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第23話 届け物

 終わったので睡蓮達の元に戻ると二人で喋っていた。まさか本当についてきただけとは………


「終わったぞ〜。それにしても二人とも会話しないな。火焔も人見知りなのか?」

「……正直、初めて会う人と話すのは苦手かな。何喋ればいいかわからないし」

「でも、俺とは普通に喋ってなかった?」

「フーアが話しかけてくれてただけで、僕から話しかけることはなかったとおもうよ」


 そうだっけ?


「そういえば火焔、戦うのは平気になったのか? 今日もついてこなくて良かったんだぞ?」

「大丈夫だよ。あの時はちょっと気分が沈んでただけだから」


 ……良いことなのか?

 まあ、一週間北の森についてきてたから今更な気がするけど。



 街に戻って昼食を買いグリーモルさんの家に帰ると何故かギルドの職員がいた。


「何かご用ですか?」

『君がグリーモルの弟子であってるよね?』

「ええ、そうですけど」


 そう言うと、ギルド職員はカバンから数枚の紙を取り出し渡してきた。


『どうするかは君の自由だ』

「何ですかこれ? グリーモルさんは?」

『亡くなったよ。依頼中にモンスターに襲われてね。じゃあ、私はこれで失礼するよ』


 ギルド職員に渡された紙は土地と家の権利書。どうするかは自由って売るわけないだろ!

 何だよ亡くなったって……教官系のNPCって死ぬのかよ。

 ソラに聞いてみると死ぬこともあるそうだ。理由はこの世界の住人だからというものだった。

 NPCでも知り合いが亡くなるって結構悲しいな。……今日はログアウトするか。ゲームって気分じゃない。




 ログインするといつもの部屋。まさかずっとこの家にいることになるとはな……

 昨日ギルド職員に渡された紙の中に依頼、ようはクエストがあった。内容は、グリーモルさんが亡くなったのでこの街に魔道書の作り方を教える人がいない。なので、俺に魔道書の作り方を教える役をやってほしい。というものだ。俺は一応グリーモルさんの弟子だから引き受けておいた。

 でも、あと少ししたらVRギアが発売される。正直、教えるのとか苦手だ。魔道書を選ぶ人がいないことを祈っておこう。


「ノアのところに行ってくるから留守番よろしく」

「わかりました」




「おはよう。糸とってきたよ」


 店に入るとカウンターにノアがいたので声をかけ糸を渡す。朝なのにもうお客がいる。やっぱり人気あるんだな。


「仕事がはやいね〜。報酬はどうする?フーア初期装備だし防具でも作る?」

「じゃあ、コートの改造をお願いできる?」

「改造?物によっては無理だったりするけど、とりあえずコートだしてもらえる?」


 反逆者のコートをだしてカウンターに置く。


「背中に翼をだすための穴を空けてほしいんだけど……」

「うーん、ちょっと厳しいかな。穴を空けることはできるんだけど、耐久値の最大が減っちゃうかもしれない。それでもいい?」

「それくらいならいいよ」


 普通の防具に翼は生えると貫通ダメージで防具が壊れるからな。耐久値下がるくらいは問題じゃない。


「わかった。じゃあ、奥に来て。実際に翼だしてもらわないと位置がわからないから」


 ノアがカウンターから離れていいのか?と思ったがNPCがいるんだな。NPCとノアが会話した後、NPCがカウンターに移動していた。俺もあれくらい従順な人がいい。いや、店員だから店長に従うのは当たり前か。ん? 俺って給料あげてないじゃん! 帰ったら給料渡そう……


 作業場か〜お店には防具がやポーションが並んでたけど、どうやって作ってんだろ。

 そう思いながら、作業場に入ってみたが何も分からなかった。まあ、生産系じゃないから当然なんだけどね。


「それじゃあ、翼だして」

「了解。魔王化」


 やっぱり、目の前真っ暗になるか。


「いろいろ言いたいけど、なんで上半身裸なの?」


 やっぱり、そこですよね〜。

 ノアに説明し、魔王化した後の状況を聞くと、『フーアの影から闇?がでてきて丸い球体になった』と言われた。意味あるのか? 運営は変身時に攻撃されるヒーローとか知らないのか?


「結局のところ、上半身裸の理由はわからないんだね。しかも、専用防具っていっても、足、脚、腰、腕のみか〜」


 喋りながら測るなんて……これがプロか。ちなみに、翼は増えなかった。まあ、翼が四枚もあったら動かし方が複雑になりそうだからいらないんだけどな。


「ちなみに他の防具は?」

「頭、胴、その他」

「いや、その他ってなに?」

「外套やマントのことだよ。あと、マフラー」

「いやいや、マフラーってアクセサリーだよね!?」

「そうだよ。その他は冗談だよ」


 ええええ、ノアめっちゃ笑ってるし、騙されたのか! 綺麗に引っかかったよ……


「ごめんね。フーア騙されやすいって聞いてたから試してみたくて」


 聞いてた?ということはあいつしかいないな。今度会ったら殴ろう。


「じゃあ、マントってどの分類?」

「ただの布扱いだよ。防具につけられるだけのものかな……測り終わったよ」


 ただの布って酷すぎないか……魔王とか常備してるよ、他のゲーム。


「できたら連絡するよ。そうだ! お礼にコレあげる」


 いい笑顔で渡してくるけどさ……何故にガスマスク? てかファンタジーだよね? ガスマスクとかありえないよね普通。てか、ガスマスクありならマントもありにしろよ運営!!


「なんでガスマスクあるの?」

「私が作ったからだよ。作ったあとに流石にコレはないって思ったから一つしかない限定品だよ」

「俺もコレはないと思うよ」

「まあまあ、貰ってくれたらご褒美あげるからさ。」


 なんでそんなに推してくるんだ。


「でも、限定品なら倉庫に保存しといた方がいいと思うけど」

「違うよ。作ったからには誰かが使ってくれなきゃ意味ないでしょ?」

「……わかった。もらうよ」

「次来るときは装備してきてね。はいコレ約束のご褒美」

「クッキー!? ありがと〜。お菓子好きなんだよ」

「喜んでもらえて良かったよ」


 お菓子はまじで嬉しい。料理スキルを取ったのはお菓子作りのためでもあるからな。まあ、肉焼くのも失敗したんですけどね。俺も早く作れるようにならなければ!

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