第4話 魔道書
ほとんど説明です
『冒険者ギルド』
依頼の受け付けや素材の買い取りを行う場所。登録制ではなく誰でも自由に依頼を受けられる。ただ、依頼を失敗すると、罰金を払う仕組みになっている。
ギルドに入ると人の数はそこそこといった具合だったのですんなり俺の番になった。
『冒険者ギルドへようこそ、本日の御用件はなんですか?』
受け付けって若いお姉さんのイメージがあったが中年男性だった。だからなんだよという話だけどさ。
「魔道書の作り方を知っている人がいると聞いてきたんですけど」
『少々お待ちください…………それでは、この紙に書いてあるこの建物に行ってください』
「ありがとうございます」
ソラの情報では現れると言っていたから、簡単に考えていたんだがな。建物に向かうということはやっぱり簡単にはいかないということか。
紙に書いてある建物に着いたが外見は普通の民家だな。
『儂の家に何か用かの?』
目の前に老人が立っていた。
いつ現れたんだ? ウサギといい今日2回目だぞ。
「魔道書の作り方を教えてもらいに来ました」
『これはまた難儀なモノに目をつけたの、とりあえず中に入りなさい』
魔道書作ってる人に言われたくないのだが。おとなしくついていく。
中も普通の民家という感じだな。リビングにつくと老人が椅子に座り、老人に促され俺も椅子に座る。
『さて、主は魔道書についてどこまで知っておる?』
「何かを召喚できることしか知りません」
『まあ、そんなところか。では、魔道書について説明をしよう』
まあ、そんなところかって、情報一つしか言ってないんだけど。
『まずは、召喚魔法との違いからかの。主は召喚魔法を知っておるか?』
「申し訳ないです。知りません」
『気にせんでいい。召喚魔法というのは、モンスターからドロップする魔石を基に作る召喚石を使い召喚を行う魔法のことじゃ』
魔石って全くドロップしなかったアイテムだぞ。召喚士目指してるプレイヤーは苦労するだろうな。
『次は魔道書じゃな。魔道書は、才能を代償として召喚を行うアイテムのことじゃ』
「もしかして、才能ってスキルポイントのことですか?」
『よくわかったの。その通りじゃよ。そこが召喚魔法との違いでの、召喚魔法に代償はないが魔道書には代償があるということじゃ』
才能って言われて、スキルを想像したがスキルを代償にするならスキルポイントで問題ないのでは? と思ったがまさか正解とはな。
普通に考えると召喚魔法を選んだ方が得じゃないか? 確かに魔石は落ちにくいがモンスターを倒していればいづれ貯まる。逆にスキルポイントはスキル習得に使い減っていく。そんなスキルポイントの入手方法はニつしかない。一つめはレベルアップ、ニつめはイベントだ。レベルアップに至っては限界があるだろう。
『実はまだ違いがある。それは、召喚したモノが成長しないという点じゃ。召喚魔法で召喚されたモノにはレベルが有るが、魔道書で召喚したモノにはレベルがない』
「魔道書で召喚するメリットってあるんですか?」
『では、主に一つ質問しよう。召喚で使ったスキルポイントを相手は得るわけじゃが、相手は得たスキルポイントを使って何をする?』
何をする?ってスキルを習得するんじゃないのか?
「自分に使って自分を強化するんじゃないですかね」
『そこが魔道書で召喚するメリットじゃよ。召喚魔法は育てねばならんが、魔道書は最初から強いモノが召喚される場合がある』
確かに強い奴が最初からいれば助かる。だが逆に弱い奴は弱いままということか。……ただのギャンブルだろ。
「ところで相手は自分を強化して何がしたいのですかね?」
『強くなりたいだけという奴もおったし、旅がしたいだけの奴もおったの。理由はさまざまじゃ』
人と同じということか。
『さて、ここまで話たわけじゃが、召喚魔法の方がいいと言うなら帰ってもいいぞ』
「帰りませんよ」
『そうか。では説明を続けるかの。魔道書から召喚されるモノは、天使、悪魔、精霊の三種族じゃ』
選べるなら天使がいいな。まだ、話やすそうなイメージがある。
『そして召喚されたモノは魔道書が燃えたり、紙が破れたりするか召喚者が死ぬまで召喚されたままじゃ。だから、召喚したモノに殺された奴なんかも現れだしての。魔道書を持つ者が少ないのはしょうがないことじゃよ』
物騒だな。俺も殺されたりするのか? 普通に嫌なんだけど。
「何でその召喚者は殺されたのですか?」
『殺された召喚者は傲慢での、召喚したモノに対する態度が酷くての。怒りが収まらなかったモノに殺されたんじゃよ。召喚されたモノにも意思はあるんじゃがの、それがわからん者もたまにおるんじゃよ』
どこの暴君だよ。
『さて、お次は代償についての説明をするぞ。代償となるスキルポイントは1ポイント〜10ポイントまでじゃ。まあ、弱いモノでも10ポイントで召喚すれば多少強くはなるの』
「あの、10ポイントで召喚すれば強いモノがでてくる確率が上がるとかはないのですか?」
『ないの。強くなったモノは気まぐれでしか現れない。逆に強くなりたい弱いモノを引き寄せる場合が多い』
気まぐれってなんだ? そろそろ召喚されるかーみたいな感じか? それってニートじゃん。
「そういえば、貴方は強い悪魔を召喚して楽な生活を送りたいとか可愛い天使と一緒に暮らしたいとかゆう理由で魔道書を使いはじめたとお聞きしたのですが?」
『ほほほ、そんなわけないじゃろう』
「ですが、貴方の知り合いのギルド職員の方はそのような理由だと言っておられましたよ」
『…………』
「それで、強い悪魔か可愛い天使は召喚できたのですか?」
『主よ、現実とは残酷じゃよ。強い悪魔がおるならもっと豪邸に住んでおるし、可愛い天使がいるならすでに召喚しておるさ。主も同じような理由なら諦めた方がよいと儂は思うが?』
《クエスト『魔道書作成』を受けますか?》
もちろんYESだ。もう後には引けないとこまできてしまっている。
『主は変わり者とよく言われるじゃろ』
「いいんですよ。人に何と言われようとやりたいことをやった方が面白いですから。それに強いモノが召喚されるかもしれませんよ」
『よくわかっておるわ』
召喚者の死は消滅のことですのでプレイヤーは関係ありません。NPCのみ話です。