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263話 仲良し会議

263話 仲良し会議

 


 とある夜。仲良しグループと命名されたグループLIMEが動き出す。


『聞けぃ! 皆の衆!!』


『どしたの〜?』


『旅行の段取りが決まったぞ!! 日程はまだだが、一泊二日だ!!』


『い、一泊!? ちょ、外泊ってこと!?』


『高校生ってそれダメなんじゃなかったっけ……?』


『ふっふっふ。いいところに気がついたな渡辺君。しかしモーマンタイ! それは高校生だけで泊まりに行く場合の話だからな!!』


『俺たち以外にも誰か来るってことか? 在原さんの親とか?』


『聞いて驚け。私たちの運転手兼引率係は……我らが担任、湯原先生こと奈美ねえだ!』


『大丈夫か』

『大丈夫? それ』

『大丈夫なの?』

『だ、大丈夫?』

『大丈夫……なんですか?』


『うわぁ、全員ほぼ同時かよ。奈美ねえ、どんだけ信頼無えんだ』


『いや、信頼どうこうっていうか。俺たちあの人のだらしないところとお酒飲んでるところとタバコ吸ってるところしか見たことないから……』


『というか、あの湯原先生がよくOKしてくれたね。何か餌で釣ったの?』


『お、渡辺君鋭い。そうとも。ほら、私と奈美ねえ、家族絡みの付き合いがあるって言ったろ?』


『あー、言ってたような』


『奈美ねえのお母さんに相談したら、宿泊費を娘の代わりに負担するって。つまり奈美ねえからすれば運転するだけでタダ旅行が手に入るってわけ』


『……それ、湯原先生のお母さんはなんでそんなこと言ってくれたんだ?』


『私が好かれるいい子だからDAZE☆』


『胡散臭い』


『か、薫さんはみんなから好かれる最高の人格と美貌の持ち主ですから! と、当然です!!』


『やめてひなちゃん。そんなこと言ったらこのバカはつけ上がるから』


『な、なにをぉ!? お前ら、誰のおかげで旅行のプランが組めたと思ってんだァァ!?』


『ま、まあ……うん。とりあえず旅行楽しみ!!』


『コイツ、考えるのを放棄しやがった……』


『安心しろって! 奈美ねえは普段はあんなだけど、少なくとも自分のためなら本気を出せる女だ!』


『何その謳い文句。クズすぎる……』


『奈美ねえのお母さんが旅行までに何度か運転させて慣れさせるって言ってたし、そうそう事故も起こさねえよ。それより一泊二日の旅行だぞ!? 由那ちゃんみたいに素直に喜べぃ!!』


『えへへ、みんなでお泊まり旅行……ほんとに楽しみだよ〜!!』


『わ、私も……。その、楽しみです!』


『まあ楽しみなのは楽しみ、だな。高校生でこういうことって滅多にできないだろうし』


『……それは、まあ』


『あ、有美今嬉しそうにニヤけてる』


『なんでバラすの!?』


『おぉい!? お、お前ら……夜の十時だぞ今。当たり前のように一緒にいるのな……』


『わ、私だってゆーしといるよ! それに今夜はお泊まりだもん!!』


『張り合うなバカ……』


『わ、私も薫さんと!! お泊まり、したいです……』


『ひ、ひなちゃんがいきなりぼっちみたいに!? くそぅ、こうなったら私たちもお泊まり会するぞ! ラブラブカップルに抵抗じゃい!!』


 夜は静かに老けていく。


 夏休みもあっという間に中盤。旅行は奈美の都合に合わせ二週間後に決行することとなった。




 この夏休みの、一大イベントである。

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