進級
トモミとは順調にお付き合いを続けたが、
2年から3年になる頃はさすがに俺の部活動が忙しく、春休み等で会う事があまりできないでいた。
当時は携帯のメール機能で連絡取る程度だった。
部活でレギュラーを張っていた俺は、そこそこ体調管理も気にしていた為、練習→寝る
の繰り返しだ。
休みともなると合宿、試合のオンパレード。
新入生も続々練習に参加してきていた。
50名ほどの部活の中でレギュラーの俺は、新入生からすぐに黄色い声援をもらっていたが、以前のトモミの件でさすがに学習しているので、チャラチャラする事はなかった。
前ならすぐに可愛い子チェックに入る所だが…
とある大会前夜。俺はホテルに合宿しながら、試合の準備の為、新入生2人からマッサージを受けていると携帯が鳴った。
ピロロー♪
トモミからだった。
『優、明日から試合だよね?体調大丈夫?絶対優勝してね!試合終わって休みになったら会おうね。所で今何してるの?少し話す時間ある?』
『おぅ、ありがとな!体調は大丈夫。今はちょっと後輩にマッサージしてもらってるから終わりにするからちょっと待ってて。すぐに掛け直すよ。じゃぁな。』
『うん、わかった、待ってるね』
俺は電話を切って、後輩にマッサージありがとう、と言い2人とも自分の部屋に返した。
さてさて、もうあとは寝るだけだし、トモミに電話しよう。
と携帯を手に取りトモミの番号を押す…
プップップ…
トントントンっ
ノックする音。
ん?誰だ、
ドアを開けてみると、先ほどマッサージをしてくれていた後輩の1人、御子柴 望がいた。
「どした?忘れ物?」
「先輩!先輩にどうしても相談があるんです。聞いてもらえませんか?」
さすがに嫌とは言えないので、
「ん、わかった、試合前だから少しでよければ、、じゃあ入って。」
俺はトモミに電話かけっぱなしにしてたのを思い出して慌てて携帯を耳にあてた。
『優ー?おーい、優?』
『わりぃわりぃ、かけたとたんに後輩が相談があるって部屋に来たから、もう少し待っててくれ。』
『あ、待って、後輩って誰?何の相談?何で今なの?』
『よくわかんねーけど、とりあえずちょっと待ってて。じゃな。』
電話を切った。
「んでどした?相談って何の?」
この御子柴はまだ中学3年生だ。まだうちに入学もしてないが、特待生として入学予定の子だ。その為、春の大会にも練習生として参加していた。
そんなまだ1度か2度しか会った事ない後輩から俺に何の相談があるというのだろう。若干面倒くさいと思いながら話を聞き始めた。
「今の電話先輩の彼女ですか??
いいですね。先輩の彼女さんの話は結構有名で、まだ入学してない私でも知ってます。とっても美人さんなんですよね?羨ましいです。」
「そうだよ、それより何?」
俺は興味のない子にはとことん冷たい上に、今はトモミに電話したいので、さらにツッケンドーだ。
「私、サッカー部の先輩に好きな人ができちゃったんです。だから相談に乗ってほしくて。」
「はぁ?誰?」
なんで俺がそんな話を試合の前日に聞かなきゃいけないんだよ…
面倒くささ100%だった。
「3年の先輩で、レギュラーの方です。カッコよくて会うたびに好きになっちゃうんです。」
3年とは俺らの代の人間の事だ。
「3年って言われてもいっぱいいるからなぁ、誰なの?つーかそんな好きなら告白しちゃえばいいじゃん!」
「名前言いにくいので当ててください!彼女がいるみたいで告白しづらいんです…」
(いやぁ面倒くさい。この子は何だか楽しんでるみたいだけど、2つも歳下だとやっぱりこういう、恋愛ネタが好きなんだな。ちゃっちゃと済ませて早くトモミに電話しよっと。
)
「そうだなぁ〜◯◯?もしくは◯◯?」
俺は思い当たるレギュラーで彼女がいるやつの名前を言ってみた。
「違います。」
「え〜?じゃああと誰?他いなくない?てかそいつ彼女いるんでしょ?どうすんの?無理じゃん!」
「そうなんですよね〜、だからこうして相談してるんです。略奪愛とか 笑」
「略奪愛⁉︎おもしれーそれ!やっちゃぇやっちゃぇ!好きなら伝わるかもよ!アピール大作戦だ!」
俺は早く帰ってほしさあまりにかなり適当に答えた。
「本当ですか⁉︎そうですよね、頑張ってアタックすることにします!先輩の言葉で勇気がでました。ありがとうございます!」
「そっか、それは良かった。じゃあちょっと俺、彼女が電話待ってるから、明日から試合頑張ろうな!おやすみ!」
といって御子柴を見送りもせずにトモミに電話した。
『もしもし?まだ起きてた?遅くなってごめん。』
『起きてるよ。大丈夫?相談って何だったの?』
『何だかサッカー部の中に誰か好きなやつがいるみたいでその相談。』
『へぇ〜そうなんだー。でも優が相談受けるなんて珍しいね。優ってそういうタイプじゃないよね? 笑』
『うるせぇな、俺だってたまには相談くらいされるんだよ!』
などという仲睦まじい会話をしていた。
ちなみに、彼女とか、告白とか、普通の恋愛ワードが出ているが、本物の男はいない。
その辺を忘れないでほしい。笑
とそんな時、
「先輩の事が好きなんですよ‼︎どうして気づいてくれないんですか‼︎」
と叫びながらベッドに転がって電話してる俺に抱きついてきた。
御子柴だ。
「何?何?何?なんで御子柴まだいんの?
