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【一章完結】CROSS OVER 管理人 ~異世界のお悩みは異世界に解決してもらいましょう!~  作者: マロ
管理人たちのあれこれ アタオカ vs ガチガチルール
12/43

宇宙人到来

ストーリー性より、ギャグ要素高めです。

ささるところ(笑えるところ)がありますように。

これはいたずらっ子ことイチが、面白半分でクロスさせた世界の副産物である。


           ◇


上奏院学園。そこには厳しいルールがある。


その1 学園のトップは生徒会と学園のプリンスであり彼らをGod5と名付ける


その2 生徒会と学園のプリンスには決して手を出しては行けない 


その3 彼らを傷つけたりむやみに近づいたりしたら対象を罰する


その4 生徒会と学園のプリンスの命令には必ず従わなければならない



めちゃくちゃなルールだが、生徒たちは懸命にそれを守っていた。だが、特に「その3」についてはあまりにも厳し過すぎて、God5に近づいただけで陰険な虐めや嫌がらせが絶えなかった。


そんな世界に、ちょっと頭がおかしめの少女がきたらどちらが勝つのか、イチは興味があった。


というのもイチはつい先日、強烈な人間をその目で見たからだ。


強烈な人間、自己中な人間。

一般的には倦厭されがちなタイプの人間だが、例え人間性がどうだろうと、己を笑わせてくれるのならそれでいい。


なんとも個人的な理由で、とある少女が上奏院学園へ送られた。


彼女の名前は、司城 恋(しじょう れん)。ギャグ世界からきたあたおかな少女だ。


さて、強烈な人間とガチガチのルールで固められた組織ー。果たしてどちらが勝つのかー。



            ◇



「ふふ、きみの可愛い顔を間近でみれて嬉しいよ。」


「そんな………緑くんっ!!」  


「照れないでよ。」 


「あの……私、緑くんには言いたいことがあるの。」


「なんだい?」


「緑くん………」


「うん?」  


「緑くん………………鼻毛出てるよ。」



その場が固まった。


爆弾発言をかました少女はというと、素知らぬ顔で自身のポケットをガサガサとあせくっている。いや、これか?いや、違うか、とぶつくさいいながら少女は手を動かす。


そして…………


「あ、あった!!鼻毛とり!!」


彼女がそう言って取り出したのは………まさかのペンチだった。


「緑くん、鼻毛とってあげるよ!」


「いや、それペンチ!! 鼻毛切る用の大きささじゃないから!!」


「えー? でもそのまま鼻毛出したままだと恥ずかしいよ?」


「まって! まって! 危ないから!」


「鼻毛だしてた方が危険にさらされるよ?」


「どんな危険!?」


焦る男に、少女が迫る。男は本気で取り乱しているのだろう。逃げることもせず、男は真っ青になって震えている。そんな男の鼻に少女が手をかけたときだったー。


「うっわ、きったねぇ!」


少女が男の鼻をペチッと叩く。


「よくよく考えたらさ、人の鼻てめちゃめちゃ汚いよねー! あはははは!」


可愛らしく少女がはにかむ。そして、少女は自身の手をウェットシートでふくのだった。


その場には、女の子らしく高い声でケラケラ笑う少女と、精神的に追い詰められた緑色の男、そしてその男に哀れみの視線を寄越す聴衆たちの視線があった。





「もー! 全然無理なんだけどぉ!!」


とある会議室の一室、高そうなソファの上でオレンジ髪の青年が叫ぶ。


「まあまあ、落ち着いてください。だから、こうして対策を立てているんでしょう?」


それを咎めるのは、さらさらの黒髪を左右にきれいに分けた品のいい青年である。


「だってぇ! 見てみてよ! 緑ちんなんて、さっきの攻撃でもうHPゼロだよ!!」


そういって青年が指差すさきには、彫刻にしがみついて廃人と化した、緑色の青年……物体があった。


「もう僕はどうしようもない鼻毛やろうだ。」


「わー!! 緑ちん!! 正気になって!」


「あ、きみは学園のプリンス……この鼻毛野郎になんかようかい?」


「学園のプリンスは緑ちんもでしょ?」


「プリンス? 僕が??」


「うん! うん! そう! 緑ちんも!」


「そうか……鼻毛のプリンス。」


「そんなこと言ってないでしょ!? 何鼻毛のプリンスて!」


「どうも鼻毛王国の第三王子です~」


「鼻毛王国てな『バチーン』いったあ!!」


オレンジ髪の少年の頭を叩く音が響いた。


「いや、なんで頭叩くの!なおちん!」


バチーン


「やめなさい! そのツッコミ!」


男がまた、ハリセンで男を叩いた。


「訳のわかないことを言って、それにツッコむ……それは我々が今最も避けたいことのはずでしょう?我々は学園のプリンスですよ? 誇り高い尊き存在だ。しかし、最近はあのおかしな少女のせいで、我々のすべきことが全うされていないではないですか!! いいですか? こちらもあの雰囲気に呑まれたらだめなんです! プライドをもちなさい!」


