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第10話 紙作成

 


「今日は、紙を作りたいと思います」

「私は何をしていればいいのでしょうか?」

「休暇を与えます。今日一日、自由にしていていいぞ」


 ブラック企業になるつもりはないので適度に休みを取って貰いたい。廃人のスケジュールさえ余裕でこなすエリート社畜の睡蓮だが俺はそうなって欲しくない。


「食べたい物食べに行くとか。買いたい物を買いに行くとか。何かあるだろ」

「私はフー君と一緒に居たいので何処にも行きませんが?」


 睡蓮の好感度maxじゃあね? まあ、人見知りなだけだろうけどね。俺も休日とか部屋出たくない、コンビニとかでさえ無理だ。レジとか緊張するんだよな、「レシートいります?」って聞かれたら、「あ。いりません」とか言ってしまう。会話の最初に何故か「あ。」がつくんだよねー。………この癖早く治したい。


「じゃあ、材料を買いに行くぞ」



 ノアいるかな? と思って来たら昨日と同じ場所にいた。


「おはよう。素材の買い取りして欲しいんだけど」

「おはよ〜。今日もウサギ?生産の人達驚いてたよ、どんだけ狩ったんだよ!?とか言ってたもん」

「今日は違うよ。昨日、北の森に行って来たんで素材を売ろうと思って」

「北の森か〜あそこのボスに勝てないって攻略の人達が必死になってたけど、フーアも攻略主体なの?」

「違うと言いたいが今の話されると違うとも言えない。それで、売りたいのはこの素材」

「浴衣蜘蛛の糸に浴衣蜘蛛の爪ってこれ北のボスの……まさか一人で倒したの!?」

「そんなわけないよ。連れと二人でね」


 俺は役立たずでしたがね。


「それでも充分凄いからね!?……値段に関してはちょっと待ってもらってもいいかな。生産の人達と話合わなきゃいけないから。決まったら連絡する」


 凄い大事になったな。


「わかりました。あと、動物の皮と木材とアルカリ溶液を買いたいんですが売ってますか?」

「山羊の毛皮とアンガードッグの毛皮、木材ならあるけどアルカリ溶液はないかな」

「じゃあ、山羊の毛皮と木材を買います」


 俺の所持金が500Gになってしまった、昨日は5000Gあったはずなんだがな。

 ノアのところにアルカリ溶液が無いならグリーモルさんの家に行くか。聞きたいこともあったし丁度いい。



「グリーモルさん、居ますかー」

『居るぞ。入ってきなさい』

「お邪魔します。今日来たのはですね」

『わかっておる。アルカリ溶液じゃろ、あれはギルドでしか買えんのじゃよ。伝え忘れておったでの、そろそろ来るんじゃないかと思って待っておったのじゃよ』

「そうだったのですか。わかり『ほれ』……これは?」


 グリーモルさんが出したのはアルカリ溶液だった。


『詫びにと思っての儂が買ってきておいたのじゃよ』

「ありがとうございます。それと、もう一つ用件がありまして。……睡蓮ちょっと外に出てくれ」


 拒否します。とか言われると思っていたのだがすんなり出て行った。


「用件といいますのは、睡蓮についてです。俺の言う事を拒否してくるんですがそういうのが当たり前なんですか?」

『主には教えとらんかったな。魔道書には『命令』というのがある。それで大概の言う事には従う』


 確かにあった。スキルレベル5で覚えるようだな。


「でも、度がすぎると殺されるというわけですか」

『そういうことじゃな。一応忠告しとくが裸になれとかそういう命令は従わんから言わん方がええぞ』

「……言いませんよ」


 少し考えはしたがな。


『にしても、主はやはり変わり者じゃな。皆、召喚したモノの意見など聞かんというのに。まあ、儂は主の方が良いと思うがの。ところでじゃ儂は少し出かけてくるでのその間、留守を頼みたい。紙を作るなら道具は使って構わんでの』

「わかりました」


 道具を買うの忘れてたので凄い有難いです。グリーモルさんがリビングを出ていくのと入れ替わりで睡蓮が入ってきた。


「お話はもう良いのですか?」

「まあな。そして、今から紙を作る。まず、木材の皮を剥き細かくする」


 お互い静かだな。睡蓮、今日は全く喋らないし。


「なあ睡蓮。聞くの忘れてたんだけどさ、睡蓮は今の強さに満足しているのか?」

「何ですか急に」

「人見知りだから、紙を破いてくれと言い出せないとかあるのかと思ってさ」

「私はフー君と普通に喋れています。人見知りじゃありません。あと、紙は大切に保管しておいてください」

「いや、紙は魔道書に合成されてるから保管できないだろ。よし、そんなもんでいいぞ、次はアルカリ溶液で煮る」


 これが、長いんだよな。二時間以上かかるそうだ。

 二時間以上も部屋に二人っきりとか無理だ。睡蓮には帰ってもらおう。


「睡蓮、魔道書に帰還しなさい」

「拒否します。喋る相手がいません」

「なら命令するか?」

「そんなことすれば二度と話し相手にならないから」

「話し相手になっているの俺だからな!」


 結局、睡蓮は魔道書に戻らなかった。


「じゃあ取り出した繊維を漂白する。これで、今日の作業は終わりだ」


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