ちょっと離れてくれよ。」
俺は御子柴にマウンティングされ、電話をとられた。
『もしもし、先崎先輩の彼女さんですよね?
私、先崎先輩の事が好きなんです。だから別れてもらえませんか?私、負けません。』
『あんた誰?何なの?今どうなってるの?優出してよ‼︎優〜⁇』
ピッ
ツーッツーッツーッ
御子柴に電話を切られた。
すぐに掛け直そうと携帯を手にすると、
なーんと絶妙のタイミング!
充電が切れているではないか!
充電器を探してモタモタしていると、
御子柴が俺の目の前に立った。そしてよく見ると、上半身裸で立っている。
「えぇー????」
なぜいきなり裸?
そして、
デカイ。
まれにみる巨乳だ。
グラビアアイドルだ。
そのDカップ以上あるであろう巨乳の波が押し寄せてきて俺は…
波にのまれた…トモミという堤防は全く役に立たなかった。
「あ…ん…」
やってしまった…
トモミという彼女がいながら、その場の誘惑に負けてしまったのだ。
俺はいったい何をやっているんだ。
最低だとわかっていた。
にも関わらず、試合前夜に浮気という刺激的な状況に俺は勝てなかった。
【修羅場⁉︎】
3日間に渡る大会は無事に優勝し、連休をもらえることになっていた。
ここでトモミと会う約束だったのだが、
何しろあの一件以来音信不通だ。
そりゃそうだ。
あの状況で電話切れて、それから掛け直しもしてないのだから。
休みの日の朝、
俺は恐る恐るトモミに電話してみた…
トゥルルル…トゥルルル…
ガチャ
『もしもし…』
以外にも普通に出た。
『もしもし、トモミおはよう。連絡できなくてごめん。』
『おはよ、うん、ところで試合は?』
『勝ったよ。トモミ今日会える?』
『それなら良かった、おめでとう!うん、会いたい。うち、今日家族みんな泊まりでどこかに行ったからうちに遊びにこない?』
『いいのか?わかった。じゃああとで。』
『うん、待ってるね。』
トモミは気にしてないようだ。
しかも家にこいだなんて。今日はトモミの家にお泊まりだ〜♪
俺もトモミもいつも寮生だからこういったチャンスはなかなかない。
今日は例の寮閉鎖の日なのだ。
トモミの家自体は近いので、サクサク準備して向かった。
適当に待ち合わせをして、トモミの家に向かった。いつもと変わらず、
そして、あの時の事をトモミは決して触れてはこなかった。
何も気にしてないのかな。
それなら良かった。
トモミの家でまったりしようと腰を下ろした途端、
「ところで、あの電話は何?その後何度かけても繋がらないし、どうゆうことか説明して‼︎」
ひぃぃぃ
やっぱり。
そうなりますよね…
「あ、あれは、あの時相談に乗ってあげた新入生がいきなり戻ってきて、俺の携帯取り上げて、その後充電切れちゃった。」
「相談って優の事が好きだって事だったの?充電切れるって、すぐ充電なんてできるじゃない。それでその子になんて言ったの?」
「相談聞いてる時は好きだなんて言われてねーし。ただ、サッカー部の誰かが好きなんだとしか言われてないよ。」
「私と別れてって言ってた。何なの?あの子とつきあってるの?」
「んなわけねーだろ、あの電話の時いきなり言われたんだし。俺が一番ビックリしてるよ。」
「それで?あの後どうしたの?」
「ど、どうもしねーよ。試合前だし、追い出したよ。」
「ふーん。」
俺は噓をついた。
俺はトモミが好きだし、別れたくない。
あの時の事は墓場まで持っていこう…
その後はトモミと和解し、
夜は久々な事もあり、部活は休みだが、夜のスポーツに激しく燃えた。
明くる朝、
ピロロ〜♩
ピロロ〜♩
俺の携帯がしつこくなっている。
知らない番号からだ。
「誰だよ、朝から。」
「うーん、とりあえず出たら?」
普段なら余裕のシカトだが、トモミがそう言うので出る事にした。
『もしも〜し。おはようございます!先崎先輩!御子柴です。今日お休みですよね?デートしませんか?』
ブチッ
電話を切った。
御子柴?なんで俺の電話番号知ってやがんだ。
「誰?」
「知らん。間違い電話。」
ピロロ〜♩
ピロロ〜♩
「鳴ってるよ?出ないの?」
また同じ番号。御子柴だ。
「また同じ番号だからいいよ、シカトしとく。」
と言って、眠いのもあり、布団にもぐった。
『もしもし?』
『先崎先輩〜?電話切れましたよ〜?えっ?誰?』
『誰って、あなたが誰?』
俺は飛び起きた‼︎
「ちょっなんで、電話でてんの?」
電話を取り上げた。
『おい、何の用だ?』
『あ、だからデートしましょうって言ったじゃないですか?さっきの先崎先輩の彼女さんですよね?
