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先輩

俺も2年生になり、後輩ができた。

サッカーの方はというと、それなりに努力はしていたので、何とかレギュラーになることができていた。


1年の話は真理子先輩とのセックスの話だけで、こいつはそれだけかっていう所だが、

前にも言ったように、強豪校であるため、部活は本当に忙しく、大変なのだ。


それでも俺は部活が忙しいから恋愛は後回し!というタイプではなかった。

学校のタメの子にピンとくる子が全くいなかったので

後輩に可愛い子がいないかリサーチしていた。

『いたっ』


これは奇跡かっ!

高校1年にしてこの美しさ。モデル級であろう綺麗さ。

自分が先輩になると後輩を調べるのは簡単だ。

いろいろと調査すると、またしてもその子はバレー部だ。

バレー部1年、伊達アキナ。身長は…

175㎝はありそうだ。

俺は…相変わらず150㎝代。


背の高い女性に惹かれるのか。

自分の身長にいつも悲しくなるが、いたしかたない。


まるで白人女性かの容姿のアキナちゃん。

俺はこの子しか見えなくなっていた。


アキナちゃんには中学からの親友がいるようで、いつもその子と一緒にいた。

俺はその友達の方から仲良くなる選択肢をとった。

人見知りの俺でも、興味のない子にはあっさり話かけられるものだ。


バレー部ということで全く接点がないのだが、そこらへんは何だかんだと理由をつけて、

うまく友達と仲良くなることができた。

友達の名前は鈴木智美。

トモミちゃんだ。

この子も175㎝くらいある。毎度見上げている。

このトモミとは授業の休み時間にいつも会って話していた。とても気さくで面白い子だったので、話が途切れなかった。


ある時、

「先崎先輩、この学校ってレズが流行ってるって本当ですかぁ?何か、クラスの女の子が女子の先輩に告られて、

この学校はそういうのが多いって聞いたんです。ありえないですよねぇ?」


やっば。どーしよう。何か釘さされてる気がする。


「あ〜確かにね。そういう人達もいるかな。

でもそんな多くはないんじゃないか?」


俺はとっさにこんなことしか言えなかった。


もうこれで俺がアキナちゃんの事気になるとか口が裂けても言えねーじゃん。



いやぁ困った。まさか先手をうたれてしまうとは…

でも仕方ない。アキナちゃんと友達になれるまではもう少しトモミと友達続けるしかないな。


俺はトモミと変わらず休み時間に話していた。さすが女子高生。休み時間に話しているのにも関わらず、授業中にわざわざ手紙まで書いてきてくれるようになった。

その手紙の中に、こんな内容があった。


『同じバレー部に私の親友がいるんです。

先輩の事話したら、その子とも先輩と話たいって言ってるから今度休み時間連れてきてもいいですか?』


ピューヒョロヒョロードーン


夏はまだまだだが、俺の心の中でデッカい打ち上げ花火が上がった。


俺もちゃんと手紙の返事を書いた。


『親友いるんだ、いいよ、今度連れておいでよ。』


ぬかりないぜ。



その日の休み時間、

ついにトモミがアキナちゃんを連れて来た。


自己紹介みたいなのをして初めて俺はアキナちゃんと会話をした。

彼女はとても恥ずかしがり屋のようで、あまり積極的に話すタイプではなかった。

けれど、休み時間のたびにアキナちゃんはトモミについて来た。

俺とトモミの話を横で聞いてる事がほとんどだったが…


いつからか、アキナちゃんからも手紙をもらうようになった。俺は嬉しくて、トモミからもらう手紙はそっちのけでアキナちゃんの手紙を読んでいた。


アキナちゃんは手紙だと自分の事をたくさん話してくれる。字もすごく上手で、内容も上品だった。

俺もできるだけ丁寧に返事を書いた。


休み時間に会う→手紙の交換


こんなやり取りをしばらく続けていた。


いつものように休み時間にいつもの場所に行くと、そこにはアキナちゃんだけが来ていた。

どうやらトモミが風邪で休みらしい。

そんな話だけ聞いて、アキナちゃんから手紙をもらって俺は教室に帰った。


その手紙には


『Dear 先崎先輩




先輩の事が好きです。




Fromアキナ』


俺は二度見どころか、五度見くらいした。


トモミに釘をさされていたので、半ば諦めていたのに、奇跡が起きたのだ。

トモミに何と言われようと、アキナちゃんが俺を好きだと言ってくれてるのだから問題はない。

すぐに俺も好きだと返事を書こうと紙切れとペンを持った。


『アキナへ


ありがとう。もう少しお互いの事よく知ろうか。



なんじゃそりゃ。

好きだと言え、付き合おうと言え。バカか俺は。

そんなつまらない手紙だけ渡し、その日はもう会わなかった。


そして次の日、トモミが復活したらしく、いつもの場所にアキナちゃんと来ていた。


「聞きました。先輩とアキナ、そーゆー事になったみたいですね。

私、ただの邪魔者なんでもうここには来ません。これからは2人でどうぞ。」


と言って何だか怒ってる様子で自分の教室に戻っていった。


「何かあいつ怒ってないか?そういやぁ、知り合ったばかりの頃にこういう恋愛はありえないって言ってたもんな。」


「そうなんです。いつもそういう話してました。だから私もトモミに話す時すごく気まずくて。私が先輩の事好きって言った時も、『そうなんだ、いいんじゃない?』ってちょっと冷たかったんです。」