「…確かに彫刻にしがみつくなんて、僕ららしくないよねぇ。緑ちん、どっちかというとあっち寄りになってるよ。」

 

「はっ!」


オレンジ髪の青年のセリフに緑髪の男がはっとする。緑髪の男は、彫刻から身体を離すと、名残おさそうに彫刻から距離を取った。


「いや、名残おさげにしたらだめでしょ!? なんで彫刻に愛着わいてr『バチーン』いたっ!」


「りお! いいましたよね!? ツッコむなと!!」


「っ……」


「そのすぐツッコむくせ、あなた、あの少女の影響をもろに被ってるんじゃないでしょうね!?」


「……いやそんなことな『バチーン』いたあ!」


「ツッコむな!!」


「いや、ツッコミちゃ『バチーン』なんで?」


「今のあなたは、口を開けばすぐにツッコんでしまう、ツッコミマシーンと化してます。よくよく考えて発言なさい。」


「……(いや、ツッコミマシーンてなんなの?)」


「おや、りお? まさか心の中でツッコんだりは……」


「(ブンブン!!)」


「……まあ、いいでしょう。とにかく、我々は学園のプリンスとしてのプライドと自覚を持ちましょう。あの少女のペースに呑まれないように! いいですか?」


「………」


「………」


「……『バチーン』なんで?」


「りお!それは、黙るという「ボケ」ですか?ええ?」


「いや、どっちかというとなおちんが影響されてr『バチーン』」


「あははは。なんだい、面白いことやってるね。」


すっかり回復した緑のセリフに黒髪とオレンジ髪がはっとする。


「な、なんてことを……」


「やばいよ、俺たちすっかり影響されてるよ! こんままだとお笑いプリンスになっちゃうよー」


「っ! それは避けなければ! いいですか? プライドを持ってボケツッコミは禁止です! そして必ずや、あの少女をときめかせますよ!!」


学園のプリンスたちの心が一つになった。


だが、彼らは知らない。学祭の勢力が2つに分かれつつあることをー。



           ◇

SIDE お笑い


2年A組。司城恋が属するクラスは、もはや「お笑い」勢力と化した集団となりつつあった。


「レンさん、あのプリンスたちと仲いいてすごいですね。私なら無理です。」


「えー? もしかして緑くんたちのこと?」


ぐるぐるメガネをかけた黒髪の女子生徒が言えば、司城が不思議そうに尋ねた。


「うんうん、だって緑くんてかっこいいでしょ?」


便乗して、茶髪の生徒も口を開けば、司城は「ああ」と笑った。


「わかるー! なんか、鼻毛出てたんだけど、イケメンの鼻毛てやっぱり違うんだねー!」


「どう違うんだよ!」


あはははははは。


クラスが笑いに包まれる。ちょうどその時、がらーっとドアを開けて担任が教室に入ってきた。


「おーい、おまえら席に着け。」


「先生、おはようございます。」


「おー、今日は司城が日直か。よし、号令!」


「………」


「おまえだよ!」


「え! わたしですか?」


「さっき言っただろ?www」


「え!言ったんですか??」


「言ったわww」


「え、先生、さっき、言ったんですか?」


「言ったww」


「はい。えっと……え?先生さっき言った「ももうええわ!はよ言えや!」」


今日も2年A組は奇妙なコントが行われていた。


          ◇


一方その頃ー。


「キャー!!緑くーん! こっち向いて!」


「キャー!りおくーん!」


「尚さま、今日も美しい……!」


女子高生の歓声が響く中、3人の男たちが廊下を歩いていた。


「君たち、そろそろ教室に戻りなよ。」


緑がウインクするとバタバタと鼻血を出して女子高生たちが倒れる。


「もー! 緑ちん、あまりいじめたらかわいそうだよ?」


「おや、すまないね。」


「全く、静かにすることもできないとは、おいたがすぎますね。」


三人の会話にまた悲鳴にもにた黄色い声が響きわたる。その反応に内心満足していた三人はある教室の前でピタリと足を止めた。


『もうええわ!』


『先生!』


『なんだ!w』


『トイレットペーパーてすごくないですか?』


『なんの話や!w』


中から聞こえてくる楽しげな声に男らは顔をしかめる。


