32 町
カンッカンッと不規則な金属音が響く。
人のながらくいないこの街でこうして音が鳴るのも久しぶりで。
「あー、っつ、ロクシー!そっちはどうだ!」
「きりがありませんわ。本拠地に踏み込んできたようなものですもの。当たり前ですけど。」
「だよなぁ!カコ!お前まだ大丈夫か?」
「シューーー」
ミサヤの元から付いてきていたカコと呼ばれる蛇が尻尾を鞭のように振るい、助力ながら戦いに参戦している。
人ならば、役に立てる蛇も、機械相手となると、鉄に牙を突き刺すわけにもいかず、全力も出せず歯がゆそうだ。
その証拠にちょっとずつ首が絞まっていくような……
ん………?
そんなこと無い?
いや、そうだな。
「おい、カコ!首、首締まるから。」
「シューーー」
「シューじゃない!」
「あんたら何やってますの?ちょっ、一気に来ないで!!」
周りから向かってくる敵に手を焼きながら、後ろで言い合うフィロックたちを宥めている。
「フィロック!場所は分かりましたの?」
「そうだ……カコ!ニオイは追えるか?」
「………シューー、シュー?」
こいつ首かしげたか?
「ほんとか?まあいっか、とりあえずこっち。」
「はぁ?まあいいですわ。しんがりはいたします。早く。」
「ああ、」
鉄の機械を掻い潜り、俺は一歩前へかけだした。
「村長。お茶です。」
「ありがとね。」
「あの、フィロックとロクシー嬢は……」
「う~ん。そろそろ町に着くころだろう。 」
「そうですか。」
「まあ、心配ないさ。彼等は優秀だよ。村の境界は代役が守ってくれてるし。」
「…………そうですか。」
「うん。気になるようなら会いに行ってもいいよ。気難しい子だけど、人は絶対に傷つけない。」
「…遠慮いたします。仕事が、ありますので。村長。追加です。」
書類の束を取り出すと、デスクにおく。
それを見てラインは顔をしかめた。
「今どこから………もう!やぁだー帰るぅ!!」
「早くやってください。」
クールなツッコミは健在だ。
「おお………」
「見とれてる場合じゃありませんわ!早く入ってくださいませ!」
「いいけどさ、そいつら中に入ってこないの?」
「あ……………」
こいつ考えてなかったな。
普通に考えて入ってくるだろ。
「……入って……来ない………と……思います………よ?」
「下手か!?もういい。とりあえず扉開けるから早く入れ!」
「分かってるわよ!」
意外と普通の一軒家風の扉を開けると、目の前には壁、
ぶつかりそうにながらも左に続く廊下に避け、ロクシーが入ったのを確認してから扉を勢いよくとじた。
「いや~危なかった。」
「これだから考え無しに突撃するのは嫌なのです。だからずっと村に閉じこもってたのです!」
ブツブツと喧嘩をしながらとにかく奥へ、奥へと進んでいた。
どうやら地下室があるらしく、階段を下りている。
上の家よりしたの地下の方が大きいみたいだ。
技術者らしいおかしな作りだ。
「引きこもりかよ!」
「ちがいます………わっと……」
先を歩いていたロクシーが何かにぶつかる。
いや、誰か……の方がいいか。
「えっ………」
「………こんにちはぁ。こんにちはぁ。今は昼ですか?夜ならこんばんはぁ」
「こ、こんにちは。」
「なるほど、今は昼ですね。承知しました。こんにちはぁ。」
巫山戯ていると思うだろう?
たしかにこう喋っているんだよ?
その青いワンピースに銀の髪の少女……いや、15、6歳に見える女はこいこい、と手招きする。
結局、その女に導かれるまま、奥へと進んでいった。
通された部屋は暗くて、でも掃除は行き届いているようでどこもかしこもピカピカだった。
「ここは博士たちの研究所になりますぅ。どうぞぉ、お席にお着きください。お茶はいかがですか?お茶~お茶~」
「ああ。」
「い、いただ来ますわ。」
どこかへ歩いて行った彼女の姿を眺めながら、ロクシーに耳打ちする。
「……彼女って」
「さあ?私も分かりませんわ。でも……」
何となく、嫌な感じ……とロクシーは顔をしかめた。
俺よりも視覚も聴覚も触覚もあらゆる感覚が優れているロクシーが言うのだからそうなのだろう。
ということは。
「変なことにならなきゃいいけどな。」
「そうね。」
ロクシーも入ってきた扉をチラチラ見ながら言った。
「お待たせいたしましたぁ~。おまたせおまたせぇお茶ですよぉ。」
カタカタとカートを押しながら彼女は戻ってくる。
カートの上にはカップとお皿。
香ばしい香はクッキーか、ケーキか、
「私、お料理得意なんですよ。もしよかったらどうぞ?紅茶はお好きですか?ハーブティーは?好きぃ好きぃ。」
「あ、えっと、いただくよ。」
「ええ。ちょうど、喉渇いてましたの。」
「よかったぁ。一緒に飲みましょう?誰かとお茶のみ久しぶり!楽しい楽しいぃ~。」
カチャカチャと手際よく準備をしていく彼女。
ものの3分程度で立派なティーパーティーの準備が整った。
これで薄暗い地下でなく、日のあたる野原や庭ならどんなによかったか。
「そっれでわぁ、そーれでっわ、いただきまa」
彼女の元気の言葉を掻き消したのは、お茶の時間には不似合いなものが破壊される音だった。
「あ……………?」
ぱちくりと目を瞬かせた彼女はゆ俺達の後ろを目を細めて見る。
多少あがった埃の中から、外で嫌というほど戦ったロボットたちが入ってくる。
「ちっ………。」
「全く、やはりここまで来ましたか。」
ロクシーは翼を広げ、俺は腰に差した短剣を手に持った。
カコもシューと息をあらく威嚇する。
そんな中でも、彼女は落ち着いていた。
「あらあら、これが招かれざる客というやぁつですの?博士たちがよく言っておりましたぁ。国からの招かれざるお客様にはぁ毎回こりごりさせられるぅと。」
あははっ、と、笑った彼女を振り返りもせず、俺とロクシーはつばを飲んだ。
ふっと、一体前に出る、ロクシーが倒せると分かっていても、肌が粟立ち体に力が籠もった。
「だぁめ!」
後ろで彼女が叫ぶ。
それに反応したように敵の動きが止まった。
今度はこっちが驚くばんだった。
***
はい。こんにちは。まりりあです。
気が付いたら話が長くなっていた。
久しぶりに前書きを読み返したら、ワクワクドキドキ吸血鬼と同居的なこと書いてありましたが、そんな描写もうないですね。
書きたいですよ?デレてるロクシーちゃんとか、でも、話の進行上何所で入れれば良いか分からない!
誰かぁ!教えてください!ツンデレってなんですかぁ?
さて、それはさておき、誤字脱字ありましたら、お知らせください。
最近、読者数?みたいなのの見方知って、意外と多くの方に読まれていることを知りました。ありがとうございます。
これをごらんの皆々様に幸あれ!そして、これからもよろしくお願いしまぁーす!