原さんによって半ぱ生き埋め状態とされていたのだった。
えらく上機嫌な彼女の後ろでハラハラとした表情を見せている蘭原さんは蘭原さんで、なになら砂で奇妙な建造物を作っている。何かの塔? のような。ロケットのような形でなぜか真っ直ぐにではなくやけに傾いていて……え、あれってまさかピサの斜塔か? どうやって立ててんだあれ……。
そして極めつけに。恐らく一人でプチ宴会を開き見事に酔い潰れたのであろう先生は、何やら唸るようにして低い声を上げながら顔を真っ青にしていた。あれ、割と吐く寸前な気がする。なんて状態で埋めたんだ在原さんは。
「お、みんな戻ったのかよ! ちょうど今から奈美ねえのち◯ぽ作ろうとしてたところなんだ! 一緒にやるか?」
「いややらないわよ。何バカなことしてんだか……」
「在原さん、やけに上機嫌だね。もしかして大会、良い結果残せたの?」
「お、よくぞ聞いてくれた! 見よ、この栄光の証を!!」
そう言って掲げられたのは、二枚の小さなカード。リボンのようなものがついており商品のようになっているそれは、確か優勝賞品だと言っていた物だ。
「ひなちゃんとのナイスコンビネーションで余裕の優勝よ! おかげで一人あたり三万だぜ三万!! コントローラーもソフトも買い放題だ!!」
「ゆ、優勝!? 薫ちゃんもひなちゃんもすごいっ!!」
「わ、私はそんな。薫さんが凄かったからで……」
「なぁ〜に言ってんだよ。ひなちゃんの後方支援あってこそだろ? 私一人じゃ突っ込んでもすぐに取り囲まれて終わりだからな。ほんっと最高のバディに育ってくれたぜ」
「バディ!? それってつまり、相棒……一生の仲……結婚!?!?」
「はは……」
在原さん、先生の股間に立派な突起物を再生してる場合じゃないって。後ろ見ろ後ろ。アンタのバディとんでもない顔してるから。もう涎垂らしてトロットロに溶けんばかりの勢いだぞ?
しかしまあ、いつもの如く。何故か自分に対するそういったものに疎い在原さんはまたもや蘭原さんの強烈な好意に気づかない。結局この二人の進展はいつになることやら。
「っし。みんな帰ってきて奈美ねえの立派な息子も完成したことだし。最後にひと泳ぎすっか! お前ら、この私についてこい!!」
「ひゃひ! 一生ついていきましゅっ!!」
「は〜い! 私も行くよぉ〜」
「おまっ……引っ張るなって!」
「有美は行かないの?」
「……行く」
「お前ら、待っ────う゛お゛え゛ぇ……っ」
さて、この海にいられる時間もあと僅かだ。
目一杯、悔いの残らないように楽しむとしよう。




