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100話記念話3 嫉妬とホラー映画鑑賞2

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100話記念話3 嫉妬とホラー映画鑑賞2



「……っ。っっ。っ〜……」


「だから言ったのに……」


 ぷるぷる、ぷるぷるぷるっ。


 結論から言おう。有美が持ったのはたったの数十分だった。


 いや、たったのなんて言ったら可哀想か。これでもよく持った方な気がするし。


 有美がリタイアしてしまったのは、「邪霊」と呼ばれる、古い館に住み着いた伝承の幽霊が初登場するシーン。そこで言葉にならない甲高い悲鳴をあげると、顔を俺の脇腹に埋めて画面を見なくなってしまった。


 というわけで俺が勝手にリタイアだと判断し、画面を消したのである。今は明るい室内で有美の小さな震えの音だけが響いている。


「ほら、もうテレビ消したよ。大丈夫?」


「だいじょう……び。幽霊しゃん、もういないぃ?」


「うん。いないよ」


「こ、怖かった、よぉ……」


 普段の凛々しい彼女も好きだけれど。こうやって俺の前で見せてくれる隙は、どうしてこんなに可愛いのか。


 涙目で身体を震わせて、そのうえ少し幼児退行したかのように可愛い口調になっちゃって。


 有美には申し訳ないけれど、可愛すぎて死にそうだ。


「ねぇ、かんじぃ?」


「どうしたの?」


「……ちょっとだけ、ぎゅって。してても、いぃ?」


「〜〜〜っ!? も、もも勿論!!」


 相当怖かったのか。まさか有美がここまで甘えんぼになってしまうなんて。


 確かに普段からたまに甘えてくることはあるけれど。もしかして今が、本能的には本当の彼女の姿だったり……するのだろうか。


(い、いやいや。いやいやいや。まさか、ね)


 と、いうか。何故有美はこうなってしまうことを自分で薄々気づいていただろうに、ここまで無理をして映画を見たのだろう。


 在原さんの話を聞いてあげたかったから? 優しい有美ならあり得なくはないけど、どこかピンと来ない。


 じゃあホラーを克服したかったから? 無くはない気がするけれど、やっぱりここまでするほどのことかと言われるとどこか疑問に感じてしまう。


 俺としては役得だし、本当は何も考えずにただ甘やかしてあげるだけでもいいんだろうけど。


 やっぱり少し、気になる。


「ねえ、有────」


 やっぱり何か特別な何かがあるような気がして。俺はゆっくり聞いてみようと声をかけようとしたのだが。


 その時、テーブルの上に置いていた有美のスマホが一回、振動する。


(LIME……?)


 彼女はまだ顔を埋めているし。なんだかこのタイミングでというのが妙に気になった俺は、こっそりとスマホを手に取る。


 ロック画面に表示されたメッセージは、在原さんからのものだった。


『おう有美。映画どうだ〜? 言い忘れてたけどそれ、死ぬほど怖いから。まあその分隙をみればたっぷり渡辺君と引っ付けると思うし、頑張るんだぞ〜』


 ……?


 内容がよく分からない。まるでこの文面だと映画は押し付けられたのではなく、有美が自分から借りたみたいな……。


「かんじの服……いい、匂い……」


「っえ!?」


 事の真相は、昨日の昼。



────体育の授業後、更衣室での出来事へと遡る。

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