ちょっと代わってもらえませんか?』
『何で変わるんだよ、トモミは関係ないだろ。』
「優、誰?アタシに用なの?貸して!」
トモミは強い、俺から携帯を即取り上げた。
『あなた誰なの?アタシに何か用?』
『あ、先輩の彼女さんのトモミ先輩ですね?初めまして。
じゃなくて2度目まして!私、今度入学します御子柴です。』
『2度目まして??』
『あ、スミマセン。この間、先崎先輩の携帯から戦線布告した御子柴です。今日これから先崎先輩の事貸してもらえませんか?』
『あなたがあの時のね…好きだから別れてってどうゆうこと?優はアタシとつきあってるの。
だいたい優の事貸すとか貸さないとか意味わからないし…』
『だったら3人でデートしましょ?トモミ先輩も来てください。◯◯駅に12時に待ち合わせで。では失礼します。』
???電話を切ったようだ。
「何話したんだよ。」
「優の事貸してくださいとか、貸さないなら3人でデートしましょうとか。これから来てだって。」
「なんじゃそりゃ、行くわけねぇだろ、何をわけわかんない事言ってんだ、御子柴のやつ。」
「行かないの?アタシ行くよ。どんな子か見てみたいもん。」
「は?行く必要ないよ、せっかく2人でいるのに。だいたい、トモミが出て行ったら俺、ここにいれないだろ。」
勘弁してくれ、浮気相手と彼女と3人でいる所なんて、想像しただけでネギトロと飲むヨーグルトを一緒に飲んだ気分だ。
結局、トモミが準備し始めたので、俺も渋々出かける準備を始めた。
「てか、あの御子柴って子と何かあったの?
キスとかされてないよね?」
「んなことあるわけねーだろ、、」
キスどころじゃありませ〜ん。あのDカップの波は忘れたくても忘れられませ〜ん。
御子柴はとてもマセていて、俺の事攻める攻める。普段は俺が主導権を握ってセックスするのだが、御子柴とはお互い攻めまくりなので、実はあの晩、何度も何度もしていた。
正直、反省はしているのだが、俺の下半身は御子柴を求めているようだ。
足取り重く待ち合わせ場所に向かうと、御子柴が走って近づいてきた。
「せんぱーい!待ってましたー!」
まだ春になったばかりだというのに、御子柴はキャミソールに軽めのカーディガンにミニスカートという露出度の高い服だ。
そんな格好で走ってくるので、もちろん俺の視線はユッサユッサと8の字に揺れているあのDカップに釘付けだ。
俺の目には赤外線の力があるのだろうか、、
なぜか御子柴の上半身は裸に見える。
やばい…
となりにはもちろんトモミがいる。
バレないように目をこすり、頬をつねって我に帰る。
「本当に初めまして。御子柴です。来てくれてありがとうございます!
