表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

405/464

361話 みんなで一緒に

361話 みんなで一緒に



「ひょひょひょ! 見ろひなちゃん!! 酒カス教師の生き埋めじゃぁ〜!!」


「うびぃ……お゛えっ」


「ちょ、なんか先生顔青くないですか!? 吐きませんよね!?」


 寛司達と四人で荷物を置いていた場所へ戻ると、そこにはツッコミどころ満載の光景が広がっていた。


 まず先生が埋められている。顔だけを出し砂風呂に入るかのようにして、在原さんによって半ぱ生き埋め状態とされていたのだった。


 えらく上機嫌な彼女の後ろでハラハラとした表情を見せている蘭原さんは蘭原さんで、なになら砂で奇妙な建造物を作っている。何かの塔? のような。ロケットのような形でなぜか真っ直ぐにではなくやけに傾いていて……え、あれってまさかピサの斜塔か? どうやって立ててんだあれ……。


 そして極めつけに。恐らく一人でプチ宴会を開き見事に酔い潰れたのであろう先生は、何やら唸るようにして低い声を上げながら顔を真っ青にしていた。あれ、割と吐く寸前な気がする。なんて状態で埋めたんだ在原さんは。


「お、みんな戻ったのかよ! ちょうど今から奈美ねえのち◯ぽ作ろうとしてたところなんだ! 一緒にやるか?」


「いややらないわよ。何バカなことしてんだか……」


「在原さん、やけに上機嫌だね。もしかして大会、良い結果残せたの?」


「お、よくぞ聞いてくれた! 見よ、この栄光の証を!!」


 そう言って掲げられたのは、二枚の小さなカード。リボンのようなものがついており商品のようになっているそれは、確か優勝賞品だと言っていた物だ。


「ひなちゃんとのナイスコンビネーションで余裕の優勝よ! おかげで一人あたり三万だぜ三万!! コントローラーもソフトも買い放題だ!!」


「ゆ、優勝!? 薫ちゃんもひなちゃんもすごいっ!!」


「わ、私はそんな。薫さんが凄かったからで……」


「なぁ〜に言ってんだよ。ひなちゃんの後方支援あってこそだろ? 私一人じゃ突っ込んでもすぐに取り囲まれて終わりだからな。ほんっと最高のバディに育ってくれたぜ」


「バディ!? それってつまり、相棒……一生の仲……結婚!?!?」


「はは……」


 在原さん、先生の股間に立派な突起物を再生してる場合じゃないって。後ろ見ろ後ろ。アンタのバディとんでもない顔してるから。もう涎垂らしてトロットロに溶けんばかりの勢いだぞ?


 しかしまあ、いつもの如く。何故か自分に対するそういったものに疎い在原さんはまたもや蘭原さんの強烈な好意に気づかない。結局この二人の進展はいつになることやら。


「っし。みんな帰ってきて奈美ねえの立派な息子も完成したことだし。最後にひと泳ぎすっか! お前ら、この私についてこい!!」


「ひゃひ! 一生ついていきましゅっ!!」


「は〜い! 私も行くよぉ〜」


「おまっ……引っ張るなって!」


「有美は行かないの?」


「……行く」


「お前ら、待っ────う゛お゛え゛ぇ……っ」


 さて、この海にいられる時間もあと僅かだ。




 目一杯、悔いの残らないように楽しむとしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