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未来予想図

作者: 若色 アオ

なんとなく思いついて書いてみました。

特に意味はなく、素晴らしいオチも存在しません。ごくごくありふれている(?)話です。

 誰にも未来はわからない。


 足元の水たまりを踏むとパシャリと水がはねた。同じ傘を共有して隣を歩いている彼の足元に水がかかってしまったけど、特に怒った様子も気にした素振りも見せなかった。

 たとえば、今日のこの雨は誰が予測できただろうか。朝の予報では降水確率は20%で、本日は穏やかな陽気となるでしょうと言われた。だというのに、帰る頃になって雨が降り始め、傘を持ってきていなかった私が呆然としているところに、彼が持って来ていた折り畳み傘に入れてくれた。それ以外の人は、雨が止むのを待ったり、近くのコンビニに傘を買いに行ったり、走って家に帰った。つまり、今日の雨を回避できたのは、こうした事態を予想して常に備えていた人だけだった。


 誰にも未来はわからない。出来るのは予測だけ。その予測だって、その時になってみないとどうなるかはわからない。今日の天気予報なんかがその最たるものだと思う。ちなみに、予想は個人的に違うと思っている。予測は平たく言えば分析であり、予想は想像だ。これを友人に言ったら私は理系に向いていると言われた。

 後ろから車のエンジン音が近づいてくるのを感じ取る。それに私は嫌な予感を覚えた。

 車が私たちの横を通り過ぎる時、水が思いきりはねた。水は私にはかからず、隣にいる彼が一身にその被害を被った。それに、「ひどい車だな」と困ったような顔で言い、私に大丈夫だったかと尋ねてくる。それに、「予測していたから。あなたに水がかかることも」と答えると、彼は顔に若干の笑みを浮かべた。

 車に水をかけられた時でも動かし続けた足は、次第に私の家へと近づいていく。この時間ももう終わりかと思うと少し寂しい気持ちになった。そしてその気持ちが彼に伝わったのか、はたまた私と同じ気持ちだったのか、ここまで触れずにいた私の手をぎゅっと握ってきた。その突然の行動に思わず顔が熱くなったけど、嫌ではないのでこのままにしておく。

 雨が相変わらず降り続ける中、家に着いた。握られていた手はそこで離され、名残惜しいと思いつつも私は彼の傘から出て行った。ドアの前まで素早く移動して振り返ると、彼は変わらないいつもの優しい笑みで私を見ていた。 

「それじゃあ、また明日」


 誰にも未来はわからない。

 予測は出来ても実際に何が起こるかはその時になってみないとわからない。予想は個人的に違うと思っている。それは想像でしかないから。

 でも、彼のその言葉は、私に明日の出来事を、少なくとも1つ、想像させた。

「じゃあね。また明日」

 手を振って彼を見送る。見えなくなるまでずっと。


 明日の事は誰にもわからない。

 でもきっと、明日も彼と一緒に帰ると思う。

こういう静かな雰囲気は好きなんですが、書くのが難しいです……。

最近は短い文章量で物語というか、お話を考えるのにハマってます。しかしやっぱり難しい……。




感想や評価などをしていただけると嬉しいです。(といっても特に書けることはないでしょうが)

それでは。また目に留まったらこんな自分の作品を読んでやってください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 好きな話です。 [気になる点] 自分が短編を書く場合は、空白と間合い、間隔を大事にしているので、多く使います。 [一言] こういうのまた見たいです
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