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ベンチャード・ケイヴ  作者: 鳥取ブロイラー
1/4

黄金の魔窟

 男はヘルメットのヘッドランプを二度つけた。

「よしいいぞ、もっと降ろしてくれ」

 遥か上方でゴンドラを操作する者に合図を送りつつ、男は未踏の大洞窟に挑むことの喜びに打ち震える。


 赤い服に青いオーバーオール。

これは洞窟で遭難した場合に発見され易いよう、目立つ配色を選んだつもりだ。

 そうとも、これは探索をスムーズに進める為の知恵だ。この業界じゃあ俺が初で、誰も真似なんかしちゃいない。

そう自負している。

 洞窟探険家だとか、トレジャーハンターだとか、言い様は沢山ある。

それでもこんな職業は、一般社会じゃあ英英辞書の埋め合わせ程度でしかないのさ。

 構うものかい。

 この洞窟の奥地に眠ると言われる黄金ピラミッドを発見できれば、俺には十分な富と名声が、

辞書には「無謀な洞窟探検野郎」という項目が追加されるはずだ。

それはハイスクールの学生達にとっては、少なくとも「スペルト小麦」よりも意味のある言葉さ。


 男は次は三度、ヘッドランプをつけた。

「よし、ここでいい。横穴が見える」

 上方の操作者は暗闇の明滅を見て取り、ゴンドラを停止させた。

「随分と深いじゃないの。それに隣のイタリア人が作ったピザ焼き窯よりもイカしてやがる」

 男は手元のブラスターがしっかりと充電されているのを確認し、横穴への一歩を踏み出そうとする。

あまりに偉大な冒険の訪れに、自然と足が震えてくる。

 不随意な己が足を押さえつけ、無理矢理にでも一歩を踏み出してやろう。

ゴンドラから先にあるのは、四メートルほどに切り抜かれた無粋な円形劇場だけだ。

「やってやるかな」


 途端。

 男はゴンドラと横穴の隙間に足をすべらせた。


 男は自身の背丈分ほど洞窟へと落下した所で、意識が途絶えることを意識した。



 こうして男は死んだ。







 To be continued...



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