「2年A組ですか……末期ですね。」


「クラス自体が異質だよね。」


「あ~あのこがいるから~」


「司城恋……。絶対に落としてやりますからね。」


男らはまた、足を踏み出した。


              ◇


緑と呼ばれた男は、トイレで困り果てていた。何を隠そう、トイレットペーパーがなかったのである。


プリンス専用のトイレは一応存在する。プリンスとその他を隔てるように、プリンス専用のトイレは隔離されているのだ。

すなわち、それは「その時」にプリンス専用トイレから離れた場所にいた場合はピンチを意味する。


プリンス用の表現をするなら、プリンス専用トイレから遠く離れた場所でトイレに呼ばれた際である。


しかし、そうは言っても生理現象には抗えないわけでー。

緑は近くのトイレに駆け込んだ。


安堵したのもつかの間、緑はあることに気づいた。

そう、トイレットペーパーがないのである。


「なんてことだ……やはり一般のトイレにはペーパーが置いてないのかもしれない。」


緑の独り言は誰にも相手にされずに消えていく。


「僕はプリンスだ。尻をふかないわけにはいかないんだ……。」


どうしたものかと緑が考え込んだとき、何やら話し声が聞こえてきた。


緑が耳をすませば、窓際から聞こえてくる。というか窓の外だ。話し声の主は女性のようで、なるほど、ルールを破った輩に制裁が行われているようだ。一般男子トイレの裏はちょうど中庭だ。しかも、まさか一般トイレにプリンスの一人がいるとは思うまい。


それはそれは盛大に行われていた。


「あんたプリンスさまたちに近づきすぎなのよ!」


「身の程を知れってんの!」


きつめの声が緑の耳に入ってきた。どうやらトイレットペーパーを要求できる雰囲気ではない。外にいる生徒に助けを求められないことに気づいた緑が別の方法を考え出したときだった。


「聞いてんのか!? 司城恋!」


聞こえてきた名前に緑は顔を上げだ。


これはチャンスだ。詰め寄られている司城を助けて惚れさせるチャンスなのだ。  


それなのに緑は動けない。


ーすまない。僕が尻をふけていないばかりに。


ーすまない。トイレットペーパーがないばかりに。


緑が司城に謝ったとき、司城の声が聞こえてきた。


「ごめんね。私……」


「なっ! まるで私たちが悪者みたいじゃない。」


「ごめん……もう私無理。つらいの。」


「はぁ? そこまで追い詰めてないじゃない!」


「ごめん……漏れそう」  


「は?」


「あ! ここトイレじゃん! よかったー!」


ガタガタと窓が揺れる音がする。そして、


「ちょ、そこ男子トイレ! 馬鹿なの!? やめなさい!」


必死に司城を止める女子生徒たちの声が響いていた。


緑は一人個室で微笑んだ。やはり司城のおかしさ(頭)はシリアスをぶち壊す力があるのかもしれない。だからだろうか、意地悪なはずの女子生徒たちがまともに見えるのは。


ー司城恋、認めるよ。きみはすごい。


緑が顔を上げて、壁で見えない窓際の方を見つめた。


ーどうでもいいけど、トイレットペーパー下さいーーー。





         (I's メモ)


関係性: 絶対ギャグになるやつvs絶対ときめかせるやつ


濱谷 緑(はまや みどり)

身長178cm 別名: 秘密の貴公子

容姿: 緑というわりにはハニーブラウンの髪。名前と見た目があっていないことが二つ名の由来。本人いわく、緑に染めるのは校則違反だから染めないとのこと。

他: 司城に挑むや否や鼻毛を指摘されたかわいそうな人。


祭田(まつりだ) りお

身長176cm

別名:柑橘プリンス(髪色から)

容姿:オレンジの髪に茶色い瞳のたれ目。甘いマスク。

他: 秩序を守ろうとツッコむと、尚也に叩かれる。ほったらかしたらほったらかしたでカオスになるし、どうしたらいいのかわからない。


和田浦 尚也(わだほ なおや)

身長174cm 別名:漆黒の王子

容姿: 日本人らしい切れ長の目に、きれいな黒髪。

他: 笑いアレルギー。

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