わぁ、噂どおりの美人さんですね。」
「初めまして、鈴木智美です。御子柴さんもとても可愛いんですね。」
タイプは違うが、2人とも本当に可愛い。俺は面食いなので、とても幸せだ。
いや、幸せなんかじゃないっ!修羅場じゃないか!何を呑気な事を言っている。
まぁジタバタした所で、この状況から逃れる術はないので、2人に身を任せる事にした。
昼時だったので、その辺のファミレスで食事する事となった。
探り合いなのだろうか。当たり障りのない会話しかしていない。
そもそも3人で会う事に何の意味があるというのか。
俺はただただこの時間が早く終わるのを祈っていた。
しかーし、誰に祈ってるかもわからない心の祈りはすぐに無駄な努力となった。
「ところで、トモミ先輩!先崎先輩と別れてもらえませんか?私、本気で先崎先輩の事が好きなんで、つきあってほしいんです。お願いします!」
うぎゃー始まった。
こいつはキチガイか、なぜに本人を前にしてこんな事を言う…
「御子柴さんの気持ちはわかったけど、アタシも優の事好きだから、そのお願いは聞けないよ。」
「…じゃあ先崎先輩はどう思ってるんですか?私とつきあってもらえませんか?」
対面に座っている御子柴はテーブルに乗り出してきた。心なしか胸の谷間を強調させながら喋っている気がした。
またしてもあの時のセックスが脳裏をよぎった。
「う〜ん、よくわからないよ。」
やっば。なんて発言してるの俺。
「わからないってどうゆうこと?アタシの事好きかどうかわからないっって事?サイテー。」
終わった…
「いや、そういう訳じゃないんだよ。俺もよくわからなくて…」
「もういい、別れてあげる。あんたたち好きにしたら。もう帰る。サヨナラ。」
と言ってトモミは席を立って帰って行った。
当然だ。こんなあやふやな彼氏なんて俺が彼女でも別れるだろう。
俺は追いかけようと席を立った。
そしてそれを御子柴は遮った。
俺は黙ってそのまま席に座った。
御子柴は何か言っていたようだが、俺には聞こえてこない。
沈黙が続いた。
ピロン♩
俺のメールが鳴った。
《受信メール》14:25〈送信者〉トモミ
何で追いかけて来てくれないの?もう本当に終わりだね。優のバカ!本当にサヨナラ!
何だかもう疲れてしまった。
トモミのメールに返信もせず、御子柴とも何も会話せず俺は寮に帰った。
寮は閉鎖中なので誰もいない。
たまにはこんなのもいいか…
外は雨が降ってきていた。俺の気持ちも雨模様だ。
テレビをつけてもつまらない。
筋トレしても気分が乗らない。
逆立ちしてみたら頭が痛い。
俺は寝るに寝れずにボーっとしていた。
ドンっドンっ!
何だ?玄関を叩く音がする。
誰か帰ってきたのか?
いや、そんなはずはない。
こんな金目の物がないオンボロ寮にドロボーか?!
ドロボーならドンドンしないか。
仕方なく様子を見に行く。
一応女子寮なので、バットを手に握り、玄関を開けてみた…
「先輩…大丈夫…?ですか。」
御子柴だ。
いつもの積極的で活発な御子柴とは少し様子が違う。
「御子柴ぁ、どした?おい、その前にずぶ濡れじゃねぇか。早く入れ。」
事情はどうあれ、ずぶ濡れの子を放置するほど俺は冷たくない。
とりあえずシャワーさせて、俺の服を着せた。
どうやら俺を探して雨の中、ずっと探していたようだ。
いろんな人に俺の寮の場所を聞いたらしく、携帯の充電も切れていた。
「なにやってんだよ、風邪ひくだろ、」
「落ち込んでる先輩みてたら心配になって…
でも私のせいだし、電話もしづらくて、気づいたら先輩の寮を探してました。」
「わかったよ、ごめんな、何も言わずに帰っちゃって。」
「いえ、私が悪いんです。ごめんなさい。先輩とトモミ先輩の中を壊しちゃって。今更ですけど、反省してるんです。それを伝えたくて…」
「もういいよ、あやふやな態度取った俺が悪いんだし。こんな俺を好きだといってくれてありがとね。」
珍しく潮らしい御子柴を見て思わず頭を撫でた。やはりまだ15歳そこそこだ。
御子柴は泣きながら俺にもたれかかった。
一見良い話のような気がするが、そこで終わらないのが俺だ。
俺は期待を裏切らない。
御子柴はシャワーしたあと、自分の服は濡れているので、俺の服を貸した。
といっても俺はブラジャーなど持っていない。例え持っていたとしても、御子柴には合わないだろう。
何を言いたいか、
そう、御子柴は白いTシャツの下はノーブラだ。
よく見ると透けているではないか。
このシリアスな場面で俺の下半身はまたも躍動的だ。
全身の血が下半身に集結している。
“センザキユウ発進!”
俺はDカップ、いや、ここはもうEカップにしよう、
俺はEカップに吸収された。
「先輩……好きにして…。」
2人で落ち込んでたのが嘘のように、
俺達は激しく求めあった。
誰もいないとはいえ、寮で…




