白の魅力
通学中のことだったが、どうも現実とは程遠い何かを体験した話をしよう。
私は大学生になり地元からは少し離れて、朝7時半くらいに出ないと遅刻は免れない距離を通っている。陽で灼ける空気を吸いながら汗を垂らし、駅へと向かう。ここまではいつもと変わらぬ日常であった。
それが起こったのは、何駅を過ぎて9駅目。いつものようにスマホを弄っていたら、目の前に全身真っ白な女子が座ってきた。これは全くの冗談ではない。髪は絹の様に、肌は雪の様に白かった。隣には同い年の友人らしき女子が座っていて勿論他の乗客の肌は白くないから、より鮮明に浮き出ていた。ふと頭に浮かんだのは「アルビノ」という文字だ(浮かんだ言葉であって、彼女がそうであるか私が断言できる権利はない。仮にそうだったとしても)。
アルビノ症。別名、先天性白皮症。その説明は自分で調べるとして、私は一度そのアルビノ症を主軸にした小説を考えていた(今も考えていたりする)。でも実際にその症状を持つ人を「見た」わけではない。むしろ「見たい」に近かった。同時に「見れない」ことを示していた。でもそれが「見れた」のだ。
改めて見ると雪の様に白い肌に透ける血の赤さが仄かについている。それがどこか艶めかしい。あるいは神秘的であると言おうか。私も気になった時期ではググってみたら今日感じたような言葉が並んでいた。こんなことを言っていると変態みたいだが、綺麗ということには虚偽は見当たらない。
でも何故「白」に魅了されたのか。やはり今まで想像の産物に近かったことが今目の前に出逢って興奮気味になっているからか。もしくは私自身が汚れているか。様々な思いを巡らせたが、時間が許してはくれない。私は駅を降り、最後にあの容姿を焼き付けて、重く黒いリュックを背負い、灼ける空気を吸って彼女とは別れたのであった。




