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ラーメンが食べたくて 異世界転生ハードモードとんこつ味  作者: ぱちぱち


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第24話 君、5歳の子供だよね……?

 神聖歴579年 春の始め月 21日



 商業都市サニムの中心街。芸人ギルドの本部はこの中心街にある大きな劇場と隣り合った場所にあるまぁまぁデカい建物の中にある。



「やあやあ君がタロゥくんだね。ピッグスくんから話は聞いているよ」


「はじめまして。レンツェル孤児院のタロゥと申します」


「うん、うん。私はレイラ、このギルドの長をやらせてもらっている。よろしくね?」



 商業都市サニムの芸人ギルドは大きな劇場が2つに、小さな劇場が5つ。さらに見世物小屋と呼ばれる金のない庶民用に下手糞な芸人が芸をしたり珍しい生き物を見せる小屋が10か所くらいと、市場などで芸を見せる個人の大道芸人たちが所属する大規模なギルドだ。


 その大規模なギルドのギルド長が、今、目の前で満面の笑顔で俺を迎えてくれた年齢不詳の兎人種のお姉さん、レイラ・カルホトラだ。彼女はイールィス家と同じくサニムを運営する5大商家の一つカルホトラ家の家長でもある。


 つまりこの街の5人の支配者の一人ってわけだ。なんでこんな人に呼ばれたんだろうな、俺は。



「お久しぶりです、レイラ様」


「おお、これはロゼッタちゃんじゃないか。ダリルウくんとはよく顔を合わせるが、君はいつぶりかな」


「昨年のご子息の誕生パーティー以来となります」


「ああ、あの時か。そうそう、君の所が最近扱っているあの陶器の器! 子供用のものをプレゼントしてくれたねぇ。いやぁあれは嬉しかった!」



 そしてその5人の支配者の一人と笑顔で挨拶を交わす支配者の一人ダリルウ・イールィスの娘、ロゼッタ。


 ピッグスを経由して間接的にレイラ・カルホトラに呼ばれていると悟った時に、すぐにイールィス家に報告したらロゼッタが直接やってきた。お前はなにをやってるんだと言わんばかりの形相で。いや、ちゃうねん。わしほんまなんもしとらんのや、と西方訛りの言葉で自己弁護すると、ロゼッタは深い溜息を吐いて一緒に来てくれることになったのだ。


 ロゼッタがこの場に居る事。それだけでレイラ・カルホトラは俺の背後にイールィス家がいる事を悟っただろう。そしてロゼッタがこの場に居るという事は、もし彼女が居なかったら俺はレイラ・カルホトラに好きなように料理されていた可能性が高いとイールィス家が判断した、という事でもある。


 首の皮一枚つながった。目の前で笑顔で会話を交わす二人を眺めながら、首筋をひやりとした汗が滑り落ちていくのを感じる。



「おい、おいタロゥ。お前の良い人、なーんかすっごく偉そうじゃない?」


「偉いんだよ。ロゼッタのお父さんは船問屋の元締め、ダリルウ・イールィスだぞ。この街最強の武力集団サニム海軍の頭だ」


「へぇー…………へええぶっ!?」



 耳元で甲高い声で喚こうとしたピッグスの口を、下あごをかち上げる事で強制的に黙らせる。お偉いさん方のやり取りを邪魔すんじゃないよ。下手に目立つと取って食われるぞ?



「いや、流石に取っては食べない………豚人種か…………うん」


「ねぇタロゥ! この人俺の事を『ああ、もしもの時の非常食には、ありかな?』みたいな視線で見てくるんだけど!?」


「美味そうだからしょうがないんじゃないか」


「しょうがなくねぇよ!」



 悲鳴を上げるピッグスの醜態に、ロゼッタと社交辞令を交わしていたレイラさんがケラケラと笑い声をあげる。あーもう。こっちに標的が切り替わっちまったじゃないか。


 もしもの時はピッグスを生贄にする覚悟を固めて、レイラさんに視線を向ける。芸人ギルドの長という事は、この街の夜の長という事でもある。花街や飲み屋街といった盛り場を切り盛りする女傑は愉快そうに笑いながら俺に向かって口を開いた。



「さて、若人をからかうのはこれくらいにして本題に入ろうか」


「芸人ギルドには入りませんよ?」


「話が早すぎないかな???」



 被せ気味にレイラさんの言葉に応えると、思わずといった様子でレイラさんがそう口にする。いや、ここまで来たら要件なんてほぼ決まってるようなものだろう。わざわざ同格の冒険者ギルド相手に、そこの構成員に粉かけるような要請をギルドのトップが行ったんだ。引き抜き以外の話しだったら逆にこっちが困惑するわ。


