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256話 運動音痴と筋トレタイム1

256話 運動音痴と筋トレタイム1



「……んぁ?」


 朝、目が覚める。


 布団の中で一人。薄ら目を開けてからすぐ、寂しい感情に襲われた。


「そっ……か。今日は由那、一緒に寝てないんだな」


 スマホで時間を確認すると、まだ朝の五時半。おそらくだが今由那は下で朝ご飯を作っている頃だろう。


 昨日はお泊まりの日じゃなかったから一人で寝た。寝る時からずっと思っていたことだが、由那と抱き合いながら眠る感覚に慣れてきているものだから何かを抱きしめながらでないとどこか寂しい感情に襲われる。一人の夜用に抱き枕でも買ってみようか。


 どこか二度寝する気分になれず、軽い尿意が来たので身体を起こしてベッドから出る。


 なんだかんだで、こうやって一人で朝を迎えるのは久しぶりだ。由那はお泊まりじゃない日でも俺が起きる前には布団に潜り込んでくるからな。結局起きる時からずっと一緒にいる。


 つまり由那無しの朝を迎える条件は、お泊まりじゃない日かつこの時間帯に起きることのみなわけで。そりゃまあ、久しぶりな感覚に陥って当然だな。


 そんな事を考えながら、あくび混じりに階段を降りてトイレへ向かう。


 その後はすぐ部屋に戻ろうと思っていた。が、トイレを済ませ手を洗ってからリビングの前を通ると、ふわりとお味噌の良い匂いが漂ってくる。


(は、腹の減る匂いだ……)


 どれ、せっかくだ。由那お手製作りたてお味噌汁をちょっと摘みに行こうか。エプロンを着てまるでお嫁さんのようになっている眼福な姿も見られるだろうし。目覚めにはちょうどいい。


 なんなら後ろから脅かしてやろう。まさかこんな時間に俺が起きているだなんて思っていないだろうしな。


 そろり、そろりと足音を殺しながら。リビングを通りゆっくりとキッチンへと向かう。


 そして彼女の姿が見えた瞬間、急接近しようと────


「んっ……ん〜っ!」


「……何してるんだ?」


「へっ!? ゆ、ゆーし!? なんでここに!?」


 したのだが。その瞬間、目が合ってしまう。


 ピンク色のマットを床に敷き、その上に寝っ転がって。何やら身体をプルプルとさせながら頭の後ろに手を回している、変な生き物と。


 なんだこれ、どういう状況だ。というか何してるんだ?


 頭の中ははてなマークだらけだが。


 とりあえず、可愛い。


「ね、寝転がるならソファーの方がいいぞ?」


「寝転がってるんじゃないよ! こ、これは……頑張ろうと!!」


「何を?」


「………………腹筋」


 あ、あぁ、そうか。身体がプルプルしていたのは通りで。


 どうやら由那的には、あれは腹筋をしようとしていた最中だったようだ。あまりに身体が起こせていなかったものだからてっきり寝転がってリラックスしているものだとばかり。


「まあその……うん。あれだな。いいんじゃないか? 運動って大事だしな」


「う゛ぅ。フォローされると余計に辛いよぉ……」


 それにしても急に筋トレし出すなんて。何かあったのだろうか。って、筋トレ始める理由なんてそう候補は多くないけれど。




 とりあえず、話は聞いてみるか。

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