表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/49

37 器の美しさを競う

暗い館の中をなんの躊躇もなく歩を進める。

もしかしたら、彼女には見えているのかも知れない、その先にあるものもすべて。

カツカツと二人分の足音を聞きながら、懐かしいような感覚に陥る。

記憶はない。でも、感覚が憶えている。

ここで、どう過ごしたかなんか善損憶えていないのに、懐かしいと感じる。

故郷、ふるさとはここにあったとすら思う。


「あの……姉さん。何所へ?」

何も言わずにただ進みに続ける彼女に声をかける。どんどんと地下へ潜っているようで怖かった。

「寝室ですよぉ。博士たちの。」

「寝室?」

思わず聞き直す。

寝室は、地上にあったほうが良いんじゃないか。と思った。

そして、その考えをこっそり胸にしまう。

この変な屋敷を作った人たちだ、もう何も驚くまい。


それから少し歩き、廊下の突き当たりに大きな扉が見える。

軽い音をたてて開く扉、その中は暗くて何も見えなかった。

「今電気つけますねぇ。」

そう言って入っていくと、どこかのボタンを押したのか、パッと明かりが付く。

内装はやはり見覚えがないが、どこか懐かしい。

大きなダブルベットと脇にベビーベットが一つ。

後はタンスと水挿し。

機械がゴタゴタと置いてあった部屋から見れば、大分落ち着いた質素な部屋だった。

きょろきょろと見渡していた時、あることに気が付く。

ふと、天上を見上げたときだ。

小花柄の天井にバラの花を模した照明。

「ああ………」と思わず感嘆の息が漏れる。

知っている。

この天井を見ていた。

記憶の奥の奥、もう薄れて、ここに来なければ忘れ去っていた記憶。

何も知らなかったときの。

「思い出すものがあったぁ?」

「ああ。懐かしいと思う。」

「それはぁ、よかった。」

にこっと笑うと、手を伸ばして頭を撫でてくる。

嫌じゃなかったから、されるがままになっていた。


「でね、君に頼みたいことかあるんだ。」

手を離すと、タンスの方に向かい、此方に背を向けたまま話す。

「私達はさ、両親の研究を何も知らなかったんだよね。幼かったし、ロボットにされたしで、そんなこと気にも止めなかった。でさ、こうして暇な時間後出来たから、館中を歩き回ったんだよ。そしたら、出てきたんですよねぇ。これ!」

振り返って手に持ったものを見せる。

黒い皮の表紙の付いた本……いや、手帳?

「それは?」

「ん…?博士たちの共同日記?あの二人仲良かったのでぇ。」

「それを、どうしろと?」

「書いてあるんですよ。二人の真意が。謎、私達をロボットにしたのかが……。」



____2月○○日。曇り

ここに書くのは、自分たちのためではない。三人の愛しき娘たちの、そして、先日生まれた幼い息子に向けて書く。

私達は、皆に機械の体を与えようと思っている。

いやだと思うだろう。どうしても納得できないというのなら、これを読まないでもいい、私達を心から恨んでくれ。

さて、それでも私達の話を聞いてくれるようなら、この先を読んでくれ。

…………。私達は、自分たちの作った機械がどのように扱われているか、今まで知ることもなかった。しかし、この度知ってしまった。

我々の産み出したロボットには、こう命令されているらしい。

曰く、敵を殺せと。

   死体は食うか回収してこいと。

これは、危ない。

いつか。ロボットたちが、いつ人に手を出してくるか分からない。私達ではその命令をどうこうすることは出来ない。開発者であって、運営者じゃないから。国のやり方に口は出せない。

だから、貴方たちを特別個体へと仕立て上げる。

そうすればきっと、殺されない。だから、何か起きて、この町の人々がロボットに危害を加えられたら、その身一つでどこかで生きてもいいし、ロボットを止めてもいい。好きに生きろ。

人のみで生きず、機械のみで生きることを強いるだめな父と母だが、どうすることも出来ないのである。

不自由な生活を強いる変わりに、私達が死んだ後、君たちに幸せがあることを祈ろうと思う。

ごめんな。


「知って……たのか。」

「ええ。二人はそんなそぶり見せても居なかったのですぅ。私も見つけたときは驚きましたぁ。」

読み上げた日記を閉じる。

そして、フィロックに投げてよこした。

「ちょ。」

「ナイスキャッチ!それを、ミヤに渡してきてよぉ。」

「何で俺が。」

「私はぁ、ここからでられない。だからぁ、末の弟君にお使い頼んじゃう。」

頑張れ!っと気節を振り上げて応援してくる。

「でも、俺の言うことなんか聞ミヤは聞かねえだろ。」

「そんなことない。だってミヤは、私達三人の中で1番、君のことが好きだったんだから。」

「…………。」

優しく笑ったサヨリに母の顔が重なったような気がした。母の顔なんて覚えても居ないけど。



***

こんにちは。まりりあです。

お風呂に入ろうとしたら、鼻血が出てきたとき貴方ならどうしますか?

私は、鼻にティッシュを詰めて入りました。

血行よくなるからか全然止まらないし、紙だから水につけられないしで、大変でした。

皆さんは、止まるのを待ちましょうね。

では、またの機会に

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