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250話 親友とショッピング4

250話 親友とショッピング4



「こ、今夜運動するし……ジョギング、するもん……」


「くあぁ〜! 糖分摂取すると生き返るなぁ!!」


 糖分という名の幸せを口から取り入れると、ぱあぁっ、と身体中が発行するように光り輝いて見えて。そのうえさっきまでの脚の疲れが嘘だったかのように取れていった。


 やはり糖分。糖分は全てを解決するのだ。カロリーなんて知ったこっちゃない。というか私に関しては胸が大きくなる以外で一切体重の変動が無くなったし。気にするだけ無駄だ。


 それに比べて有美はというと。せっかく美味しいものを飲んでいるのにそうとは思えないほどに険しい顔つきをしている。ちゃんとカロリー摂らないから胸がいつまで経っても膨らまないんじゃないか? なんて……口が裂けても言えないな、うん。


「安心しろって有美。渡辺君はお前がちょっとくらい太ったところで見捨てたりしないと思うぞ?」


「な、なぁっ!? なんで今寛司の名前が出てくるのよ!?」


「いや〜、乙女がスイーツに手をかけている時とは思えないような表情してたからなぁ。ほれ、リラックスしてカロリーに身を委ねろぉ〜」


「アンタねぇ……。私は薫と違って太りやすいの。だから普段からあまり甘いものも摂らないようにしてるのに……」


「幸せ太りってやつか?」


「〜〜〜っ!!」


 全く、彼氏のいるやつはこれだから。


 私は彼氏ができることによって太るリスクが上がるならそんなのごめんだな。というか彼氏なんていなくても毎日楽しいし。最近はひなちゃんもいてくれるから日常の質がより上がったしな。


 タピオカを吸い切り、クリームと抹茶チョコを口に運びながらそんな事を考える。


 それにしても有美、本当に女の子の顔をするようになったな。ちょっとちょっかい混じりに渡辺君の名前を出しただけでこれか。クラスのみんなの前でも最近はどんどん反応を隠せなくなっていってるし。どれだけ好きなんだよ。


「ん〜、ほれ。恋する乙女にワシからプレゼントじゃあ。あ〜ん」


「い、いらないわよ。同じの頼んでるでしょ……」


「まあまあそう言わず。ほぉれ、ほほほぉれ」


「……ん」


 パクっ。有美は抹茶チョコレートを乗せたスプーンを口に咥えると、もきゅもきゅとそれを咀嚼して飲み込む。


 まあコイツ……やっぱり可愛いよなぁ。親友としての贔屓目抜きにしても今まで渡辺君以外にモテなかったのが不思議なくらいだ。


 確かにコイツ自身男子とはあまり交流して来なかった方だし、会話を重ねるうちに……いわゆる友達の段階から恋愛感情を抱くようになっていった、みたいなことが起こることはなかったと思うけど。それでもやっぱり不思議だ。


(って、今のコイツにはどうでもいいことか……)


 あれだけ器量が良くてイケメンな彼氏を捕まえたんだ。まだ喧嘩の一つもしているところを見たことがないし、なんならしたとしても渡辺君はすぐに謝るタイプだろう。有美が何かしらで一方的に拗ねるくらいしか喧嘩できるような要因は浮かばないし、仮に渡辺君が謝らなかったとしても多分コイツが先に耐えられなくなる。


 本当、憎たらしいくらいラブラブだな。考えただけで胸焼けがしてきた。


「よし、そろそろ動くぞ。ショッピングするんだろ?」


「え? う、うん。というかアンタ、さっきもそうだったけど甘い物の話したり実際に接種させたりしたら本当すぐ元気になるよね。いや、いいんだけどさ」


「ふっ。私の体内は砂糖で回っているのサッ☆」


「糖尿病になりそう……」


「なったらなったで本望! ……いや、やっぱりなりたくはないな」


「じゃあ甘いものあまり食べすぎないようにしなよ」


「そ、それは……ううむ、善処する」


「本当? だいぶ怪しいなぁ」


「ぐぬぬ……」


 自分でも怪しいことは分かっている。というか多分、できない。


 ま、まあ大丈夫だろ、うん。きっと大丈夫だ!


「ふふっ。ま、とりあえず行こ。色々見て回りたいから急がなきゃ」


「お、おう。望むところだ」





 情けなくも少し不安になりつつ。フロアマップを確認しながら私を先導してくれる有美の隣について。人の多い通路へと戻った。

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