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336話 後輩との再会3

336話 後輩との再会3



「えぇ〜っ!? ちょ、えっ!? マジすか!? あの先輩が今教師ィ!?」


「うるせ……耳元で騒ぐなよ」


「い、いやだって。流石に意外すぎるというか……」


 まあ言いたいことは分かるけどな。


 自分でも教師なんて柄じゃないと思う。向いてるか向いてないかで言えば圧倒的に向いていないし、何より私は子供が大嫌いだ。とてもじゃないが教師なんて務まらない。


 が……仕方ないだろう。私には頭くらいしか取り柄がなかった。とりあえずノリで受けた教員免許試験が合格で就活の苦しさからおさらばできると考えたら他の就職先を探すやる気が起きなかったんだ。


「じゃあさっき一緒にいた高校生っぽい子達は……」


「教え子。そのうちの一人が昔からの付き合いでな。頼まれて引率してんだ」


「そ、それ気まずくないすか? 一回り歳の離れた教え子と旅行なんて私なら絶対嫌っすけどね。何かあったら責任も押し付けられそうですし」


「まあなぁ。言いたいことはすげー分かる」


 実際私だって最初は乗り気じゃなかったし。お母さんから宿泊費をタダで出してもらえるって条件付きじゃなかったらまず参加してない。たとえそれが薫の頼みだったとしても、だ。


 ふぅ、と一本目の最後の一吸いを終えて、灰皿に擦り付けて火を消す。そしてすかさずもう一本取り出して火を付けると「当たり前のように二本目いくんすね〜」と苦笑された。何が悪いんだこの野郎。


「そういや、そういうお前はどうなんだよ。大学でサークルとか入ってねえの? 一応はまだ華の大学生やってんだろ」


「い、一応て。普通に二十歳なんでまだ四年生ですらないんすけどね。サークルは入ってませんよ。適当に友達とダラダラ過ごしてます」


「へぇ。そりゃ何よりだな。なんやかんやでそういうところ器用だったもんな、荒野は」


「えへへ〜。人付き合いだけは自信あるんで」


 羨ましい限りだな。


 むしろ私は逆だ。勉強はできても友達が全然いなかった。同学年に仲のいい奴がいなさすぎて好いてくれる後輩の方が多かったくらいだし。


「あ、そういえば聞いてくださいよ! 先輩も所属してた占い部あるでしょ? 私この前そこの高校の文化祭で助っ人頼まれちゃって! まだあの部残ってるんだ〜ってちょっと嬉しかったんすけど、お酒で釣られて無理やり連行されたんすよね〜」


「占い部? そーいや覗いてなかったけど……お前来てたのか」


「え?」


「ん?」


 なんだ急に。なんで首を傾げる? 何か変なことを言っただろうか。


「な、なんかまるでその場にいたみたいな言い草っすね?」


「んぁ? いたっつーか……いやまあ占い部の出し物には行ってないけどな。所属してる学校の文化祭だし。一応校内にはいたぞ」


「……もしかして先輩が先生やってる学校って」


「私らの母校だけど」


「い、いいいたんすか!? ならなんで声かけてくんないんすかぁ!! えぇ? マジで全く姿見てないんすけど!!」


「んなこと言われたって。お前が来てたって知らなかったしなぁ。まあそれを知ってたら久しぶりに会うかって声くらいはかけたかもしんねぇけど」


「くんぎゅぅ……っ!!」




 いやぁ、世の中って意外と狭いよな。ほんと。

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