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25 蛇とともに三千里……よりだいぶ短い道のりを

「あ、あの……」

「なぁに?」

「増えていってません?蛇。」

「………そりゃあねぇ。」

「そんな……」

足下をともに進む蛇の数が、森深く行くほどに増えていく。

今では、囲まれたようになり、蛇行しながら進み蛇の細い尻尾が時々足首に当たった。

当たりたびぞわっとしたけはい。

何なんだ、この気配は。

普通の蛇にはあったことあるが、たしかに驚くはするが、こう鬼気迫るように恐ろしさというか、怖さというか、こういうものは感じなかったような気がした。

こんなところにいるとは、うちの父と母は一体何者なのだ。

「あ、あの……」

「なぁに?」

「貴方は?」

「………。さあ、誰だったかしら?もう忘れちゃったわぁ。」

「はぁ、」

女の首元の蛇がシューとなく。

思わずびくりと震えてしまった。

蛇の考えていることは分からないが、何となく不機嫌そうだ。

自分のテリトリーに侵入されたから?

この女となれなれしくしたから?

思い当たる理由はいくらでも浮かんだが、俺からしたらどうしようもないことばかりだった。

「フ、フィ、フィロック……貴方、大分落ち着いていますのねぇ………」

「ロクシー、お前はびびりすぎだ。」

「そ、そんな、ことないですわ!びびってなんか、うっ、わっ、」

ロクシーはロクシーで足首に尻尾が当たる度に青ざめた顔で震える。

そこまで嫌なら飛べば良いと言ったが、

「む、昔ここで飛んだとき、上から蛇が落ちてきて………」

思い出したようにまたフルりと震える。

つまりここは彼女にとってまさに悪夢の巣窟つと言うことだ。

まあ、たしかに気持ち悪いが。

前を進む彼女は平気な顔して体に蛇を好き勝手にはわせているが普通気持ち悪い。

この大量の蛇の道を何の躊躇もなく歩けていることが凄い。


やはり、人間じゃないのか。

ロクシーと同じ吸血鬼?羽がないから、違うか。

では、大蛇の化け物か。

今は人に化けている……とか?

「あの……つかぬ事を伺うが、貴方は妖怪かのんかなんかですか?」

知らず敬語を使っていた。

平気なフリしているが、案外自分もびびりなのだ。

「………嫌、私は人間だ。」

「へ、へぇー……、」

へぇー………

そうなんだぁ……

いがーい……

「ロクシー………まじで?(ヒソ」

「……ええ。彼女はたしかに人間ですわ……(ヒソ」

………。

まじかぁ。

超人大集合かよ。

つまり俺は、この世で最もイカレタ……ん、失礼。不思議な趣味をお持ちな人間と、最早人間でない吸血鬼に挟まれて歩いているわけだ。

はぁ……と深くため息をつく。

ここ何日間で俺の人生は180度変わったみたいだ。

おっさんの屋根裏部屋が懐かしい。

埃っぽくて、ネズミが出てきて、夏は暑くて冬は寒くて、ペットは飼い放題どころか、見たことも無い大きさの虫、爬虫類、等と同居生活を強いられる。

外の音もうちの音も全部聞こえて。

さみしがり屋にはうってつけの物件だった…。

……。

前言撤回。出来ればあそこに住むのは永遠に遠慮したい。

ロクシーの館に住んだからか、あそこの悲惨さがよく分かる。

今更戻っても一睡どころか食事の一口すらとれないだろう。

そんなことを考えながらため息をつく。

前を見ていなかったせいで、足を止めた蛇に愛された彼女にぶつかりそうになった。

そんなことがあれば、ぶつかられた彼女を愛おしむ蛇たちに針のむしろにされそうだ。

危ない。


「………着いたわよ。」

「……。ああ、たしかに。」

ロクシーが一歩前に出て、どこからか取り出した赤いバラの花を置いた。

地面に置かれた石の墓石。

コケはえたそこにはうっすらと綴られた文字。

たしかに書かれている。

だが。

これが自分の両親の名前なのかは分からなかった。

と言うか、記憶にすらない。

「うちの両親に、あったことあるのか?」

「………私はないわぁ。蛇たちの中になら、見たことある子もいただろうけど、その頃の子達はもう死んでしまってるわぁ。」

「…、私は一度ありますわ。とはいえ、社交的なものでしたので、親しくはないですけれど……。」

「そうか……。どんなだった。」

ロクシーはゆっくりと振り向いた。

首をかしげて苦々しく笑う。

「良い方々………でしたわ。残念ながら、彼等の思想は画期的かつ未来的な超現実なもので、それを疎ましく思う方の多くには夢物語のように感じられたのでしょうが。」

「……。へえ。」

一歩前に出、しゃがんで刻まれた文字をなぞる。

指先の石をなぞる感触が硬い。

ざらざらで、指が切れそうだ。

しゃがんだところに蛇はやってこず、そっと手を合わせた俺はしばらくただ、そこに眠る血縁者に祈りを捧げた。

どうか、幸せであることを。


「さて、行こうかぁ。」

「何所へ?」

「我が家へ。」

嫌な予感しかしなかった。

立ち上がるとまた周りを蛇が囲む。

ロクシーが息を吞んだ。

「な、なあ、ロクシー、家って……」

「………きくな。」

「はい。 」

生唾を飲み込んだ。

生きて帰れるか、まともな状態で帰れるか。

それだけが気がかりだ。



***

こんにちは。まりりあです。

二日ぶりですねぇ。 

………。

えーー

言い訳をば、


ちょっと、漫画にはまりまして、

小説も読み始めたら止まらなくて、

二日間、夜中の二時まで活字とにらめっこ、と、こういうわけでございます。

今日からは本気出します。

きっと。

さて、誤字脱字ありましたら、是非教えてください。

それではまたの機会に。

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