「何だよあいつ、人の恋愛にとやかく言うなってんだよなー。ちょっとあいつのトコ行ってくるわ。」


と言ってトモミを追いかけようとした。


「先輩!!

行かないで…

行かないでください。」


「そうだよな、別に行っても何も言うことないし。ごめんごめん。」


予鈴が鳴った。


「じゃあまたな。」


「はい。また。」


教室に戻り授業を受ける俺は怒っていたトモミの事を考えていた。


(なんだよ、あいつ。確かに俺がアキナちゃんと付き合ったら、裏切られたみたいになるのかもしれないけど、あんなに怒んなくてもいいじゃんかよ。)


俺は怒っているトモミが気がかりで、

次の休み時間にいつもの場所をすっとばして、直接トモミの教室に行き、トモミを呼び出した。


アキナちゃんが不安そうな顔をしているのに気づかずに…


「どうしたんですか?アキナならそこにいますよ。」


「トモミ、何か怒ってる?」


「え?そんな事はないです。」


「トモミが嫌いな女同士で付き合うみたいな事になったから?俺が裏切ったと思ってる?」


「先輩アキナと付き合う事にしたんですか?」


「いや、まだだけど、それよりトモミが怒ってる方が気になるんだ。」


「何でそんな事気にするんですか?」


「わかんねーけど、トモミが怒ってるのは嫌なんだ。さっきの授業も気になって勉強どころじゃなかったから、こうして教室まできた。」


どっちみちいつも授業はまともに受けてはいない。


「私、昨日アキナから先輩の事を好きって聞いて、すごく嫌だったんです。何かこう、カーっとなるっていうか…」


「そうだよな、前から女同士の恋愛反対派だったもんな。でも正直いうと、俺は女の子が好きで、自分の事は男だと思ってる。昔から。1年の時もバレー部の先輩と付き合ってた。でもトモミがそういうの嫌いって言ってたから言い出せなくて。」


「…先輩が卒業した先輩とお付き合いしていたのはバレー部の先輩からかなり前に聞いてました。私も先輩の事、何となく女の子じゃないなーとは喋っててわかりますし。」


「よく今まで仲良くしてくれてたね。」


「先輩と話してると楽しいんですもん。ずっと話してたいって思ってました。

でも昨日アキナの話を聞いて、

先輩が取られちゃうって思ったんです。

そう思ってたら

私も先輩の事好きなんだなって…

でも親友のアキナが先輩の事好きなのに、私も好きなんて言えないし、

何かどうしていいかわかんなくて怒ってるみたいに思われてしまったみたいです。

ごめんなさい。」


「…」


言葉につまった。


すると泣きながらアキナが陰から出てきた。


「やっぱりそうだったんだ。私はわかってたよ。トモミは絶対先輩の事好きだろうなって。

それに、先輩もトモミの事が好きですよね?」


俺はこの瞬間自分の気持ちに気がついた。


トモミは驚いている。


「お、俺、トモミの事が好きだ。トモミと付き合いたい。」


「良かったね、トモミ。私は応援するよ。今度は私がお邪魔虫だね。」


2人とも泣いている。


「アキナちゃん、ごめん。」


「謝らないでください。トモミの事お願いします。失礼します。」


アキナちゃんは戻っていった。


「おい、トモミ、どうなんだよ、俺と付き合う?」



「はい、仕方なく。」



俺たちは爆笑した。


アキナちゃんを好きだったはずの俺はトモミと付き合う事になった。

アキナちゃんが恋のキューピットだ。

恋愛マンガのような話だ。





【ヤキモチ】




俺の高校はいたって普通の共学のマンモス高校だ。

決して女子校というわけではない。

にも関わらず、至る所で女同士のカップルがいちゃついている。


俺とトモミもその中のカップルだ。

俺たちは順風満帆にお付き合いをしていた。


そんな中、俺にモテ期が来たのか、他のクラスの子や、後輩何人かから告白を受けていた。

もちろん彼女がいるので断ってはいるのだが、それをトモミに逐一伝えていた。


「今度はとなりのクラスの◯◯から告られちゃったよ〜。」


てな具合に…


俺は完全に調子に乗っていた。


トモミとのいつもの場所にもいかず、他の女の子と話す時も多々あった。

こんな事を続けていたら、当然のようにトモミは怒ってしまった。


ある時、いつもの場所へ行くとトモミがいないので、教室の方まで行ってみると、トモミが男と話していた。

なんだよ、と思いながら近づいて声をかけようとすると、トモミが気付いてこちらを見た。

そして、シカト。


うぉぉぉぉぉぉ、なんだこの屈辱‼︎


そして相手の男に向き直り楽しそうに話し出すトモミ。


相手の男はどんなやつだ、ぶん殴ってやろう!


