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200話記念話11 ダブルデート6

200話記念話11 ダブルデート6



 それから俺たちは、とにかく遊園地を満喫しまくった。


 ジェットコースターにフリーフォール、バブルボールにコーヒーカップ、ゴーカート。


 絶叫系では中田さんが終わってから恐怖の余韻で倒れかけたり、コーヒーカップで調子に乗り回転をし過ぎた由那が酔ったせいで気持ち悪くなったりと。まあそれなりのアクシデントもあったものの。


 夕方五時で閉園するここで、今は午後三時。この楽しい時間が終わるまであと二時間を切ってしまったのだった。


「はいゆーし、あ〜んっ♡」


「あ〜っ」


「どう? 美味し?」


「ん。甘々だな」


「有美、それ喉乾くでしょ。はい飲み物。有美は後先考えずに飲み切っちゃったでしょ? 俺の飲みかけでごめんだけど」


「……ありがと」


 俺と由那は二人でそれぞれチョコ味、メープル味のチュロスを購入し、二人で交換し合いながらそれを口に運ぶ。


 中田さんはドーナツを食べていたが、口がパサパサになってしまったようで。それに勘付いた寛司がすかさず自分のコーラを差し出すと、ストローに間接キスをしながら彼女はちょっと照れくさそうにそれを飲んでいた。


「えっへへ、いっぱい乗ったね〜! あと乗ってないのって何があったっけ? 全制覇しよ!!」


「えっと……ちょっと待ってね。マップ確認するから」


「悪いな寛司、頼む」


 ここに入った時貰った、折りたたみの紙製簡易場内マップ。飲み物を中田さんに渡してフリーになった両手でそれを広げて、まだ乗っていない乗り物を探す。


 土日にも関わらず意外と一つ一つの待ち時間は少なかったから、既に結構な数の乗り物を楽しんだ。乗っていないものなんてまだ何かあっただろうか。


「乗り物とは違うけど、お化け屋敷は行ってないね。あとは子供しか乗れないやつを除くと……」


「ね、ねぇ。明らかに乗ってないの一つ、あるでしょ」


「だね。まあ″あれ″は間違いなく最後だろうって感じだったし。他は全部乗ってるから、行くなら二回目になるかな」


「お化け屋敷! そういえばここ、すっごく怖いので有名なんだっけ!!」


「おま、まさか行く気じゃないだろうな」


 コイツ、文化祭でビビり散らかしてたこともう忘れたのか。


 しかも今回は言っちゃ悪いが、あんな文化祭レベルのお化け屋敷とは非にならないぞ。


 たしか調べた限りだと、夏限定の企画とやらで某有名前髪長い系ホラー映画なあれとコラボ中らしい。あんな映画、CMで流れただけでも鳥肌が立つくらいには怖いのに。多分お化け屋敷の中で目の前に出てきたら俺は卒倒するぞ。由那だって一瞬で腰を抜かすことだろう。その後意識を失ってスタッフさんに救助されるところまで見える。


「行きたい……けど。流石に行かないよぉ」


「よ、よかった。私絶対無理だから……」


「だね。俺もPV見たけど、いくらなんでもあれは自信ないかな。多分有美が入ったら心臓止まっちゃうと思う」


「ふふっ、じゃあ最後に″あれ″乗るまで、楽しかったところもう一回行こ! 私ゆーしにぎゅっ、しながらまたメリーゴーランド乗りたい!!」


「あっ、じゃあ私も……」


「りょーかい。中田さんと寛司も行きたいところあったら言ってな。言わないと由那が全部決めちまうぞ」


 そして、あっという間に時間は過ぎて。


 閉園三十分前。少しだけ夕焼けが見え始めた頃に、俺たちは最後の乗り物へと進む。




 どこの遊園地にもあり、そして何より彼女さんと来たのならこれに乗らずには帰れない。そんな乗り物だ。

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