323話 彼女さんの新水着
323話 彼女さんの新水着
それからしばらく。俺と寛司はすぐに着替えを終え、隣の女子用更衣室からみんなが出てくるのを待っていた。
由那は一体どんな水着を用意してきてくれているのだろう。持っている黒色と黄色は除外するとして、好きそうな色。
パッと浮かんだのは白色とピンク色だな。可愛いものが大好きな由那ならその二つは間違いなく候補に挙がってくる。特にこの二色は髪色と昨日見せられた下着の色。第一候補と言っても差し支えないだろう。
「お待たせ〜! ゆ〜し〜!!」
「おっ。やっと出てき……うぉ!?」
「えっへへ、どう? たまにはこういう色もいいかなぁ……って。ちゃんと似合ってる?」
両手を後ろで組み、その豊満なものを全面的に押し出しながら。もじもじと少し恥ずかしそうに視線を送ってくる彼女さんが纏っていたのは、水色の布を白色の紐で結んだ爽やかな色のビキニ。
コイツほんと何着ても似合うな。言われてみれば水色の服ってあまり着ているところを見たことがない気がするけど、それでも全く違和感がない。流石は世界一可愛い俺の彼女さんだ。
「めちゃくちゃ似合ってるぞ。いいな、その色」
「ほんとに!? やったぁ! ふっふっふ……緑色とも悩んだんだけどやっぱりこっちにして正解だったね。勇士もその水着、似合ってるよ♡」
「まあ前と変わってないけどな」
「いいの〜! ぐふふ、彼氏さんの生肌だぁ。ね、ちょっとだけすりすりしちゃダメ? ちょっとだけ! 先っちょだけだからぁ!!」
「ダメに決まってるだろ。すりすりて……そういうのは二人きりの時だけな」
「ぶぅ。はぁい」
ぷくっ、と頬を膨らませて不満を露わにしながらも。それならとすかさず腕に巻きついて身体を寄せてくる。
すりすりこそしてこないものの、「むにゅっ」と効果音が付けられそうなほどに柔らかいものを押し付けられた。いつものことながらやはりとてつもない破壊力を有した爆弾だ。
「お待たせ……か、寛司! どう……?」
そして次に出てきたのは中田さん。
確か前は白色のフリルのある水着を着ていた気がするが、今回は趣向が一変。今回は薄紫のパレオを纏っている。胸部装甲こそ薄いものの、スタイル抜群でくびれている腰元に巻かれたそれには寛司も大喜びなようで。
「ねぇ有美。そんなに俺のこと喜ばせてどうするつもりなの? 我慢……効かなくなるよ?」
「ちょ、えっ!? 寛司? 顔、怖いよ……?」
このように理性崩壊寸前まで追い詰められた様子だった。いつもはキザで緩やかな表情も、今では表情筋に力を入れているせいか少し強張っている。
「れでぃ〜すえんどじぇんとるめぇ〜ん! さて、各々彼女さんの可愛い水着に惚れ惚れするのはいいけどよぉ。ここで真打の登場だぜ! ほら見ろ男子! 美少女クラスメイト二人の水着姿だぞ!!」
「ふ、二人!? 私は違いますよ!?」
そして最後に。ででどんっ、と凄みを効かせて出てきたのは、堂々とそのたわわとくびれを見せびらかすようにした緑のビキニ着用の在原さんと、その後ろでコソコソと隠れているワンピースタイプの水着を着た蘭原さん。
ヒーローは最後に現れると言わんばかりに満を持して出てきた二人(おそらく蘭原さんは巻き込まれただけだが)だったが、生憎と登場の順番を間違えたな。
「ゆーしぃ。一緒に浮き輪でぷかぷかしようね? あ、ボールぽんぽんも楽しいよ! どっちも持ってきてるから早く膨らませよ〜!!」
「おう。んじゃ先生のところ戻るか」
「これはちょっと気を引き締めないとな。こんなに可愛くて魅力的な女の子がいたら絶対悪い虫が寄ってくる。有美、絶対俺の隣から離れちゃダメだからね」
「か、可愛いって。いっぱい褒めてくれた……。えへへ」
「ちょぉ!? おま、お前ら!? 見もしないのかよぉぉぉおっ!?」
「あぅ。やっぱり学校の水着で来ればよかったかな。こ、こんなに可愛いの……絶対似合ってないよぉ……」
水着を自慢するなら由那と中田さんより早く出てくるべきだったな。俺も寛司も愛しの彼女さんの新水着から目が離せないのだ。確かに在原さんも蘭原さんも大人気の女子だけども。
やっぱり世界一可愛い自分の彼女さんには敵わないのである。




