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第24話 雑用

 家への帰り道。俺は悩んでいた。


  ガスマスク

 体力+10  物防+5

 効果:耐悪臭


 これ使いどころあるのか? ゲームではよく悪臭放つモンスターとかでてくるから使えるのかもしれないが……わからん。そもそも似合うのかわからん。ただ、一つ言えるのは、コレを着けてたら目立つ。どうしようかなーー



「おかえりなさい」


 えっ。帰れってどこに帰ればい……なんだ睡蓮か。いつの間にか家に着いていたようだな。

 そうだ! 睡蓮に似合うか聞けばいいんだ。


「なあ、コレって似合う?」

「……………………」


 いや、沈黙が長えよ。『はい』か『いいえ』くらい言ってくれたっていいじゃん。沈黙とか両方が気まずくなるだろ。winwinの関係作ろうよ。


「それで、この後の予定は?」


 顔色一つ変えずに流しやがった……もう二度と装備しない……


「睡蓮とは絶交だ!!」


 そう言い走り出したはずなのに一向に景色が変わらない……そりゃあそうか。だって俺、走り出すと同時に睡蓮に服掴まれたからな。


「……なに?」

「…………ごめんなさい……仲直りはできないですか?」

「……俺の出す条件がクリアできたら考えてもいい」

「絶対にクリアします!」

「じゃあ、このお金を持って火焔と遊んできて。今まで、休暇も給料もだすの忘れてたからさ。今日が給料日+休日とします」


 別にマスクの感想一つで拗ねるほど俺の心は脆くない。つまり、今までのは睡蓮を騙す芝居だったというわけだ。いや、まあ、少し心にひびが入ったけどね。


「……騙しましたね?」

「え、そんなわけないだろ。それより、早く休日を楽しんでくるといい」


 頑張って口角を上げてみるが、多分俺は今、引きつった笑顔を浮かべているだろう。これでは、騙したと認めているようなものだな。でも、こうでもしないと二人とも家を出ないんだから仕方がない。


「わかりました」


  怒られるかとも思ったが、火焔と楽しそうに出かけて行ったので大丈夫だろう。





 リビングに一人だという寂しさに襲われているが、やるか。メニューからスキルを選び魔眼をタップする。正直、すかっり忘れていたんだが、魔眼の能力は、魔王化だけではない。そんな忘れ去られた『設定』をタップする。


「やっぱりか」


 最初は名前の変更しかなかったが、今は装備の変更がある。まあ、装備といっても頭と胴しか設定できないんだけどな。でもこれで上半身裸にはならない?……いや、おかしいぞ。そもそも、このゲームでは防具の装備がなくてもシャツを一枚着ていたはずだ。俺のシャツはいったいどこに? うーん…………わからん。今はシャツ着てるんだけどな。

 悩んでてもしょうがない、胴を反逆者のコートで登録しておこう。ついでに魔王化も変更するか。ノアが言うには俺の体を闇が覆ったらしいからな〜「闇よ我が身を覆え」とか? 普通に恥ずかしいから却下だな。なら「我が身を覆え」か? それなら「闇よ」だけの方がいいな。変更しとこう。


 次は、グリーモルさんの私物を片付けるか。こればかりは睡蓮達に手伝わせたくない。ちゃっちゃと終わらせよう。

 思い出してみると、グリーモルさんの部屋に入るのってこれが初めてだな………………グリーモルさん。私物が少なすぎです。本棚には本が数冊しかないし、服も数着だけ。かわりに紙の材料、魔道書の表紙は沢山あったが……ここまでくると病気の類だったんじゃないのか? まあ、今となってはわからないんだけどさ。

 無駄な考えやめて飯でも作るか。時刻は午後二時、うーん。遅めの昼食?だな。


 時刻は午後二時十分。我が家の台所から黒い煙が湧き出ています。煙をかき分けて鶏肉の元に辿り着くと、赤かった肉が黒い石炭に変わっていた。ノアから買った鳥の肉で焼き鳥を作ろうと思ってキッチンに行ったはずなんだが……少し目を離したのがいけなかったな。しょうがない新しい肉でもう一度挑戦するしかな「ただいま〜」……帰ってくるの早いよ。



「おかえり〜」

「フーアご飯まだだよね? 焼き鳥買ってきたよ」


 火焔さんマジでわかってるよ!

 ただ、その隣で木刀を二本持ってる睡蓮がなにを考えてるのかわ全くわからない。


「その木刀どうしたんだ睡蓮?」

「フー君に稽古をつけようと思って買ってきました」


 そんな嬉しそうな顔で言われると何も言えないんだけど……そもそも稽古って、確かに魔剣のせいで前衛キャラになってきてるけど、俺、本来は魔術師希望してたんだよね。

 そんなことよりだ


「……もしかして、二人とも自分の物買ってきてないの?」

「いえ、私は木刀を買ってきましたよ?」

「僕も焼き鳥買ってきたけど?」


 質問に質問で返しすぎ……じゃない!


「いや、それって俺も関わってるだろ。そうじゃなくて私物を買ってこなかったのかって聞いてるんだよ」

「僕は買ってきてないかな」

「私もですね」

「…………帰りが早かったのは?」

「やっぱり、フー君が心配でしたので」

「今日は休日にしたと思うんだが?」

「休日を家で過ごすのは当たり前のことだよ」


 鶏肉焦がしたから反論しずれぇ……しかも正論付き。まあ、いいか満足そうな顔してるし。


「明日は東の山に行くから。今日はちゃんと休めよ」


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