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最強女神のデド・ユーラシア伝説  作者: 柚月カコ
第3話 伝説の決断
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4ー5 私の選択

「………。

私は決めなければならない。

読み札を選ばなければならない。

…酷い独り言だ。

本当は選択しているのに、他人の迷惑を考えて選びきれない。

心の中ではわかってる。優先順位なんて決まってるのに、最終確認で"はい"って言えない自分がいる。」


彼女、詩織は歩きながら静かにつぶやく。

長々たらしく、同じことを繰り返す。


歩く中で階段があったり、ドアがあったり、綺麗とは言えない造り。そして彼女が親しみを感じているところだ。昔、落書きして怒られてる子を、わたしが馬鹿にしてたな。最近、友達の所に深夜行って、怒られたな。広くてめんどいから、いつもは歩いたりしないのに。そう思いながらひたすら歩く。


「決めた。」


そうつぶやく。

本当は前から決めていた事に今やっと決心がつく。


広い建物からやっと脱出する。

扉を開けたそこは草原だった。

少し奥に小川が見える。

決して後ろを振り向かずひたすら歩く。


「おい。まてよ」


詩織の声ではない。

どこか幼さが感じられる気がする、男子の声だ。


「怒っているの?もしそうならごめんなさい。」


それでも後ろを振り向かず、詩織は返答する。


「どこに行くんだ」


ひたすら彼は追いかけてくる。


「ちょっと気分晴らしに」


それでもひたすら前を向く。


「なあ、行き先ぐらい教えろよ。

…お前はどっちにつくんだ。」


そう言い彼は彼女の腕を掴む。


「ごめんなさい。貴方を縛り付ける事をして。

でも、私がしないといけない。私しかできない事なの。」


彼女は歩みを止める、下を向いて答える。

彼は後ろを一瞬見ると一言口にする。


「いいんだ。お前がどこに行くか分かった。頑張れよ」


彼女は小川まで歩く。夕日は美しく、影にはホタルが光る。そんな綺麗な場所で彼女は立ち止まる。


「ねぇ、綺麗よね。

昔から変わらず。

覚えてる?むかし、ここを境界線にして、

国王ごっこしたの。

ほら、魔法で建国してどっちがいい国を作れるかって奴。」


でも、彼女は振り返らない。


「お前、記憶が戻って…。

ああ、覚えてるさ。

ここで終わりなんだな、俺らの国は。」


彼に横顔を見せながら、彼に返答した。


「ええ、そう。

ここからは私の国。奴らの国はあっちにあるわ。

だから、ここで終わり。」


ゆっくりと振り返り、彼に顔を見せる。


静かに雫を流し、頬を濡らす笑顔の詩織が彼に見えた。

そして詩織の視界には、予想どうりの人物「河端 青那」が見える。


彼女はまた振り返り、小川を越えた。


そこから少し歩くと門も越え、そのあとは誰も知らない道に入っていく。

その道に進んで振り返ると、草っ原だった。

道などないのだ。


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