249話 親友とショッピング3
249話 親友とショッピング3
それから数分。
ふらっふらな足取りでモールへと辿り着くと、自動ドアが開いて。
「来ィィィたァァァ!!! すっずしぃ〜!!!」
灼熱地獄な外とは明らかに違う冷風。入り口なわけだからこれだけ大きなモールの一番端に位置しているわけだが、それでもはっきりと分かるほどよく冷えている。
最高だ。来てよかった。もう悔いは無い……。
「ちょっと、なにやり切った感出してるの? ほら、立ち止まってないでお店見に行こうよ」
「スゥー……」
「薫の好きな和菓子屋さんもあるけど」
「よし行こう、今すぐ行こう! むしろ私から急かそうと思ってた!!」
「うわ、あからさまに態度変えた。分かりやすいなぁ……」
フロアマップで有美が指差しながら見せてきたのは、私の愛している和菓子店「つぐみ」。ここで売っている羊羹やどら焼き、いちご大福に八ツ橋は全てが一級品だ。最高の味を提供してくれるうえ、そのくせに値段がリーズナブルなのも高ポイント。家の近くには無いからたまになんちゃらイーツ的なあれで取り寄せるのだが、緑茶と一緒に楽しむと最高なんだなこれが。
「和菓子は持って変えるだろうし、早めに買いすぎても荷物になるだけだから最後ね。場所は……一階のここから逆方向、か。じゃあ一度三階まで上がって、降りていく感じで見ていこ」
「ふふ、合点だ。……って、そういえば有美はどこか見たいお店があって来たのか? 私はまあ、ほら。なんとなく付いてきた感じだけどよ。有美はやたらとテンション高かったろ」
「へっ!? そ、そりゃまあ……行きたいところは当然あるよ。というかそんなの、今聞かなくていいでしょ! どうせ色々見て回るうちに通るんだし……」
ん? ん〜? なんだその反応。完全に予想外なんだが。
なんで行きたい店を聞いただけで耳を赤くする? 渡辺君関連、とかか? まあ後からどうせ分かることだし別にいいんだけど。なんか絶妙に気になるな。
とは、思いつつも。これ以上追及しても仕方がないことだとは分かっているので、それ以上深く聞くことはなく。とりあえず一番近くのエスカレーターで駐車場を除くと最上階に位置する三階へと上がる。
それにしてもデカい建物だ。とにかく横に長くて、一番向こう側に何があるのかはもはや見えない。あと真ん中が思いっきり吹き抜けになっていて、やはり大きい上に新しいモールということもあり、人がたくさん歩いているのが見えた。
私達がこれから行く三階は雑多に店舗が配置されており、ジャンルも様々。おそらく構成的には一階が食料品と飲食店関係、二階が服や雑貨。三階がそれ以外の他ジャンルとフードコートといったところか。
「お、有美! とりあえずフードコート行こうぜ!」
「えぇ……いきなり休憩するの?」
「バカ違うっての。ほら見ろ、あれ!」
真っ先に私の目に入ったのは、フードコートの通路から最も近い店舗であるジュース屋さん。そこにはデカデカとした文字と人気女優の写真が使われたポスターで、新商品が宣伝されている。
「抹茶クリームタピオカ!! あんなの見せつけられちゃ飲むしかねぇよなあ!!」
「う゛っ……抹茶と生クリームにタピオカ? しかもあの感じ、抹茶でコーティングしたチョコまで乗ってる。カロリーの化け物なんじゃ……」
「ふっふっふ。さっき散々歩いてカロリー消費しただろ! ほら、行くぞ!!」
「いや、いくらなんでもあれっぽっちで消費できるカロリー量じゃないでしょ!? 知ってる!? タピオカドリンクって普通のタピオカミルクティー一杯で豚骨ラーメン一杯分のカロリーが────」
「カロリーなんて気にしてたら人生損だぞ! ほら、女の子なら迷うな! 進めぇ〜!!」
「ちょっ、腕引っ張るな! なんでこんな時だけ元気なのよ……っ!!」
そりゃ、私が女の子だからさ。キラーンッ☆




