♥ サーカス村 1 / 初めてのサーカス 1
とある≪ 街 ≫へ着いた吟遊大詩人 “ 自称 ” のセロフィート・シンミンとセロフィートに雇われた守護衛士のマオ・ユーグナル。
其の≪ 街 ≫は華やかに賑わっていた。
何故、こんなにも賑わっているのかと言うと、お祭りが行われているからだ。
一体何のお祭りなのかと言うと、≪ エルゼシア大陸 ≫中から大道芸人達が集まり、サーカスが催されていた。
そう、≪ 街 ≫はサーカスへの熱狂と興奮に湧いて賑わっているのだ。
陽気なピエロの格好をした大道芸人達が、自慢の芸を披露していたり、大人や子供にチラシやお菓子,風船を配っている。
「 わあっ… 」と瞳をキラキラさせながら歩いていたマオも、ピエロからお菓子と風船を貰った。
子供に渡している様だから、身長が低く、小柄で華奢で童顔なマオはピエロから完全に子供だと思われたのだろう。
子供と間違えられて渡されたと知ったマオは、ムスリとしたがピエロを責めたりしなかった。
渡されたお菓子の包みを開けてみると、動物型をした可愛いクッキーが入っていたからだ。
明らかに子供向けのクッキーだが、プロが作ったクッキーではなく、誰かの手作りなのだと思った。
クッキーを包んでいるラッピング紙もリボンもお祭りを意識しているのか可愛くて、見ているだけでもワクワクと楽しい気持ちになる。
子供心を擽るお菓子だ。
お菓子の中にはメッセージカードも入っていた。
温かみを感じる手作りのメッセージカードは手書きだ。
やはり子供受けを狙っているのだろう、可愛らしい。
マオ
「 ──セロ、 “ サーカス村 ” ってなんだろ?
芝居小屋のタダ券みたいだけど… 」
マオの貰ったお菓子の中に入っていたメッセージカードには、どうやら “ 芝居小屋のタダ券 ” と書かれていたらしい。
セロフィート
「 ≪ 街 ≫から少し離れた場所にサーカスの公演期間中にだけ作られる即席の村です。
大道芸人達が寝泊まりする場所でもあります。
巨大なサーカスのテントがあり、観客は其処に赴いてサーカスを楽しみます。
サーカスの公演回数は1日3回と決まってます。
公演開始の時間潰しやサーカスを見られない人達の為に、昼間はお客さん達の為に≪ サーカス村 ≫を解放してます。
色んな出し物が見れますし、サーカスとは違う楽しみ,魅力があります。
見て回るだけでも楽しいです 」
マオ
「 へぇ?
そうなんだ?
行ってみたいなぁ〜〜。
サーカスってテントに入れば見れるのか? 」
セロフィート
「 ≪ サーカス村 ≫でチケットを買います。
公開初日にはチラシを持って行けば、チケットを半額で買えるサービスもあります 」
マオ
「 半額で…。
じゃあさ、チラシを持って行けば値引きしてもらえるんだな! 」
セロフィート
「 マオ、初日は過ぎてます。
チラシを持って行っても値引きはしてもらえません 」
マオ
「 そんな〜〜〜 」
セロフィート
「 値引きされなくても、2日以降はチラシとチケットをセットで見せると記念品が貰えるみたいです 」
マオ
「 記念品?? 」
セロフィート
「 記念硬貨とスタンプカードですね。
スタンプカードは≪ サーカス村 ≫にある店へ入って1.000Q以上の買い物をすると記念スタンプを押して貰えるそうです。
スタンプカードを記念スタンプで埋めるとスタンプの数で豪華な記念品が貰える様です 」
マオ
「 え〜〜〜……。
スタンプを押して貰うのに1.000Q以上も買い物しないといけないのかよ…。
商売上手かよ… 」
セロフィート
「 サーカスは商売ですし。
裕福な客は “ 楽しい一時 ” を金銭を支払って買います。
楽しい思いをしたら何かしら記念となる物が欲しくなるのが心情です。
大道芸人も生きる為にサーカスをしてます。
大富豪の道楽でない限り、サーカスは無利益の慈善事業では出来ません 」