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姉と弟

 家庭科の教科書で見た多様な家族。離婚なんて珍しくないし、共働きも片親も普通の時代。それでも、私の家は「変」だとこのとき知った。


 アナウンサーが言った。今日は午後から雨が降ると。お弁当を包みながら聞き流していたニュースは半分も覚えていない。今日は木曜日。今週も後半戦に突入し、とても憂鬱な気分だ。そんなことを考えているとスマホのアラームがなる。いけない!ゆうちゃんを起こさなきゃ。

 慌てて弟の寝室に入る。弟の悠人は布団に包まって寝ている。

 「ゆうちゃん、起きて、7時だよ。ゆーう、ゆーとくん。起きなさい。」

 声をかけてもなかなか起きない弟に少しイライラして、布団を引っ剥がしてやった。

 「うぅ...寒い...」

私に取られた布団を取り返しもぞもぞと動くゆうちゃんは、まだ完全に覚醒していないのだろう。

 「寒いじゃないでしょ。起きて、7時すぎたよ。私もう出ないとだから。学校、遅刻しないようにね。」

 「は〜い。いってらっしゃ〜い。」

 寝ぼけていて少し心配だが、私ももう家を出なければならない。行ってきます、と小さく答え慌てて家を出る。どんよりとした空は、快晴のときよりも眩しく感じてめまいがしそうだ。

 「あ、傘わすれた。」

 小さくつぶやいた声は住宅街の朝の音に沈んでいった。


 セーフ!

切れた息を整えながら時計を見る。

「アウトだよ。」

声に出てた...?上から降ってきた声の主、通学班の班長、浅野くんは笑いながら

「声に出さなくてもわかるよ。ゆうは顔に全部出るもん。ぜーいん揃ったし並べ〜。ほら、行くぞ。」

と、僕のランドセルを押しつつみんなに声をかける。

僕らが一列に並ぶと1年生に合わせゆっくりと歩き始める。その時後ろから肩を叩かれた。振り向くとその人物はよっ、と手を上げる。

 「おはよ〜、ゆう!寝坊か?」

 「おはよ、ともくん。ごめん、遅くなって。」

彼は佐々石智昭くん、僕と同じ3年生で同じクラス、隣の家に住む親友だ。

「そんなことより!今日!うちに飯食いに来いよ!かーちゃんがお前呼べってうるさくて。」

彼の母親は僕や姉をよく気にかけてくれる。ともくんママのご飯は美味しいし、とっても魅力的だ...が。

「ありがとう、でもごめんなさい。美晴が作ったご飯家にあるし、今日は遠慮しとく。」

美晴は朝早く家を出ても、帰って来るのは日付が変わるか、変わらないか。だから、仕事の前に僕の夜ご飯を作っておいてくれる。

「おー、美晴サンさっすがー!あの人仕事して勉強もして、忙しそうなのに家事もこなして料理もうまい。おまけにチョー美人!ほんと、すっごいよなー。俺もあんなねーちゃん欲しいは〜。」

「あはは、でもちょっと抜けててさ。塩と砂糖間違えたり、字は汚いくて読めなかったりするしさ。今日だって僕の音読カード書き忘れてて、怒られるの僕なのに。」

大好きな美晴が褒められるのは嬉しいけど、それを表に出すのはなんだか、恥ずかしくて。そんな照れ隠しがバレていたのか、ゆうくんはニヤニヤしている。

そうこうしているうちに目的地が見えてくる。鯉のぼりがたなびく校舎を見上げ、1日の始まりを感じた。


閲覧ありがとうございます。

はじめまして、カレイです。

web小説を書くのは初めてなので、

読みにくい部分も多いかと思いますが、

ここでお読みいただけたのも何かのご縁。

ぜひこの姉弟を見守っていただければと思います。


今回は2人の紹介と朝の風景がメインになりましたが、

次回は悠人と晴美の関係についてもう少し触れていきたいと思います。

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