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31 森の外

「いやー、正直殺して止めようかと思いましたわ。」

「ひでえな。」

「私、嫌ですもの。」

「仕方ないだろ。」

保存は利くが味は最悪の干し肉をガシガシとかじりながら、2人話していた。

ここは森のそと。

ロクシーの力の及ばぬ範囲。

ここにくるまで、色々あったのだ。

三カ月。掛かった。

まず、森の中、ロクシーの先代が作った壁の内側に潜んでいた敵の破壊。

これは、ロクシーとミサヤを主に、ラインやミツキも裏から手伝ってくれた。

それでようやく第一歩だ。

「んで、この後どうするのです?まさか、国中のロボット一体一体つぶしていくなんて、面倒なことしないですわよね。」

「んなことするかよ。とにかく、目指すは俺の家だ。」

「………つまり、元の両親の家に行くと。」

「ああ。」

「妥当な判断ですわね。でも知ってますの場所は。」

「ミサヤから聞いてきた。あいつには、俺と違って当時の記憶があるから。」

「貴方はあの時まだ幼い。記憶がなくても可笑しくない。それに彼女は特別ですわよ。」

「まあな。」

んー、と一つのびをすると、ロクシーは眠たそうにその場に横になった。

パたと一つ翼をはためかせる。

「寝ましょ。こんなところで貴方と雑魚寝など嫌ですが、仕方ないですわ。」

「そう言うな。見張りはしとく。」

「頼みますわ。」

どう頑張ってもあと二日はこの生活だ。

いつ敵が来るかも分からず、ただ、寝ずに座っているしかなかった。

ランタンの燃料も勿体ないので、明かりを消す。

幸い満月なだめ視界は遠くまであった。

これなら見える。

音も聞こえる。

風も無い夜は雲もなく月光が風を作ることなく森に降り注いでいた。

こういう日は思い出す。両親が殺された夜。

あんなにもいやがっていた記憶は、今は嫌がればいいのかよく分からなくなっていた。

偽りの両親が自分の敵であった以上あの夜は隣で寝る彼女に命を救われた日であった。

なれそめの日であった。

「この後。どうなるんだろうな。」

呟いた声に森の中から鳥の羽ばたく音が聞こえた。



「どしたの。ライン。」

「いや、君は、どう思うのかなって。」

「フィロックは私の元家族、そして今は友達。それ以上でもそれ以下でもないと思っているよ。」

「僕だって、彼のことは尊敬してるさ、でもねぇ。」

喫茶店のおっちゃんがコーヒーを運んでくることで、話は中断された。

ミツキはそれをチラと見ると砂糖の入れてあるカップを取った。

ラインがクスッと笑うと、むっとして顔をしかめる。

「何?文句?」

「いや、君は、相変わらず甘党だね。」

「ふん。私まだ二十歳よ。若いんだから砂糖取らなくちゃ頭働かないの。」

「そうかい。」

「ええ。貴方と違って天才じゃないもの。」

あはは、と笑うライン。

どこか胡散臭いような独特なラインのテンポにミツキはマッタクと言ってよいほど乗らなかった。

「君は天才だよ。だから貸本屋に任命した。そして、そうして話し相手になってもらってる。」

「どうだか。私が変人で、他の女の子達みたいに仕事なんか出来ないから、こうして仕事をさせてるんでしょ。」

「そうとも言うね。でも、君もそれで満足してるだろう?」

「まあね。本に囲まれた仕事は私の天職よ。」

「だったらいいじゃ無いか。適材適所がモットーだからね。うちの村は。」

「人員不足も大変ね、お役所さまは。」

困った。と笑うとコーヒーをもう一口飲んだ。

どうもこの少女話辛い。

というより、ラインは独特なテンポと言葉遣いで誘導するように会話をするが、昔からこの少女には効かない。

それどころか、なにその変な話し方、と一蹴された。 

そして、一から十を知る頭の良さと、読書からなる豊満潤沢な知識。ぜひ役所にほしいくらいだ。

でも残念なことにこの娘は恐ろしいほど集団に組することに向いていない。

いくら仕事が出来ても、他社とのコミュニケーションやチームワークが形成できない人間は役所にはいらない。

というか、僕の下には欲しくない。

というわけで村長直々にこの選ばれし図書館司書の任をあげたわけだが、向いていたらしい。

全く素晴らしいことだ。

村人1人1人が自分に合った仕事を精一杯こなし、他社とか代わり合った上で楽しい人生を送る。

それが僕の理想の村だ。

それからしてみたら、フィロックはそしてあえて加えるのであればロクシー嬢はその失敗とでも言えようか、僕が前任からバトンを渡されて唯一改善できなかった2人である。

どうにかしたいと思っていたのだが。

「フィロックには、早く奥さんでももらって、家族の愛に触れながら生きて欲しいこれが本音だったんだけどね。」

「フィロックは、モテるけど、旦那としては無理って子多いよね。」

「なんてったってね。」

「「生活感が皆無!」」

「「あははは!!」」

会わせていって会わせて笑う。

それほどまでにフィロックは同じような印象しか持てなかった。

「あいつは生きていくつもりはあるのかな?復讐のために生きることはようやく止めたらしいけど、またどっか行くし。」

「一つどころに落ち着いて、家庭を持つ気も無し。かといってキャリアマンとして一生を仕事に捧ぐ意気地も無し。自分のしたいことをすべきことと履き違えて、それでも生きている。変な男さ。」

「それでも生きてるって事は、それがかれの生き方かも知れないよ。」

「どっちにしろ前代未聞だよ。」

まったくだと、二人して、最後のコーヒーを飲み干す。

「で、村長様。勝てると思ってるの?フィロックは」

「さて?無理じゃないか?」

「お?」

「うん。無理だろ。だってあいつさ。知らないだろ。」





「…………………。」




***

はい。こんにちは。まりりあです。

まさかの寝落ちしておきたら知らない文が打たれていたという謎の事件がおきてまして、変な部分はそのせいです。

目を瞑ってください。お願いします。

誤字脱字はバッチリ見つけてくださいね。

んでは、またの機会に。

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