表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/30

第9話 北の森

 

 街から北に進んだところにある森に来ている。


「森の中って空気が澄んでるよなぁ」

「そんなことより、ボス探しません?」

「絶対に嫌だ!」


 ここのボスは蜘蛛なんだよ! 昆虫苦手だから正直見たくないが最悪なことに徘徊型なので何処にいるかわからない。なんで森に来たんだよ俺。


 《戦闘勝利によりレベルアップしました》

 《スキルポイントに2ポイント追加されます》


 お、レベルがあがった。


「なあ、そろそろ俺に戦わせてくれよ」


 別に戦闘狂ではない。今までの敵はすべて睡蓮が影魔法のドッペルゲンガーで生み出した分身が倒してしまっている。そのせいで1回も戦闘をしていない、ずっと座って睡蓮と喋っているだけ。これではただの寄生だ。スキルレベルもあがらないし。


「拒否します。召喚者を戦わせるわけにはいきません。それにフー君が戦うなら私が召喚された意味がないです」

「でもさー、召喚者の方が弱いってかっこ悪いとは思いません?」

「弱い主人公が、強いモノを召喚して無双するのかっこいいとか言ってたじゃないですか」

「……」

「はぁ、戦ってきていいですよ、召喚者の意思も大事ですから」


 睡蓮の許可も得たのでやるか! 前から来てるのはゴブリンだな。一体だけなのは助かるが剣を持っている。俺には近接武器がないから間合いに入られたら素手か……流石に無理。


『ギャギャ』


 近づかれる前に倒す


「悪魔化、ダークボール!」


『ギャーーー!』


 よし吹き飛んだ。もう一回


「ダークボール」


 今ので倒せるってことは、悪魔化なしならダークボール四発か。MPがすぐになくなりそうだな、睡蓮で二割、悪魔化で二割であと半分しかない。


『ギャッ!』


「ッ⁉︎」


 背中に衝撃を感じて振り返るとゴブリンがいた。もう一体いたのかよ!

 剣を縦に振ってきたが横に跳んで回避する。接近戦は無理だと思っていたが動きは速くない。

 今度は斜めに振ってきたが後ろに下がって避ける。

 どうやら頭は良くないようだ、攻撃がわかりやすい。


「ダークボール」


 勝つことは出来たが、周囲の警戒を忘れていた。レベルが低い敵だったから生き残れたがレベルが高い敵なら死んでいたな。


「お疲れ様です。どうでしたか?」

「戦ってみて良かったよ。一人で戦う厳しさがよくわかった」

「では、次からはまた私が戦いますね」

「いや、もう一回戦わせて。さっきの失敗を繰り返さないようにしたいから」

「そうですか。私はフー君のためを思って言ったんですけど」

「過保護すぎじゃない?」

「なら、あそこの蜘蛛、倒せますよね?」

「は? 蜘蛛? 無理無理無理無理無理! 睡蓮様倒して下さい」

「戦わないなら今後も戦わせませんよ」


 ボスと一人で戦えとか鬼だ。鬼畜すぎる。召喚者にこんな外道なことするとは、いつか仕返ししてやるからな。


「ダークボール」


 やっぱりボスは格が違うな。HP1割も減ってない……

 爪による攻撃はギリギリ避けられるがHPが削れない。弱点は昆虫だから火魔法だろう。

 やっぱり火魔法とっとけば良かったな。


「ダークボール」


 俺さっきからダークボールしか言ってない……

 そんなことより、まずいな、HPはまだ8割も残っている。俺のMPが尽きるのが先だろう。しかも、そろそろ攻撃パターンが変わるはずだ。体当たりとかされたら死ぬぞ。


「睡蓮様そろそろ手伝っていただけないでしょうか?もう充分なんで」

「わかりました」


 睡蓮ってやっぱ強いんだな。蜘蛛の脚を斬り飛ばしたぞ。

 まじか⁉︎ あの蜘蛛糸吐きやがった。HPをみると7割だったので攻撃パターンが増えたということか。

 ちなみにだが、一般的に蜘蛛は糸を吐かない。蜘蛛といえば糸を吐くイメージがあったんだがな、糸を吐くのはヤマシログモ科の蜘蛛だけらしい。


 俺のMPがきついな。まあ、俺いなくてもいいんだけどさ。と思っていると、蜘蛛の数が増えていた。どうやらHPが半分になると子蜘蛛を呼ぶようだな。いや、呼ぶようだな。じゃないだろ! このままだと子蜘蛛に殺されるぞ。


「シャドードッグ」


 睡蓮が俺のピンチに気づいたのだろう。新しい呪文を口にした。能力は名前の通りのようで、睡蓮の影から黒い犬がでてきて子蜘蛛を食べている。影から犬だすのって定番だけどかっこいいよな。運営はよくわかってらっしゃる。


 子蜘蛛を倒してからは特に変化もなく順調にHPを削っていった。

 残りHPが見えなくなった時、最後の悪足掻きなのだろう。蜘蛛がジャンプした。意味ないだろう。てか、そのHPだと着地と同時に死ぬぞ。相打ち狙いか?


「ダークボール」


 こうして北の森のボスが倒したわけだが、何か最後がしょぼいな。レベルアップが連続しているから凄い奴だったと思うんだが。


 《北のボスが倒されました。初撃破報酬をお贈り致します》


 初撃破報酬は反逆者のコートで性能は魔力+10%闇属性の能力上昇だった。反逆者が気になるが魔力+10%は凄いな。普通は魔力+10とかなのに%がつくとはな。

 MVP報酬は浴衣蜘蛛の糸で後は素材だった。いらないからノアに売るか。

 浴衣蜘蛛って確かヤマシログモ科だったな。


「お疲れ様です。どうぞ睡蓮様お飲み物です」

「ありがとうございます。あと、様はいらないです。そんなことより、ボス討伐のお祝いでもしましょう」


 今日みたいな日も面白いものだな。レベルも上がったし明日は紙でも作ってみますかね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