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3-3

 もうどれ位の時間が経っていて、何度目の行為なのかも分からなくなった頃。

 部屋の外が賑やかになった。

 バタバタと走り回る音、それを追いかけているのか、叫び走る音。

 何度も扉の開閉の音が響き、突然私のいる部屋の扉も開かれた。


「何やねん!!」


 もう一度、私を押し倒していた男は、振り向きながら怒鳴った。

 視線の先には男が一人、高級そうなスーツに身を包み、サングラスを嫌味無くかけた男が、遠慮無く私から男を引き剥がした。


「お前誰やっ!! 何すんねんっ!!」

「黙れ、女遊びは辞めろと、言っただろう。しかもお前、誰を相手にしてんのか分かってんのか」


 腹の底に響く声が、男の手を止め、動きを止めた。

 側にあったタオルを投げられ、服を着ろと静かに言う。

 何処かで聞いたその声に息を飲みつつ、すでに服の形を成さないそれに手をやりかけて、オーナーが飛び込んで来た。


「お客さん!! 警察呼びますよ!!」

「呼べるもんやったら呼んでみぃな、お前の職も失うことになるで」

「組長!?」


 その男へ、拳をぶつけたオーナーは、男の顔からサングラスを飛ばした。現れた顔を確認した、つい今まで私を弄んでいた男は震えていて、オーナーは、蒼白の表情を浮かべている。

 背中になって見えない男は、どこかで見た事のある雰囲気。だけど、絶対有り得ないと、頭がその答えを認めない。


「愛来、服着たんか」

「服……無い」

「は? 破かれたんか」


 振り返った顔は、怒りにも似た表情。

 だけどそれは私に向けられていない。

 視界に映る男へ向けれた、軽蔑にも似た怒りだった。


「お前はまた、こんな事を」

「だって、兄貴が」

「アイツもまだここに通ってるんか」

「その紹介で」

「お前達は、俺の話を聞いてなかったんか」

「いえその、あの……」


 一切話さないオーナーは、さっさと私へ簡易服を渡して来る。

 彰宏は手早く私からそれを奪い取ると、慣れた手つきで着せてくれた。


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