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ラーメンが食べたくて 異世界転生ハードモードとんこつ味  作者: ぱちぱち


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第58話 俺やっぱり孤児院から出たくねぇよぉ……家賃高いし

神聖歴580年 春の始め月 1日



「じゃあなピッグス。元気でやれよ」


「ぶっひぃ……俺、俺やっぱり孤児院から出たくねぇよぉ……家賃高いし」


「はよ出てけ」



 少ない荷物を背負って孤児院から出ていくピッグスのケツを蹴り飛ばすと、ピッグスはいつものように「ぶっひぃ!」と涙声の叫びをあげた後、後ろを振り返らずに走り去っていった。男の門出には涙が付きまとうが、それを見て良いのは親と嫁さんだけ。同格だと。友だと認めている相手に涙を見られるのは恥ずべき行為である。



「え、そーなの?」


「少なくとも俺はそう思ってるし、ピッグスもそうだったんじゃねーかな」



 だから振り返らなかったんだろう。ザンムの言葉にそう答えて、孤児院の中へと入る。俺も今日で7歳だ。そろそろ将来の身の振り方を考えないといけないんだが、選択肢は文字通り選べるほどにあるのが悩ましい所だ。


 大前提として、俺は自身の身の自由を最も欲している。これには最愛の妹の身の自由も含まれている。妹を抑えられたら俺は身動きできなくなるからな。その前提の上で選ぶとなると、妹が孤児院に居る間は現状所属している冒険者ギルドでそのまま冒険者を続けるのが一番ではある。ただイールィス家の力を借りて商人になるのも考えられるし、誘われるように芸能ギルドに所属して芸人として生きる道もある。


 どちらにしても妹が何不自由ない生活が送れるようであれば行商人だろうと旅芸人だろうと構わないのだ。カバンを一つ持って諸国をぶらりと旅をして、たまにサニムに帰ってきて妹の幸せそうな顔を眺める。そんな生活が送れれば最高なんだが、現状のままだとそれは難しい気がする。


 理由としては、俺は自身の価値を示し過ぎたからだ。イールィス家が商うラーメン器はすでにサニムの主要な交易品の一つになっているし、もうすぐオープンするラーメンレストランはまだ開店すらしていないのに現時点で予約が半年先まで埋まる状況。これは昨年の冬に販売したカップラーメンの影響も大きい。お湯を注ぐだけでこれだけ美味しいなら一流のシェフが作ったラーメンはどれほどの味なのかとサニムの上流階級は期待感を膨らませているのだ。


 あとは、本物のラーメンを食べた事があるダリルウさんやジジさんといった街の有力者による宣伝効果もある。ここにレイラさんも加わったラーメン実食勢によって、冬の社交界では春にオープンされるラーメンレストランの話題で持ち切りになっているらしい。


 レイラさんといえば昨年の冬に芸能ギルド主体で行われた新演劇『覇道・モモタロ伝説』の大成功によってその名前はサニムに留まらず近隣の都市にも響き始めているらしい。商業都市であり港町でもあるサニムは近隣の情報が集まりやすい場所だ。情報が集まるという事は様々な伝承や物語に触れる事も多くなり、特にサニム公立劇場は近隣でもトップレベルの演劇を行う劇場として知られていた。


 そのサニム公立劇場による、全く新しい演劇。誰も知らない新たな物語はサニムの演劇好き全てを唸らせた。この冬の間で『覇道・モモタロ伝説』はその評判を確たるものとし、これをプロデュースしたレイラさんの名声も高めた。


 並べて見て思うが、傍から見たらたった二年でここまでやってどうするんだお前はって感じになるな。これもう逃げられないだろ。逃げる気ももう無いけど。



「まぁ、そんだけやった事を重ねても。最終的にはレンツェル神父や大狼みたいな埒外の存在から見たら吹けば飛ぶような存在だけどね」



 そして、ここまで実績を重ねて準備万端って状態でも、この世界では割と簡単に命を落とすかもしれないのだ。身近にたった一人で街の最終防衛ラインを請け負うレンツェル神父や、ただ一頭で山脈側の魔物を押し返してる大狼とかを見るとね。兵士たちが無能とかそういう話じゃない。ただ一兵士は戦力単位であるのに対してこの一人と一頭は戦略単位の力だってだけだ。