 面食らった様子のレイラさんは目をパチクリとさせた後、困ったような笑顔で首をかしげる。



「ええと、まだ待遇も報酬もなにも話してないんだけど、即答?」


「はい。冒険者ギルドに所属してるのは稼ぎ以外の目的もあるんで」


「えぇぇ……君、5歳の子供だよね……?」


「この春で6歳になりました」



 あんたみたいな権力者から狙われても自由に生きていけるよう、力を付けようとしてるんだよ。とは流石に口には出さず、レイラさんににっこりと笑顔を返す。どう思ってくれても構わないが、冒険者ギルドから芸人ギルドに鞍替えするのは俺にとって望ましいものじゃない。その事が伝わればそれでいいのだ。


 本来なら俺みたいな孤児からすれば断るなんて選択肢すら存在しない相手だが、俺にはこういう時の為に高い友達料を払っている後ろ盾がいる。ロゼッタ先生、お願いします!



「この子は見ての通り変わり者で、身内に抱えても扱いづらいだけだと思いますよ」


「ロゼッタ。ロゼッタさん、それはどういう意味ですかね?」


「聞いたままでしょ?」



 思っていたのとは違う、援護にもならない後ろからの誤射を受けてロゼッタに視線を向けると、ロゼッタは悪びれもなく出された高そうなお茶を啜って「あ、美味し」と呟いた。


 このガキ、いつかキャーン言わせたるけんのぉ。心の中のデスノートに今日の出来事を深く刻み込んでいると、対面に座るレイラさんがケラケラと笑い出した。あ、あれ。今のやり取りでどこか笑いのポイントでもあったっけか。


 あ、隣に座って「非常食」ってずっと呟いてるピッグスが面白いのかな。確かに顔が青くなったり白くなったり赤くなったり七変化してるから面白いよね。見てる分には。



「いやぁ。目的は果たせそうにないけど面白いものが見れたからね。お姉さんとしては今日の出会いは大きく儲けたと思ってただけだよ」


「はぁ……」


「君を取っちゃうとロゼッタちゃんに怒られそうだしね。君の芸人ギルド入りは、今回は諦めよう」


「次回も考えてほしくないです」


「つれないなぁ」



 俺の返答にレイラさんは本当に残念そうな表情を浮かべる。その表情に、俺の心の中で疑念が大きくなっていく。芸人ギルドの長がここまで俺に執着する理由が分からないからだ。


 こいつらが俺に興味を持ちそうな事といえば、昨年の冬に木こり祭りとかいう馬鹿みたいな祭りで木を切ってた事と孤児院でコンサートまがいの事をしたくらいだ。そのどっちも確かに関わりはしたが、実際に歌を歌ったりしたのは隣で顔を青白赤に変色させたピッグスである。こいつが居れば同じことは出来ると断言できる。


 俺の怪訝そうな表情に気付いたのか、レイラさんはお茶を入れた金属製の高級なカップを口元に持っていき、唇を軽く湿らせてから話始めた。



「芸人ギルド内部の話しなら簡単だったんだけどなぁ、仕方ない。君、昨年の木こり祭りでロゼッタちゃんと不思議なダンスを踊ってたらしいじゃないか。それをうちの芸人ギルドで扱わせてもらえないかな」


「そっちかい」



 レイラさんの言葉に思わず膝をパーン、と叩いてそう呟く。マイムマイムでこんな偉い人に呼び出されるとか思う訳ないでしょ、普通。


 ……もしかしてマイムマイムの太郎ちゃんと呼ばれた前世の実力が影響してるのか? 何故か剣術よりもフォークダンスのスキルレベルの方が上だしね。


タロゥ(6歳・普人種男) 


生力21 (21.0)ー

信力57 (57.2)

知力18 (18.6)UP

腕力21 (21.0)ー

速さ21 (21.0)ー

器用20  (20.8)

魅力17 (17.4)UP

幸運11  (11.0)ー

体力21  (21.0)ー


技能

市民 レベル2 (84/100)UP

商人 レベル2 (15/100)UP

狩人 レベル2 (72/100)

調理師 レベル2(95/100) 

地図士 レベル1(54/100)

薬師  レベル0(83/100)

我流剣士 レベル0(76/100)

木こり レベル1(73/100)

楽士 レベル0(15/100)UP


スキル

夢想具現 レベル1 (100/100)ー

直感 レベル1  (31/100)

剣術 レベル1  (54/100)

フォークダンス レベル3(1/100)UP

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