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294話 イチャイチャ水族館デート3

294話 イチャイチャ水族館デート3



「わぁ……綺麗っ」


 由那ちゃん達と別れてしばらく。私は寛司と二人でトンネル水槽に入っていた。


 トンネルのように私達が通るスペースだけをくり抜いたような形をした水槽は、百八十度どこを見ても魚が目の前で泳いでいる。


 水槽の底の方にはウツボや、本物なのかレプリカなのかは分からないがサンゴ礁も。そして上を見上げればエイ、サメ、ウミガメなどがその広々としたスペースを気持ちよさそうに泳いでいる。太陽光のように調節された絶妙に明るい光と海のように水色に輝く綺麗な水もまた、美しさをより際立てていた。


「やっぱり水族館はいいね。なんかついつい有美との初デートの時のこと思い出しちゃうな。ほら、有美がサメを触れるコーナーで────」


「へ、変なこと思い出さなくていいから! ったく、もぉ……」


 そっか。初デートからもう何ヶ月も経ってるんだ。


 本当に最近は日々が過ぎていくのがあっという間だ。中学生の時はよく一日が長いと嘆いていたのに、寛司と出会ってからは……。


(って、なに恥ずかしいこと考えてんの私は!!)


 顔にじんわりと熱が篭り始めたのを感じ、私は咄嗟に考えるのをやめた。


「それにしても本当に綺麗だね。なんかいつまででも見ていられる気がするよ」


「う、うん。……アンタとだから余計に、ね」


「? 何か言った?」


「な、なんでもない! ただの独り言だから!!」


 全く、私はどう考えても最近変だ。


 そりゃ当然寛司のことを好きになったから恋人関係になったわけで。だからこの感情はごく自然だし、むしろ持っていなきゃいけないものだと分かっているけれど。


 それにしても、だ。


(かっこ、いい……背景が綺麗だから余計に……)


 最近、私の中のコイツへの好きが溢れ出して止まらない。


 由那ちゃんじゃあるまいし。いつも人前でベタベタしたり、際限なく甘えたり。そういうのは私のキャラじゃないはずなのに。


 今、すっごくキスしたい。人目なんて度外視していっぱい甘えたい。


 ああもう、こうならないためにさっきスカイロードでソフトを食べた後いっぱいキスして″発散″したのに。


「あ、そうだ。せっかくだから写真撮ろうか。ほら、初デートの時も撮ったよね。それと全く同じ構図にしてさ、成長日記じゃないけど……見比べてみたいなって」


「写真? うん、いいけど。そんなに変わってるかな?」


「どうだろ。ずっと一緒にいるから分からないだけで、実は結構変わってるかもしれないよ」


「うーむ……」


 まあ私も写真は欲しいし。成長云々には全く自覚がないからなんとも思わないけれど、とりあえずこの綺麗な場所で寛司とのツーショットができるなら私はそれでいい。


 ウミガメが私たちの上を通過し、何度か旋回する。まるで早く撮れと言わんばかりだ。


 それに気づいたのか、ウミガメがどこかへ行ってしまう前に一早く撮影をしようとしたのだろう。てっきり誰か撮ってくれる人を探しにいくものだとばかり思っていたのに、寛司はいきなり私の肩を引き寄せて。


「有美、撮るよ!」


「え、ちょっ!?」


 若干下の画角から、頭上のウミガメも一緒に映るように。




 インカメでシャッター音を鳴らしたのだった。

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