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282話 スカイロード

282話 スカイロード



「よーし、みんな忘れ物はないな! それじゃ出発だ!!」


「お前ら生きて帰ってこいよ〜。担当クラスの生徒と一緒に旅行行ってるだけだも知られたら不味いんだ。それで怪我とかさせたらいよいよ懲戒免職もんなんだからよ〜」


「お〜う。任せとけ……って、うおっ!? ちょ、奈美ねえ服着ろ!! 何着替えてる途中で出てきてんだぁ!?」


 館内着に着替えている途中だったのだろう。上半身だけをひょっこりと出した先生は、前をはだけさせていた。


 幸い下着なんかが見えることはなかったが……ん? ちょっと待て。前あの開き具合で下着が見えないっておかしくないか? ま、まさか裸の上から館内着を羽織ってたんじゃ……


「ゆ〜しぃ〜?」


「へっ!? ちょ、由那さん? なんでジト目なんですか……?」


「あ、あはは。有美? 前見えないよ?」


「何? 見たかったの? ……私がいるのに」


「せ、先生……やっぱりおっきい……」


「ほら見ろ。奈美ねえのせいで色々ややこしくなっただろうが」


「あいでっ」


 無防備な格好を曝け出した先生に在原さんがゲンコツを喰らわせると、しゅっと引っ込んで部屋へと戻っていく。


 全く、本当自分のことに無頓着な人だ。羞恥心というものがないのか。女子組の前でならまだしも、俺と寛司がいる前ではやめて欲しいものだな。おかげで彼女さんが死ぬほど嫉妬してる。あと中田さんも。颯爽と寛司の目を両手で覆ったかと思えば、何やら恥ずかしい言葉を呟いていた。


「ゆーしは私以外見ちゃ嫌だよ? わ、私だっていつかは大人の魅力を身につけるもん!!」


「お、おぅ。大丈夫だって。俺は由那以外見てない……から」


「ほんと!? えっへへ、じゃあ手、繋ご!」


「……はい」


 なんだろう。言ってる途中で言葉が詰まるくらいには羞恥が。いや、俺が由那以外の女の子を見てない(物理的な意味ではなく、恋愛の対象として)ことは事実なんだけども。それを改めて言わされるというのは中々にクるものがある。


「は〜ぁ。オイバカップル共。イチャイチャしてないでさっさと行くぞ! バスが出るまであと二分しかないんだからな!!」


「そ、そうですね。早く行きましょう!」


 というわけで。一悶着あったものの、俺たちは旅館を出てそのすぐ前のバス停からバスに乗車した。


 そこからは幾つかのバス停を通り、二十分ほど揺られたところで駅へ。電車で三駅行くと、目的地へと直通のバス乗り場へと辿り着く。


「えっ……と。よし、あれで合ってるな。乗るぞ〜!」


 第一の目的地。そこはここからしばらくバスで山道を登った場所にある。


 俺はその名を聞いたことは無かったのだが、なんでもかなりの名所らしい。山々の間を切り開くように作られ、展望台などからとはまた違い″山と山の間″から景色を一望することができる橋。


 全長三百メートルとされるその橋の標高は、その遥か下の川から記録して最高約六十メートル。落ちてしまえば確実に助からない、さながら空の道とも称される観光名所。




 スカイロードである。

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