なんとっ、トモミより背の高い、イケメン君ではないか。俺のコブシなど届くわけがない。。。

(実際殴りかかったわけではないが…)


壁ドンされてるじゃねーか。


負けた…完敗だ…


俺は諦めてトボトボと教室に帰った。

その後の授業も全く受ける気が起きず、ずっと寝てやった。


そう!あたり!ここツッコミ所です!

授業はいつも1番後ろの席でほぼ寝ています 笑




とここでちょっと別のお話。

先ほどから話してるように俺は毎日授業をまともに受けていない。

席替えでも絶対1番後ろの廊下側の席を譲らない。何故窓際ではなく廊下側なのか…


俺は授業をほんとに受けたくないので、よく散歩にでかけるためである。

そんな事はどうでもよくて、


こんな勉強嫌いな俺でも好きな先生の時はちょっとだけやる気を出す。


好きな教科とかはなく、好きな先生で授業を受けるかどうかを決めていた。

当時お気に入りの英語の映子先生に、

いつもまともに授業をうけていないのに、



「映子先生。次のテストで俺、絶対100点取るからそしたらキスして!」


とバカな事を言ってみた。


「あら、優、ほんと?たまにはやる気出してくれるのね、いいわ。ほんとに100点取ったらね!」


と軽く返してきた。

うちの英語のテストは難しくて有名だったので、100点取るような人はほとんどいなかった。


俺は本気で勉強して、まんまと100点を取ってやった。


クラスどころか、学年中で俺1人で100点だ。


「おい、映子!(呼び捨て 笑)約束守れ!」


「なんの事?だいたいなんで呼び捨てなのよ、先生つけなさい!」


「100点取ったんだからキスの約束!」


「あ、そういえばそんな約束したわね。しかし、ほんとに優が取るとはね。すごいわ。おめでとう!」


チュッ


ほっぺたにキスされた。


みんなが見ている廊下で…


俺はほっぺたでもなんでも幸せすぎてフラフラと教室に戻り、眠りについた。





その日の夜もトモミとイケメン君の事ばかり考えていた。


(俺が他の女の子ばかりと話してたからトモミ俺の事嫌いになっちまったのかな。)


(あの男、マジでイケメンだもんな。あいつにトモミ取られたくない。)


俺は立ち上がった!


夜も22時を過ぎたあたりでいつもなら寝る所だが、こっそりと寮を抜け出し、

学校の寮で生活しているトモミの所へとチャリをすっ飛ばした。


学校は当然閉まっているがそんな事はおかまいない。校門をよじ登り、鍵が開いていて、入れる所はチェック済み。


完全に泥棒だ。


トモミがいる寮まで何とか見つからずにたどり着いた。


ドンッドンッ‼︎‼︎


「俺だっ優だっ。トモミっいるんだろ?開けてくれっ。」


ガチャ


ドアからトモミがヒョッコリと顔を出す。


「優??何で優がここにいるのー??てか、どうやって入ってきたのー?」


「トモミがあのイケメン君に取られるのが嫌で嫌で仕方なくって今ならまだ間に合うと思って来た!調子乗ってた俺が悪かった。

あいつのトコ行くな。俺がいるだろ。」


「何言ってるの、アタシは優だけだよ。ちょっと意地悪したかっただけ。」


俺は言葉よりも先にトモミを抱きしめた。

そしてキスをした。


俺はいつもトモミと話す時、階段の所で話す。もちろん俺が上の段で。

だからこの時も俺が上からトモミを抱きしめた。


世の男で彼女の方が背が高いカップルってたくさんいると思うのだが、みんな気にしてるのだろうか、俺は今でこそ165㎝ほどになれたが、周りからはチビチビと言われ続けている。

本当にコンプレックスだ。

俺が気にしてるからか、自分も気にしてるのかわからないが、トモミは何も言わずにいつも階段の下にポジションをとる。


俺にあと10㎝ほど身長があったら人生かわったのかなぁ。



「優、やっとキスしてくれた…」


「あぁ…」


「ずっと何もしてこないからアタシの事何とも思ってないのかと思った。」



そう、皆さんお気づきだろうか、俺は今まで、自分からまともに彼女にキスをした事がなかったのだ。1度してしまうとさほど抵抗がないのだが、とにかく初めてが苦手だった。


トモミとも出会って付き合って、半年ほどは何もしてない。小学生のお付き合いみたいだ。

セックス好きの俺だが、奥手のシャイボーイ 。

うーん、我ながら可愛いやつだ 笑



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