第13話 紙作成2
くだらない話はやめて作業に取り掛かる。このままだと紙の完成が遠のくだけだ。
「睡蓮は繊維洗って、俺はウサギの毛皮の脱毛やるから」
「了解です」
脱毛使うたびに丸く禿げていくな。にしても、脱毛で落ちた毛をみてると床屋を思い出すな。髪が結構伸びてから切りに行くからこんなふうに毛が落ちるんだよな。凄いどうでもいい話だが、暇だとどうしても無駄な事を考えてしまう。
MP余ってるし悪魔化も使うか。
《フレンド登録者からメールが届いています》
ソラか。『今、暇か?』って言われると暇じゃないが、そろそろ昼だし休憩するか。
暇だとでも返しておこう。
《フレンド登録者からメールが届いています》
返信はやくね? あらかじめ文章打ってあったな。『じゃあ、今から会おうぜ』か、丁度いい昼飯を買いながらここに来てもらおう。
ここの場所を書いて、昼飯よろしくでいいだろう。
「睡蓮、今から友人来るから奥にいって休んでてくれ」
「拒否します。フー君の友人なら挨拶をしたいです」
ですよねー。
もうかくさなくてもいいか。いずれバレるからな。
「じゃあ、そいつが昼飯買って来るから一緒に食べるか」
もう一人分買ってきてくれとメールを送るか。
「おーい。フーア来たぞー」
「久しぶり。昼飯買わせて悪かったな。いくらだ?」
「昼飯ぐらい奢ってやるよ。にしても、家買ったのか?」
「ここはNPCの家だ。用事で数日留守にするらしくてな、その間留守番してるんだ」
「そうなのか。ところでフーア聞いたか?北のボス倒されたんだってよ。しかも二人だけで倒したらしいぞ!」
「まあ、昼飯食いながら話そうぜ」
凄い有名な話になってるな。外出るのやめて引きこもるか?
リビングにつくと睡蓮がソラに挨拶していた。
「悪魔の睡蓮です」
「ソラだ、よろしく。フーアどういうことだ?悪魔なんて聞いたことないぞ」
ソラは「しかも、美人だし」と言ってくるが睡蓮の年齢聞いたら驚くぞ。
いや、やめとこう。睡蓮めちゃ睨んできてる。
「ほら、魔道書だよ魔道書。魔道書からは悪魔、天使、精霊がでてくるんだと。ちなみにこれが睡蓮のステータスだ」
「なんだこれ……みたこともないスキルばっかりだな。もしかして、北のボス倒したのお前ら?」
「ほとんど睡蓮がやったがな。だから、情報提供する気はないんだよ。俺はPvP大会出場禁止だから余計騒がれるだろ」
「そりゃそうだな。だが、PvP大会出場禁止とはまたよくやるなお前。にしても、魔道書は当たりだったわけか」
お! ソラが買ってきた昼飯美味いな。何処で売ってるのか後で聞いておくか。
「最初は失敗したと思ったんだけどな。自分で作らなきゃいけな……そういえば俺、魔道書自分で作ってないな」
「何言ってんだ? 魔道書は自分で作らなきゃ使用できないだろ」
ソラの言う通り魔道書は作った本人以外使用できないはずなんだが、あの時グリーモルさんが張り切りすぎたとかで魔道書完成したんだよな。
「魔道書の作り方を教えてくれる人が張り切りすぎたとかで俺、作ってないんだよ。ちなみにこの家の主人がその人」
「初回限定クエストだったんじゃないか?このゲームそういうのよくあるし」
初回限定ね……あ! 思い出した。ソラに渡そうと思っていたアイテムがあったんだ。
「ソラに渡そうと思っていたアイテムがあるんだよ。ほら、受け取れ」
「なんだこれ? コートか?……魔力+10%は魅力的だが闇属性は取ってないからな。俺じゃ使えない」
お前が使えと言って返されてしまった。まあ、ソラのイメージ的にもコートはないな、鎧とかの方が似合うだろう。
「ていうか、他に召喚した人いないのか? 一人だけってことはないだろ」
「まさかの睡蓮一人だけだよ。睡蓮に新しく召喚するのとめられてるんだよ」
「は? フーアが召喚者で、睡蓮さんが召喚された方だろ?」
「そうに決まってんだろ。話聞いてなかったのか?」
「ぷっ! ははははははは腹いてぇ」
なんだこいつ。急に笑い出したぞ。
「お前すかっり尻に敷かれてるな。召喚者の方が立場よわいなんて聞いたことねぇよ」
「ソラに彼女ができたらわかるさ。世の中には逆らえない人がいると」
ひとしきり俺を笑ったら帰って行きやがった。友人なら俺と一緒に睡蓮を説得してほしかったよ。もしかしたら、もふもふを召喚できたかもしれないのに。望み薄だが。そもそも、獣が召喚されるのだろうか。精霊枠としてあるかもしれないが情報がないのでわからんな。
さてと、休憩は終わりだ。さっき睡蓮が洗った繊維に紙作成使うか。
「紙作成」
お! できた。スキルレベルは関係ないのだろうか? 実験で今度は大きさと厚みを指定して
「紙作成」
さっきと変わらないな。スキルレベルで大きさと厚みの調整が可能になるわけか。
でも、グリーモルさんが作った紙と同じサイズだから変更する必要はないな。
結構な量の紙が出来たが、紙作成は作る工程が面倒だし時間がかかるな。正直もう、作りたくないが皮紙と紙の合成紙を作りたいのでもう一回くらい作る必要があるな。どのみち、材料も半分残ってる。もう一度やりますか!
「材料が半分余ってるからもう一度作るけど、睡蓮はどうする? お菓子食べる?」
「食べません。私も手伝いますよ。フー君に楽をさせるのが私の役目です」
「そんな役目はありません。睡蓮の役目はお菓子食べることです」
睡蓮のような女性がダメ男をつくるんだ! そのうち働かなくていいですから、とか言いだすよ絶対。俺はヒモになりたくないのでそんな役目は捨ててほしい。
「フー君は女性を太らせる趣味があるの?」
「あるわけないだろ! 何故そうなったかはもういいよ、昨日みたいに木材の皮剥いて細かくしてくれ」
誤解がひどすぎる。北の森のこともあるし、睡蓮って妄想が激しいのか?