 同じ条件の隣町、城壁都市レキストンはサニムのように郊外とかはなく城壁の中だけの都市らしい。理由は備えなく城壁の外に出たら山脈から降りてきたモンスターに殺されるからだ。あっち側の農村なんかも全部武装しており、堅牢な柵で守られている中で生きているのだとか。簡単な柵があるだけのこっち側の農村とは大違いである。


 サニムとレキストンの違いは、たった一人と一匹が居ないだけの結果だ。そして、それがまかり通るほどにこの世界では力の格差が激しい。どれだけの財力を得ても、名声を得ても、権力を得ても。本当の強者の機嫌を損ねたら瞬時に消し飛ばされかねない。故にサニムはその本当の強者側である大狼やレンツェル神父と契約を結び街を守っている。


 力が居る。本当の自由を得るためには、力が必要だ。



『それでワシの所に来たのかぇ。うむうむ、確かにワシはこの近隣でも並ぶことなき強者。ワシの爪を煎じて飲めば立ちどころに力を得られると狼人の間では今もうわさされておってのぉ小僧は賢い選択をしたぞ。所で契約料としてつくねをそうさの。20ほど用意してもらう必要があるがなぁに大した量ではあるまいて』


「いや、強くなるのは自力でやるつもりなんだけど」


『まぁ待て待て分かった! 冷静になって話し合おうではないか。つくねを10! どうじゃこれならまずは会話も成り立つというものじゃろう』



 春になった後。まだ残雪が残る森の中へ入ると、大狼はすぐに姿を現した。森に入った瞬間に現れたから予め張ってたんじゃないかと疑いたくなる速度で出てきた。現れた瞬間、最初の言葉が『つくね!』だったからつくね串を一本投げたら、空中でキャッチからのバリゴキムシャンと瞬く間につくね串は大狼さんの腹の中に消えた。つくね串を投げなかったらそのまま俺自身が丸のみされてたんじゃないかって剣幕だった。


 一本つくね串を食べたらある程度冷静になったみたいなので娘さんは元気かと尋ねたら、傷はもう癒えたという。俺が前に飲ませたスポドリの味が忘れられないらしく、里に下りようとして困っているらしい。喉が渇いた時のスポドリはやたらめったら美味いからな。スポドリを一本置いていくが、これは元気な時に飲んでもあの時ほど美味しいとは感じないはずと伝えてもらおう。


 さて、森に入った理由としては強くなりたいというのもある。あるが、これに関しては正直一気に強くなりたいとかそんなものじゃない。そもそも俺はまだ7歳。成長期すら来ていないのだから、焦る理由はまるでないのだ。


 それに強力すぎる力をいきなり手に入れるっていうのは、ねぇ。夢想具現ですら持て余し気味なのに、全知全能! とか持ってこられても困るだろ。そんなもんいきなり手に入れたら人間でいられる気がしないぞ。


 ただ、最強というもの事態には興味があるのだ。今は力が無くても、男の子ならばいずれはそこを目指すものだからな。一番上の存在がどういうものかは知っておきたい。その為に、俺は今日森へとやってきたのだ。



『つまり?』


「百人の勇者が半壊してようやく倒したっていう最強の魔族。魔王について聞きたい」



 俺の質問を耳にした瞬間、大狼ガランは少し黙り込んだ後、くつくつと笑い始めた。


タロゥ(6歳・普人種男) 


生力27 (27.0)

信力97 (97.0)UP

知力26 (26.0)

腕力32 (31.0)

速さ26 (26.0)

器用28  (28.0)

魅力27 (27.0)

幸運18  (18.0)

体力30 (30.0)


技能

市民 レベル3 (100/100)ー

商人 レベル3 (43/100)UP

狩人 レベル3 (75/100)

調理師 レベル3 (100/100)ー

地図士 レベル2 (33/100)

薬師  レベル1 (92/100)

我流剣士 レベル2 (93/100)

木こり レベル2 (45/100)

楽士 レベル2 (3/100)

教師 レベル1 (48/100)

パチン・コ流戦闘術 レベル2 (67/100)

テイマー レベル0 (20/100)

絵師 レベル2 (45/100)

語り部(紙芝居) レベル4 (35/100)


スキル

夢想具現 レベル2 (65/100)UP

直感 レベル2  (52/100)

格闘術 レベル1  (47/100)

剣術 レベル3  (30/100)

弓術 レベル1  (100/100)―

小剣術 レベル1 (100/100)―

暗器術 レベル1 (100/100)―

斧術  レベル0 (68/100)

フォークダンス レベル5(35/100)

フォークマスター  レベル0 (35/100)

念話 レベル0 (20/100)

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