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328話 水鉄砲合戦4

328話 水鉄砲合戦4



「くっ……当たらない!!」


「良い腕してるね。流石は在原さんとゲームをプレイし続けてるだけのことはある」


「このっ! このっ!!」


「でも、それじゃ俺には当てられないかな。もっと工夫しないと」


 オイオイオイ。何アイツ平気で全弾避けてんの? 確かに俺だって頭に当たらないようってくらいの躱し方はできたけど、アイツの回避能力は遥かに上。さも当たり前かのように涼しい顔をして頭以外の部位への攻撃すら一つも被弾していない。ほんと化け物かよ。


 蘭原さんも蘭原さんだ。由那に対して反応すらさせなかったように、正確無比なエイム力を持っている。しかもそれに加えてさっきから寛司に一撃でも喰らわせるべく撃ち方を工夫し始めた。水鉄砲特有の引き金を押している間は水が出続けるという特性を利用し、空中で水を鞭のように操り始めている。


 それに比べて────


「ぐぬおぉぉぉ!! ヤメ、ヤメロォォ!! お前、水を補給してる時は攻撃しちゃダメって定石を守れねえのかぁ!?」


「ふんっ、こっちは普段のやり返しをするために来たんだから。待ってやる筋合いなんて無い!」


「おま、一生目ばっかり狙ってくるな!? さっきから海水入って痛いんだぞ!!」


「ふっふっふ〜。覚悟してよね薫ちゃん。二人で集中砲火だ〜!!」


 なんだろう。こっちの置いていかれてる感は。


 まあ海できゃっきゃするテンションとしてはこっちの方が多分正解に近いんだけどな? ただ寛司に戦いを任せた後だからなんかこう、逃げた感が否めない。


 だけどどの道あっちに今から混ざっても瞬殺されるだけだろうしなぁ。というか、俺も元々の目的は在原さんにお灸を据えることだったわけで。


「……」


「がばっ、ごぼぼ……溺れりゅ! か、神沢く、助け────」 


 ビシュッ。じゃばばばば。ちょろろろろ。


 気づけば無言で引き金を引いていた。水が出なくなるまでずっと。


「き、きしゃまらぁっ!! か弱い女子を虐めて楽しいかぁ!?」


「「「……か弱い?」」」


「なんでそこではてなマークを浮かべるんだよぉぉぉぉお!!!」


 図太いの間違いだろう。か弱いっていうのは蘭原さんみたいな子のことを言うんだよ。


 俺を含めた三人から顔面に集中砲火を喰らい、水の補給すらままならないまま。叫びも虚しく俺が撃っている間に補給を完了させていた二人からまた海水を浴びせられ続ける。


 ああこれあれだ、永久機関が完成しちまったわ。三人のうち誰か一人でも撃ってればあと2人は水を補給できるし。三人同時にタンクが空にでもならない限り終わらないぞ。


「あぁ……快っ感。長い付き合いだけどここまで薫をこけに出来たのは初めて。幸せ……♡」


「ぐえっへっへっへ。逃げようとしても無駄だよぉ? なんか私いつも誰かにやられてばっかりだもん! こういう時にこっち側を楽しんでおかなきゃ損だよね!!」


 この集中砲火を終わらせる方法があるとすれば二人が満足することだが、この調子だと当分は無理そうだ。




 蘭原さんが助けに戻れる気配もないしな。とりあえず……うん。俺も撃ち続けておくか。

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